太平洋のニューギニア島周辺に生息するゴクラクバトの一種である「Black-naped Pheasant-pigeon(Otidiphaps nobilis insularis)」が、科学者のチームによってなんと140年ぶりに再発見されました。設置されたカメラのすぐ近くをBlack-naped Pheasant-pigeonが動き回る動画も、YouTubeで公開中です。

Large pigeon lost to science for 140 years rediscovered in Papua New Guinea

https://www.rewild.org/press/large-pigeon-lost-to-science-for-140-years-rediscovered-in-papua-new-guinea

Long-lost pigeon species 'rediscovered' in Papua New Guinea | CNN

https://edition.cnn.com/2022/11/19/world/black-naped-pheasant-pigeon-scn-trnd/index.html

Not seen since 1882, researchers spot the black-naped pheasant-pigeon

https://www.usatoday.com/story/news/world/2022/11/20/black-naped-pheasant-pigeon-researchers-spot/10745270002/

Black-naped Pheasant-pigeonは、パプアニューギニアの南東部に位置するファーガソン島に生息するゴクラクバトの一種であり、種子や落ちた果物を主食としているとのこと。ところが、ゴクラクバトは森林伐採による生息域の減少に直面しており、Black-naped Pheasant-pigeonは科学者による1882年の報告を最後に目撃例が途絶えていたため、絶滅した可能性が高いと考えられていました。

しかし、コーネル大学鳥類学研究所の博士研究員であるJordan Boersma氏らは2019年の現地調査で、地元の人々からBlack-naped Pheasant-pigeonと思われる鳥の目撃例を収集しました。これによってBlack-naped Pheasant-pigeonが生息する可能性がある地域が特定されたため、コーネル大学鳥類学研究所・アメリカ鳥類保護協会・パプアニューギニア国立博物館の共同研究チームは、2022年9月から1カ月にわたってファーガソン島で現地調査を実施しました。

研究チームはファーガソン島で最高峰のキルケラン山の斜面に12台のカメラを設置したほか、地元のハンターが過去にゴクラクバトを見たと報告した地点に8台のカメラを仕掛けたとのこと。その結果、地元のハンターであるAugustin Gregory氏がBlack-naped Pheasant-pigeonと考えられる鳥を目撃し、独特の鳴き声を聞いたと証言した標高1000mの急な尾根に設置したカメラが、研究チームが島を離れる2日前にBlack-naped Pheasant-pigeonを撮影することに成功しました。

撮影されたBlack-naped Pheasant-pigeonの姿は、以下の埋め込み動画で見ることができます。

First Video Ever of the Black-naped Pheasant-Pigeon - YouTube

カメラのすぐ前に、Black-naped Pheasant-pigeonの色鮮やかな体が見えます。Black-naped Pheasant-pigeonを撮影したカメラを仕掛けたDoka Nason氏は、「ようやくBlack-naped Pheasant-pigeonを見つけたのは、遠征の最後でした。写真を見た時、信じられないほど興奮しました」コメントしています。



ゴクラクバトの特徴である広がった尾羽に、黒い首やオレンジ色のくちばしも確認できました。



日本で見かけるハトのように首を前後に振りながら歩いており、そのたびに尾羽が上下に揺れています。Boersma氏は、「私たちが仕掛けたカメラを回収した時、Black-naped Pheasant-pigeonの姿を撮影している可能性は1%未満だと考えていました。写真をスクロールしていると、この鳥がカメラのすぐそばを歩いている写真が出てきて驚きました」と述べています。



また、遠征チームが現地語で「Auwo」と呼ばれるBlack-naped Pheasant-pigeonの撮影に成功したことを知り、喜びを爆発させる様子を収めた動画も公開されています。

Finding Auwo: the moment we found this lost species! - YouTube

遠征チームの共同リーダーを務めた保全科学者のJohn Mittermeier氏は、「1カ月の探索の後にBlack-naped Pheasant-pigeonを撮影した最初の写真を見ると、まるでユニコーンを見つけたかのように感じました。自然保護活動家やバードウォッチャーにとっての生涯の夢を見ているような瞬間でした」と述べました。

自然保護団体のRe:wildで絶滅種探索のマネージャーを務めるChristina Biggs氏は、「この再発見は半世紀以上にわたって行方不明になっている他の鳥にとっても、驚くべき希望の光となります」と述べ、他の絶滅が予想されている鳥もどこかで生き延びている可能性があると示唆しました。