カルチョ・スキャンダル無関係インテルによる今夏の“移籍市場一人勝ち”状態は止まる気配がない。7日にセリエA復帰を熱望していたFWエルナン・クレスポ(31)をチェルシーから獲得したインテルは翌8日、獲得大本命の昨季セリエA得点王FWルカ・トニ(29=フィオレンティーナ)の残留表明を受け移籍市場に終止符を打ったかに見えた。トニ獲得失敗後「クレスポを獲ったからFW補強は満足」と発言したモラッティ・オーナーだったが、発言は今季に賭けるフロント陣営の見事なフェイントに過ぎなかった。

舌の根も乾かぬうちに迎えた10日、インテルは所属クラブ・ユベントスのセリエB降格でモチベーション低下により練習試合ボイコット、代理人によるクラブ批判など極端な“移籍熱望劇”を繰り広げたFWズラタン・イブラヒモビッチ(24)の獲得を発表した。

スウェーデン代表イブラヒモビッチ獲得によりインテルFW陣はアドリアーノ(ブラジル)、クレスポ、クルス(共にアルゼンチン)、レコバ(ウルグアイ)、マルティンス(ナイジェリア)と各国代表エースが勢揃い。この“世界最強FW陣”をフィーゴ、ビエィラ、カンビアッソなど世界最高峰レベルの中盤が支える。毎年のように破綻していた守備面も、今季はマテラッツィ、グロッソ、サネッティ、サムエル、コルドバが先発の座を虎視眈々と狙う。

約36億円で獲得したイブラヒモビッチ加入によりインテルはこの日、名実ともにインテルナツィオナーレ(インターナショナル)・ミラノへと変貌を遂げた。誰もが羨む世界選抜完成に向け残りのピースは「GK」のみ。ライバルが自滅する中、超大型補強を展開したインテルが今季のサッカー界を揺るがす。