『長岡 米百俵フェス ~花火と食と音楽と~ 2022』 2022年10月8日撮影

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長岡 米百俵フェス ~花火と食と音楽と~ 2022【2日目】
2022年10月8日(土)東山ファミリーランド

今日は晴れた!と思ったら、一瞬のうちに雨雲が空を覆い通り雨が降る。天候の変化に一喜一憂するのもまた野外フェスならではだ。昨日の寒空から一転した東山ファミリーランド(新潟県・長岡市)で、『長岡 米百俵フェス ~花火と食と音楽と~ 2022』(通称:米フェス)は開幕した。


■2日目はオープニング・アクトで幕開け

八生(やよい)

2日目の『米フェス』は、米フェスが主催するオーディション『COME100オーディション’22』の準グランプリに輝く八生(やよい)のオープニングアクトで幕を開けた。ギター1本で弾き語りする女性シンガーである彼女の独特な歌声と歌詞の世界観が審査員の高い評価を得て受賞が決まった。演奏曲は「翡翠」と「泳げぬ鯨」。今後の活躍に期待したい。

そして、昨年に続きMCには安東弘樹が登場。本日と明日の2日間の総合MCをつとめる。

安東弘樹、ファーストサマーウイカ


■東京パラリンピックの国歌独唱をつとめた、佐藤ひらりが登場

佐藤ひらり

2日目のトップバッターを任されたのは、 佐藤ひらり。『東京2020パラリンピック』開会式で国歌独唱を担当した、全盲のシンガーソングライターだ。新潟県三条市出身で、にいがた観光特使でもある現役音大生。皮切りに歌った、『長岡まつり大花火大会』で打ち上げられる「復興祈願花火 フェニックス」の楽曲である「ジュピター」は、新潟県中越地震の復興のシンボルでもあり、長岡市民にとって思い入れの強い曲。ピアノの弾きがたりで歌う彼女の包容力のある声が、人々の心を包み込む。

「米フェスにはずっと出たかったので、私の歌を聴いてもらえて本当に嬉しいです!」と告げると、「赤ちゃんの頃は歩いただけでもほめられたのに、大人になるとほめられなくなりますよね。もっとほめてもらいたいなぁ、という気持ちを込めて」と、「ほめられてのびる子行進曲 」を歌う。

さらに頑張っている人たちへの応援歌「expext」、 これからの日本を考えて作ったという「令和」 を届けてくれた。


■ステージでもMCでもファーストサマーウイカらしさ全開

ファーストサマーウイカ

MCも務め、米フェスでは八面六臂の活躍を見せるファーストサマーウイカ。今回もMCの顔とアーティストの顔、どちらも披露してくれる。少し前に降り出した雨が登場とともに止んだのも、彼女の力だろうか。アーティストとしての衣装はとにかくカラフルで、ステージ映えバツグン!

1曲目の「カメレオン」は、歌、トーク、俳優といくつもの顔を持つ彼女らしい曲。粗品(霜降り明星)の書き下ろしという異色曲「帰り花のオリオン」では、挑発的な表情もカッコイイ。さらにアニメ『幽☆遊☆白書』の主題歌「 微笑みの爆弾」をカバー。

ステージ上でペタリと座り込んで歌う姿も可愛い「最高のギフト」、ラストは楽しそうな彼女に思わずノセられる「Open the Door」。 楽しさのドアを開いて、ステージから去っていった。


■Awesome City Clubのスタイリッシュなステージが会場を沸かせる

Awesome City Club

シティポップを基調にロック、ファンク、R&Bを取り入れ、新しい音楽を作り続けているAwesome City Club。「せっかく晴れたので、心地いい曲を聴いてもらおうかな」というatagiの一声で、「Life still goes on」がスタート。続けて「アウトサイダー」でも、爽やかな歌声が秋風に乗せられていく。

PORINの「長岡、元気ですか? 踊ろ!」という掛け声から始まったのは、「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」。「夏の午後はコバルト」と「Good Morning」とAwesome City Clubの世界がステージに繰り広げられる。

重厚感のある「On Your Mark」の次の楽曲は「息させて」。「息させて」では、ギターのモリシーが背面弾きをする一幕も。
 
代表曲の「勿忘」を歌っている最中、人差し指を立てていたPORINの指先にとんぼが止まる粋なハプニングが発生。最後に披露したドラマ『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』のテーマソング「Setting Sail~モダンラブ・東京~」 を歌いきり、ステージから降りるまで、PORINの指からとんぼは離れなかった。野外フェスだからこそ起こる、自然の演出は素敵だ。


■ゴスペラーズ、唯一無二のコーラスで魅せる

ゴスペラーズ

ライブ中もずっと観客が増え続けていた米フェス。ゴスペラーズが始まる時にはスタンディングゾーンが入場規制になるほどの盛況ぶり。

グリーンとパープルの清涼感のある衣装で登場すると、まずは「いろは 」をアカペラで。続いてAIの「アルデバラン」、小田和正の「たしかなこと」をカバーする。どちらもゴスペラーズナイズされ、楽曲に新たな魅力が加えられている。「カバーを2曲聴いてもらったので、次はオリジナルを。ずっと同じ仲間で歩き続けた僕らの気持ちがたっぷり詰まった曲です」と、聴かせてくれたのは「星屑の街」。

ハウスバンドのメンバーを呼び込んでの後半は「永遠(とわ)に」 から「約束の季節」へとつなげた。 今年7月にセルフカバーアルバムを出した彼ら、その中からチョイスしたのは明日出演する手越祐也へのパスも込めて、テゴマスに提供した「DONUTS」。「ここから2曲はソウルなナンバーで、踊ってもらいたいと思います」と紹介して、「1,2,3for5」と 「終わらない世界」をチャーミングなダンスとともにパフォーマンス。 最後はYouTubeのTHE FIRST TAKEで再生回数が1千万回を突破した「ひとり」を、アカペラで。1曲1曲が、宝石のように煌めいていた。


■日向坂46 東山に咲く満開の笑顔で会場を魅了

日向坂46

2019年の米フェスが台風で中止となって以来、3年越しでようやく米フェスに日向坂46を迎える。

この日、米フェスのステージに上がったのは、山口陽世、高橋未来虹、高瀬愛奈、森本茉莉、高橋彩花、濱岸ひより、富田鈴花、東村芽依、松田好花、河田陽菜、丹生明里、加藤史帆、齊藤京子、上村ひなの、金村美玖、佐々木久美、佐々木美玲、小坂菜緒の18名のメンバー。

映像とOvertureから会場を沸かせ、1曲目「ドレミソラシド」は、“恋はいきなり訪れる”ことを表現する曲で、観客の心を一気につかんだ。2曲目は日向坂46のデビューシングルでもある「キュン」。グループが初の紅白歌合戦出場を果たした曲でもあり、キャッチーでアップテンポのナンバーだ。MCで笑顔を見せる彼女たちの姿に、我慢を重ねていたコロナ禍がようやく晴れようとしている、明るい予感を感じた。

3曲目も紅白歌合戦での歌唱曲「君しか勝たん」、そして4曲目の「アザトカワイイ」、5曲目「キツネ」へと恋する女の子の気持ちをあふれさせるエモーショナルなナンバーが続く。6曲目「NO WAR in the future 2020」は、許し合うこと、譲り合うことで平和な世界を作ることができる、という今こそ聴きたいナンバーだ。

ラストナンバーは10月26日にリリースされる、8thシングルとなる新曲「月と星が踊るMidnight」。誰もが学生時代に抱える悩みやジレンマを歌うこの曲は、きっと米フェスに来場した幅広い世代の人たちの胸にも刺さったことだろう。


■海援隊のナンバーで会場がひとつに

海援隊

米フェスに海援隊がやってきた! 1曲目の「あんたが大将」そして、ファンにはこれが楽しみでもあるMCトークで観客の心をつかむ。2曲目は名曲「贈る言葉」。どんな世代の人も一度は耳にしたことのある、まさに国民的卒業ソングだ。つむがれた歌詞と思わず聞き入ってしまうMCトークの巧みさに、海援隊を知らなかった若い観客もステージに引き込まれる。

海援隊

3曲目の「母に捧げるバラード」は、息子と母の関係を歌った名曲。1曲ごとのMCは武田鉄矢のサービス精神のなせるプロの技だ。まるでラジオ番組を聴くような気をそらさないトークと、名曲がおりなすステージで米フェスの会場がひとつになる。4曲目はドラマ『3年B組金八先生 第5シリーズ』の主題歌「新しい人へ」。多くのスターたちの登竜門だった人気ドラマシリーズだけに、どの曲も聴けばドラマのシーンがよみがえる。

ラストは、朗読 宮沢賢治『稲作挿話』から「声援」。日々の辛さを感じるすべての人を励ます海援隊からのエールが贈られた。

■フェスならではのコラボ連発! 南こうせつ

南こうせつ

登場時、空には大きな虹が。応えるかのように「虹が出ました!」と叫び、1曲目のセレクトは「野原の上の雨になるまで」。《茜さすころ》という歌詞のとおり、雲に茜が差している。歌い終わると、「はー気持ちいい!」と満足げ。続いて「風に吹かれて 再会篇」を歌うと、ここからはまさかのコラボタイム。最初は旧知の仲である海援隊と「旅人よ」をコラボ。「2つアルペジオがあってイントロ?」とステージ上で打ち合わせしている姿が見られるのも、貴重な機会だ。リードボーカルは1番が武田、2番が南。さらに、「若い人が一緒にやると言ってくれました」と呼び込んだのは、翌日に出演予定のwacciの橋口洋平。「舞台裏で誘っていただいて、こうせつさんの優しさが怖いです」と歌詞を引用して喜びを伝え、「神田川」をコラボした。

南こうせつ、橋口洋平(wacci)

橋口が舞台から下がると、「青春の傷み」に続いて歌ったのは「あの人の手紙」。70年代に作った戦争にまつわる曲だが、ご時世的に胸を打たれた。コロナ禍になって自分と向き合い作った楽曲「夜明けの風」で最後……かと思いきや、アンコールで「満天の星」を歌う。《満天の星》という歌詞に合わせて、観客が両手をヒラヒラと翻す。この日の夜空は残念ながら曇天だったが、客席に満天の星が降りてきた。


■秋の夜も彼らにかかれば真夏! TUBE

TUBE

背中に「TUBE」という文字の入ったベースボールシャツを着たファンたちが、手拍子で彼らを待ち受ける。いよいよ本日のトリ、TUBE登場。彼らが出てきたら例え10月であろうが、鈴虫の声が聞こえてこようが、そこは夏だ。「夏だね」と言われたら、「夏だよね」と返してしまうし、「あー夏休み」を歌われれば、いつまでも続くと思えた太陽がギラギラ照る長い休みを思い出す。前田亘輝の声には、それだけの説得力がある。半袖ショートパンツ姿のダンサーが登場、より夏感を高めると、1曲めの「Beach Time」でいきなり山から海へと観客をいざなう。

「さよならイエスタデイ」でさらに盛り上げると、前田は「いやー、寒いね。申し訳ない(笑)。この季節に似合う曲は、1曲も持ち合わせてないよ」なんて言いながら、語りかけるように歌い出す「夏だね」、そして「ガラスのメモリーズ 」。TUBEにとっても久しぶりの野外ライブだったそうで、「大勢の人の前でライブができるなんて、本当に幸せなことです」と現場を噛み締める。「ここらで自分たちの人生を振り返って、書いてみようかと」と作った「夏立ちぬ」は、夏のキーワードをふんだんに使いながらも、メッセージ性の強い曲だ。「ひまわり(Love & Peace ver.)」もしっとり聴かせると、「ここからはアゲアゲでいきたいね!」とダンサーを再度呼び込む。

前田の「ちょっと汗ばんで帰りましょうよ」というお誘いのもと、「真夏のピュ~!」「シーズン・イン・ザ・サン」とノンストップでアッパーチューンを連打。シメは「これをやらなきゃ終わんないでしょ。もうとっくに終わっちゃったけど(笑)」と、「あー夏休み」を熱唱。観客が両手を上げて揺らす光景は、まるで波のよう。最後に全員で大ジャンプ、確かにこの50分だけは夏であった。 


■東山の夜を彩る花火の打ち上げ

米フェス2日目の夜を飾る長岡花火は5プログラム。まず、『米百俵フェスオリジナルミュージックスターマイン 輝き』が打ち上げられた。米フェスの公式テーマソング「輝き」に合わせて、吹き上げる様々なグラデーション花火を輝いた子供たちの歌う声とともに、「笑顔の花火」として作られた花火だ。

米フェスでは毎年、テーマ曲「輝き」の合唱校を、長岡市内の小学校から募集しているのだが、昨年、米フェスとしての長岡花火の打ち上げができなかったため、2年越しで昨年の合唱校、新潟大学附属長岡小学校の皆様の合唱に合わせての打ち上げがかなった。

続くプログラムは『オープニング スターマイン THE 長岡花火』と『三葉柏wadou54』、『復興祈願花火 フェニックス』。そして、wacci橋口洋平の書き下ろしオリジナル曲によるミュージックスターマイン『HOPE TO THE FUTURE』の打ち上げで米フェス2日目は幕を閉じた。


文・篠崎美緒
ステージ写真・須佐写真事務所
花火写真・井上スタジオ

>>Bitter&Sweet、JUNNA、降幡 愛、鈴木愛理、大橋彩香、リトグリが出演した1日目のレポートはこちら