知っておきたいPORTERの傑作ビジネスバッグ13選 【鞄/靴/小物 ワークスタイル新定義】
【鞄/靴/小物 ワークスタイル新定義】
仕事と生活の調和を重んじるウェルビーイングが叫ばれる今、ひと度この言葉を鞄に当てはめた時、その理想像にピタリと合致するブランドが「PORTER(ポーター)」。
1962年に誕生した日本を代表する鞄ブランドは、あらゆる世相や流行の変遷を乗り越え、なぜ変わらず支持され続けているのか。その理由の一端を探るべく、ポーターの真価と進化について、同ブランドのA to Zを知り尽くす株式会社𠮷田の開発本部、松原賢一郎さんに聞いた。
■“ものを運ぶ鞄”から“感情を満たす鞄”へ
「これまでポーターでは鞄を“荷物を大切に運ぶ道具”として捉え、持ちやすさや使いやすさといった実用性を、言い換えるなら鞄としての物質的価値を追求し続けてきました。その道のりは、日本の職人さんたちと二人三脚で歩んできたものです。90年代までは、今ほど“日本製”に誇りを持つブランドは多くありませんでしたが、ポーターは質の高い国産鞄を製作し続けてきました。そのブレない姿勢こそが、今日“ポーター=丈夫で使いやすい鞄”と認知していただいている要因だと思います」
ただ、ここ数年で鞄そのもののあり方を再考する必要に迫られたのだとか。
「外出を自粛する人も増え、鞄自体の必要性が希薄になり、物質的価値を上積みしただけの鞄は、今の時代感に合致しない」
悩んだあげく、社会情勢に適応するように、なかば進化を促される形で開発したのが“ポーター センシズ”だったそう。
「キーワードは“感情的価値”。道具としての満足感だけじゃなく、名前通り五感に訴えかける鞄こそが、閉塞感が漂う現代に求められているんじゃないかと思ったんです。ただ従来にはない発想だったので、当初は社内でもなかなか理解されませんでした。しかし、コンセプトを丁寧に伝えることで次第に共感してもらえるようになりました。もしかしたら、これは先達たちがエポックな名作を作る際に辿ってきたのと同じプロセスかもしれません」
ポーター史に新たな一歩を刻む形で開発された同シリーズには、特徴的な2つのギミックが盛り込まれている。
「“αGEL”は負荷の多い部位に多機能素材を採用し、身体への負担を軽減させています。もうひつとは“匂い袋”。300年以上の歴史を誇る京都の“香老舗 松栄堂”さんに、オリジナルの香りを調製していただきました。揺れるたびに心落ち着く香りが漂い、癒しをもたらしてくれます。ストレスを軽減してポジティブな気持ちにしてくれる。今の時代にこそ求められる新しい鞄ではないでしょうか」
株式会社𠮷田 開発本部 松原賢一郎さん
97年入社。新製品の開発から店舗開発、新業態のブランディング、コラボアイテムの企画まで、あらゆる業務に携わってきた同社のブランドディレクター。コロナ禍を機に、時代に即した新定番として“ポーター センシズ”を開発
■センスいいね!と一目置かれるビジネス鞄
1. デイパのようにも使える2way仕様
PORTER SENSES
「2WAY PACK」(5万1480円)
オン・オフ、年齢、性別も問わず使えるように開発された革新シリーズ。ミニマルデザインと多彩な収納でビズ鞄として十二分な実用性を有しながら、要所に“αGEL”を採用。さらに心地良い香りを嗅いだ時はストレス値が13%下がるという研究結果を受け、創業300年を超える香老舗“松栄堂”謹製の“匂い袋”もセット。癒される鞄という新境地を開いた。W43×H28×D9cm
▲負荷がかかるハーネスに多機能素材“αGEL(アルファゲル)”を内蔵。未採用の鞄と比べてストレス上昇率が16%低下した。匂い袋と合わせてストレスを低減させる
2. 質実剛健を体現する代表作
HEAT
「TOTE BAG」(2万6950円)
▲右
ヒートのデビューは2001年。防弾チョッキにも使われるバリスターナイロンと耐水性に優れるターポリンを組み合わせて“タフ”を前面に打ち出し、すぐさま人気シリーズの仲間入りを果たした。とにかく頑強で、通勤ラッシュに揉まれてもへたり知らず。耐久性を重視する仕事人からも熱烈な支持を勝ち得ている。W38×H38×D18cm
▲ファスナーの引き手変わりに備えられているマグライトもヒートの象徴的意匠
3. 鞄史に名を刻むポーターの象徴
TANKER
「3WAY BRIEFCASE」(4万1800円)
▲左
説明不要の永世定番。名作フライトジャケット“MA-1”をモチーフに開発したオリジナルの3層生地とレスキューオレンジカラーの裏地を採用。ミリタリーの要素を取り入れるという、当時としては極めて画期的な鞄を形にしている。今作はそんな同シリーズのビズ向きモデル。大きく開く収納部とポケットで誰でも整理上手に。W40×H29×D10cm
▲背負ってよし、手で持ってよし、肩に掛けてよしの3wayだから使いみち多彩
▲チラリとのぞくレスキューオレンジが“わかってる感”をさり気に主張
4. テフロン加工のおかげで汚れ知らず
PORTER TIME
「3WAY BRIEFCASE」(5万2800円)
軽くて強いオリジナルのコーデュラナイロンツイル生地にテフロンファブリック加工を施し、優れた撥水&防汚性を獲得。裏面にはPVC加工も施されているので、内装に水滴が染みにくい。しっかりと自立する構造に設計されているうえ、ノートPCや折り畳み傘も収納できるなど、収納面が充実しているのも人気の要因。W42×H30×D14cm
5. 軽くて丈夫で水にも強い万能選手
PORTER HYBRID
「2WAY OVERNIGHT BRIEFCASES(S)」(4万8400円)
ヨットの帆を作る分野で世界一のシェアを誇るディメンションポリアント社と、米国の名門インビスタ社の協力によって開発したオリジナル生地“X-C1000”を採用。耐久、軽量、防水性の3拍子揃った秀才ファブブリックを使うことで、仕事使いに十分な機能を獲得している。名前通り宿泊が必要な出張時にも役立つ大容量が魅力。W43×H31×D15cm
▲大きく開くメイン層と多層構造のおかげで出張時の荷物の出し入れが容易
6. シンプルを極めたレザーシリーズ
PORTER SORT
「2WAY BRIEFCASE」(8万850円)
北米産の牛ステアを鞣しの段階で特殊加工して収縮させたことで、ビジネスシーンで嬉しいキメの細かい質感を実現。セミアニリン仕上げを施しているため、使い込むほど味わい深い色合いになる。底鋲付きで自立させても汚れにくい点は、品を売りとするレザーブリーフにはありがたい仕様だ。W42×H31×D11cm
▲背面にあおりポケットが設けられていて見た目に反して収納力は申し分なし
7. ピアノ線を用いた美フォルムが特徴
PORTER AVENUE
「BRIEFCASE(L)」(5万1700円)
外周にピアノ線を使い、エレガントな曲線フォルムを実現。エンボス加工されたステアレザーとの相乗効果でビズ映えするクラス感を獲得している。ブランドタグを箔押しで表現しているのも、品を後押し。シンプルになり過ぎないよう、前ポケには斜めに配したファスナーでデザインアクセントを加えているのも特徴。W44×H30×D5cm
▲シンプルなデザインだからこそピアノ線が生む曲線シルエットが際立っている
8. 米国空軍の飛行服がモチーフ
PORTER FLYING ACE
「2WAY TOTE BAG」(4万5650円)
50年代初頭に作られた米国空軍のナイロン製飛行服「FLYING SUIT/TYPE K-2A」をモチーフにした個性派シリーズ。往時の飛行服の風合いを再現しつつ、強度を高めたオリジナルの生地を使用しているほか、各種部材の選定にも注力。軍用ギアの優れた実用性、機能性、耐久性をビズに相応しい鞄に落とし込んでいる。W35.5×H36×D10cm
▲酸素マスク用のタブをスマホ収納に適したポケットとして応用
9. 耐久性と品を両得した秀才シリーズ
PORTER BOND
「2WAY HELMET BAG」(3万4650円)
世界最高水準の超強力な66ナイロン糸で織った、極めて耐久性の高い生地を使用。一般的なナイロン地と比べて約2倍の引き裂き強度と約1.6倍の引っ張り強度を有しているため、どれだけヘビーローテーションしてもへっちゃら。要所に革を配したり、アイコニックなブランドタグまで黒で統一したりと、細部までこだわり抜いた大人顔。W42×H45.5cm
10. 収納自在!な3層構造デイパ
PORTER EXPLORER
「DAYPACK(M)」(3万6300円)
ミリタリーテイストのデイパに特化したシリーズ。今作は効率的に荷物を仕分けられるよう3層構造に設計。メイン収納は大容量なので、かさばる荷物の収納向き。前層部はポケットが多数設けられており小物を効率的に収納できる。後層部には止水ファスナーや厚手のクッション材が採用され、PC収納に◎。W32×H41×D15cm
▲仕分けが容易な多層構造により大量の荷物を収納しても乱雑にならない
11. ビジカジ兼用向きのシンプルデザイン
PORTER LIFT
「DAYPACK」(4万2350円)
タテ糸に210デニールのナイロン糸を、ヨコ糸に中空状の繊維を複数ひねり合わせて紡績した強合撚ナイロン中空糸を用いて織り上げた、オリジナルナイロンツイルを採用。シルクのような光沢があるうえ、ベーシックなデザインなので、オンオフ問わず活用できる。生地裏にPVC加工を施し、水が染み込みにくいのも利点。W30×H42×D10cm
▲背面のボトム部分にはクイックに出し入れしたいスマホ収納に適した小型ポケットを完備
12. 多彩な加工と素材使いで実用性を追求
PORTER THINGS
「MESSENGER BAG」(4万2900円)
ナイロンツイル生地の表面にテフロンファブリックプロテクター加工を、裏面にPVC加工を施して、防汚&撥水性を向上。さらに背胴に通気、速乾、衝撃吸収性に優れた特殊立体ハニカム構造の多機能素材「キュービックアイ ピケライト」を世界で初めてバッグに採用するなど、使い勝手をとことん追求。W44×H31×D14cm
▲ストレッチコードには衣類や雑誌、折り畳み傘などを簡易的に収納できる
13. 通ウケも◎なタンカーの派生モデル
PX TANKER
「OFFICER BAG」(5万600円)
代名詞であるタンカーシリーズを軸にしたコンセプトショップ「PORTER EXCHANGE」の限定シリーズ。MA-1をモチーフにした3層構造のボンディング生地はそのままに、異なる色のテープを組み合わせ、より個性的な外観に。内装にはミルスペックタグを設け、13インチまで対応するクッション材入りのPCスリーブもばっちり完備。W34×H23.5×D9cm
▲サイドから底面にかけてファスナーを設け、荷物量に応じたマチ幅調整が可能
■コレ、オレの相棒
PORTER/αGEL GRIP
「2WAY BRIEFCASE」(10万4500円)
営業マンとして連日アクティブに動き回る株式会社𠮷田の営業部、西村祐晟さんは、衝撃吸収性に優れた“αGEL”をハンドルなどに内蔵した人気シリーズを愛用中。
「最近ではビジネスシーンにおいてもカジュアル化が進んでいますが、私は担当先に百貨店もあるため、相応の身嗜みが求められます。加えてカタログやPCを筆頭に、大量の荷物も持ち運ばなければならない。デザインと実用性、どちらも犠牲にしたくなかった中、響いたのがこのブリーフだったんです」
実際に使ってみると、その心地よさに大満足だそうで「手前味噌ですが、やはり一般的なブリーフよりも断然持ちやすい。1日持ち歩いても以前より疲れが軽減されているように感じます。スーツにもなじむし、本当に重宝していますね」
▲多層構造に加えメイン収納部はマチ付きのため中の荷物が取り出しやすい
▲フロントポケットにはペットボトルや折り畳み傘、ガジェット類もスッポリ
株式会社𠮷田 営業部 西村祐晟さん
2018年の入社前からポーター好きで、現職についてからもしばらくはタンカーのヘルメットバッグを愛用。タイドアップスタイルとのシンクロ率を考慮して本作を購入
■ポーターは60年、ずっとワーク・ライフ・バランスだった
鞄メーカーの𠮷田が1962年に立ち上げた自社ブランドが「PORTER」。90年代のバブル期まで、国内市場では海外のライセンスブランドが隆盛を極めるなか、国産鞄にこだわり続けてきた。それもこれも、すべては使い手のワーク・ライフ・バランスを調和し得る製品を作るため。代表作で簡単にその軌跡をおさらいしたい。
【1962】PORTERブランド誕生
▲展示会の様子(1963年)
【1968】BARON発表
▲野球グローブに着想を得た肉厚革を用いた、現存する最古のシリーズ
【1983】TANKER発表
▲発表時の展示会の様子
【1995】UNION発表
▲ワークウエアや工具用腰袋をモチーフにした前ポケがアイコン
【2002】PORTER SMOKY発表
▲ジンバブエコットン糸×コーデュラナイロン糸のハイブリッド生地
※2022年9月6日発売「GoodsPress」10月号70-75ページの記事をもとに構成しています<取材・文/黒澤正人 写真/高瀬博、逢坂聡(P71)>
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