イーロン・マスクのTwitter買収中止はボットが理由ではなく「マスクが第三次世界大戦を心配していたからだ」とTwitter側が主張
by Daniel Oberhaus
テスラCEOのイーロン・マスク氏はTwitterに買収を持ちかけ、両者合意の上で買収契約を締結していましたが、後に買収を取りやめる意向を示しました。自由な言論の場を求めて買収を提案したマスク氏は「Twitterに存在するボットがあまりにも多いこと」を買収中止の理由としていましたが、Twitter側の弁護士はマスク氏のメッセージを引用して異を唱えています。
https://www.ft.com/content/1b2eb3e0-8c0a-4f83-88c8-1c4528efe98f
Elon Musk Worried About ‘World War III’ for Twitter Deal
https://nymag.com/intelligencer/2022/09/elon-musk-worried-about-world-war-three-for-twitter-deal.html
Twitterは買収という契約の不履行を理由にマスク氏を訴えており、2022年9月6日に行われた公聴会の中で、マスク氏が銀行家に送ったというメッセージを弁護士を通じて公開しました。そのメッセージはマスク氏が買収契約を結んだ日の数週間後、2022年5月8日に送信されたもので、「明日のプーチンの演説は非常に重要だ。もし第三次世界大戦に突入するのであれば、Twitterを買収する意味はない」と書かれていたそうです。
このメッセージを根拠として、Twitterは「マスク氏が契約を取りやめようとする試みの動機となるものは、ボットに対する懸念などではなく、株式市場が冷え込む中で自身の金銭的利益を守ることである」と主張しました。
2022年7月12日から始まったTwitterとマスク氏の法廷闘争ですが、当初はボットの存在がマスク氏側の主な争点だったものの、後に元Twitterのセキュリティ責任者が同社のずさんなセキュリティ体制を告発したため、このことを理由に争いのさらなる泥沼化が懸念されています。マスク氏はこの告発を受けて、裁判の延期と証拠の開示を求めています。
マスク氏の弁護士は、Twitterが自らの不正行為を億万長者のせいにしていると非難し、この件に関してさらに情報を求める権利があると主張しました。
一方でTwitter側の弁護士は、買収を遅取りやめようとするマスク氏の努力を「金がかかるだけで何の意味もない調査だ」と反論し、セキュリティ責任者の告発内容は、その真偽のいかんに関わらず、合併契約を無効にする理由にはならないと主張しました。
次回の裁判は2022年10月17日に予定されていますが、前述の通りマスク氏の主張が認められれば延期される可能性もあります。Twitterもマスク氏も裁判に向けて着々と準備を進めており、両者数十の情報開示や召喚状を請求していると報じられています。