イタリアが誇るファンタジスタ、フランチェスコ・トッティ(29=ASローマ)がACミラン移籍の噂があるロナウジーニョ(26=バルセロナ)のセリエA入りを歓迎した。3日付のコリエレ・デッロ・スポルト紙の特集インタビューによるとトッティは「ロナウジーニョ?本当に(セリエAに)来る事を期待するよ。彼のようにスペクタクルで観客を沸かす事が出来る選手が(カルチョ・スキャンダルに揺れる)セリエAには必要だ」と語った。

トッティの正直な気持ちだった。結果最優先主義に染まって久しいイタリア・カルチョ。リーグ上位進出が欧州CL出場権獲得、ひいては莫大な放映権マネーに結び付く事から更なる結果を追求。ピッチ上では「後方タックル」「シミュレーション」「挑発」「差別」が続出、勝利という目的の為にありとあらゆる汚い手段が用いられた。この状況下で最も被害をこうむる選手はファンタジスタ、正にトッティの様な選手だった。平然と司令塔潰しが続いたなかでの2月19日、セリエA第26節ASローマ対エンポリ戦でトッティは相手選手の後方タックルにより左足首ひ骨を骨折。ドイツW杯を目前に控えた重要な時期に、イタリアの至宝は2ヶ月間の病院生活を余儀なくされた。結果を追求する姿勢はピッチ外にも飛び火していた。金品をばら撒き権力に物を言わせる形で「審判操作」「八百長試合」へと発展、コネ社会イタリアで多くの関係者が甘い汁をすする為に群がっていた。

05−06季終了間際に発覚したカルチョ・スキャンダル。ドイツW杯で優勝したとは言え、セリエAに漂うネガティブ・イメージは依然払拭されていない。06−07季開幕まで約1ヶ月。染み付いたネガティブ・イメージを取り払い、離れたサポーターを再びスタジアムに呼び込む為には魅力ある試合が必要不可欠。ロナウジーニョのACミラン移籍話、現実味は低いが今のセリエAに最も必要な選手である事に疑いの余地は無い。