火星移住計画 地球からの移動にかかる時間は?
火星に人類が移住するという未来が語られ始めてから、もう長い時間が経つ。
火星は24時間37分ほどで1回自転するため、24時間で自転する地球と似ている。地軸の傾きも地球とほとんど変わらない。さらに、濃度は薄いが火星も地球のように北半球と南半球で大気が大きな流れを持ち、惑星中を大気が一定のパターンで循環する大気の大循環という現象が起こっており、これも地球と似た環境にある。地球と火星はサイズや太陽からの距離など違う点も多いが、環境としてはよく似ている。では、本当に人は火星に住めるのか?
■火星移住計画 地球からの移動にかかる時間は?
『本気で考える火星の住み方』(齋藤潤著、渡部潤一監、ワニブックス刊)では、火星に人類が基地を作り、居住することが可能なのか、すでにさまざまな技術的な検討や実験が進められ、宇宙開発に伴う政治的、経済的な思惑が複雑に絡んでいる裏事情も含めて、火星という天体とそれを取り巻く宇宙開発状況を解説する。
地球から火星へ向かうとなると、現在のロケットのエンジンでは最大で9ヶ月程度かかるといわれている。そして火星に着いたら、まず居住基地を作らなければならない。
火星居住のイラストなどを見ると、地球上の太陽光発電所のような太陽電池ユニットを地表にずらりと並べている様子をみることが多い。しかし、一定以上の期間は活動する居住基地では、何度も大小の砂嵐を受け、結果として地表にあるものが傷だらけになったり、機材の隙間から潜り込んだ砂粒のせいで電気回路などに不具合が起こる可能性もある。
また、火星のように大気がなかったり薄かったりすると、宇宙空間を飛んでいるさまざまな放射線も大気のガードなしで降り注ぐことになる。また、火星には十分な磁場がないので、地球のようにヴァン・アレン帯で太陽や銀河から降ってくる放射線や荷電粒子などから地表を守ってくれるわけでもない。火星の地表は地球よりも過酷なのだ。
その意味で著者の齋藤氏は、惑星基地の根幹部分は地下に置くべきだと考えている。地上にあると昼夜の温度差や隕石、砂嵐、放射線などの影響を受けてしまうので、なるべく大事なものは地下室に置くのが妥当というわけだ。そのためには、現地まで行く宇宙船もだが、施工技術者を迎え入れるなどクルーの人員・専門分野の構成まで含めて考慮すべき問題は多いという。
将来、火星へ人類が到達する日は来るはず。そのとき、人は地下に住むことになるのか、そもそもなぜ人類の行き先として数ある惑星の中で火星なのか、そもそも移住できるのか。本書から宇宙探査や開発の今を学んでみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
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火星は24時間37分ほどで1回自転するため、24時間で自転する地球と似ている。地軸の傾きも地球とほとんど変わらない。さらに、濃度は薄いが火星も地球のように北半球と南半球で大気が大きな流れを持ち、惑星中を大気が一定のパターンで循環する大気の大循環という現象が起こっており、これも地球と似た環境にある。地球と火星はサイズや太陽からの距離など違う点も多いが、環境としてはよく似ている。では、本当に人は火星に住めるのか?
『本気で考える火星の住み方』(齋藤潤著、渡部潤一監、ワニブックス刊)では、火星に人類が基地を作り、居住することが可能なのか、すでにさまざまな技術的な検討や実験が進められ、宇宙開発に伴う政治的、経済的な思惑が複雑に絡んでいる裏事情も含めて、火星という天体とそれを取り巻く宇宙開発状況を解説する。
地球から火星へ向かうとなると、現在のロケットのエンジンでは最大で9ヶ月程度かかるといわれている。そして火星に着いたら、まず居住基地を作らなければならない。
火星居住のイラストなどを見ると、地球上の太陽光発電所のような太陽電池ユニットを地表にずらりと並べている様子をみることが多い。しかし、一定以上の期間は活動する居住基地では、何度も大小の砂嵐を受け、結果として地表にあるものが傷だらけになったり、機材の隙間から潜り込んだ砂粒のせいで電気回路などに不具合が起こる可能性もある。
また、火星のように大気がなかったり薄かったりすると、宇宙空間を飛んでいるさまざまな放射線も大気のガードなしで降り注ぐことになる。また、火星には十分な磁場がないので、地球のようにヴァン・アレン帯で太陽や銀河から降ってくる放射線や荷電粒子などから地表を守ってくれるわけでもない。火星の地表は地球よりも過酷なのだ。
その意味で著者の齋藤氏は、惑星基地の根幹部分は地下に置くべきだと考えている。地上にあると昼夜の温度差や隕石、砂嵐、放射線などの影響を受けてしまうので、なるべく大事なものは地下室に置くのが妥当というわけだ。そのためには、現地まで行く宇宙船もだが、施工技術者を迎え入れるなどクルーの人員・専門分野の構成まで含めて考慮すべき問題は多いという。
将来、火星へ人類が到達する日は来るはず。そのとき、人は地下に住むことになるのか、そもそもなぜ人類の行き先として数ある惑星の中で火星なのか、そもそも移住できるのか。本書から宇宙探査や開発の今を学んでみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
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