“女児連れ去り”阻止の悪役レスラー・オーカーン直撃!救出劇の裏側と道徳心を学んだ「交番女子」アニメ
4月4日、神奈川県内にある中原警察署には多くの報道陣が集まっていた。20台はありそうなムービーやスチールのカメラに囲まれ、グレーのスーツ姿で深々と頭を下げていたのはプロレスラーのグレート-O-カーン選手(以下、オーカーン選手)。
【写真】少女を救出したオーカーン選手、プロレスコスチュームが独特過ぎる
一見すると、何かトラブルを起こしたのかと勘違いしそうになるが、彼がトラブルを解決し管轄の警察署から感謝状を受け取ることになったのだ。
普段は「ひれ伏せ愚民どもっ!」
「3月29日の夜、東急東横線・武蔵小杉駅のトイレの前を彼が通りかかった際に男女がもめているような声が聞こえたそうです。60歳くらいの男性と小学生くらいの女児だったため、はじめは親子ゲンカかなと思ったそうですが、どうも様子がおかしいと。男性は酔っている様子で"いいから! いいから!"と女児の両肩をしつこく引っ張り、"やめてください"と彼女は抵抗していたため、異変に気付いたオーカーン選手が助けに入ったのです。
はじめは相手の男性も"何だお前? 関係ないだろ?"と大きな声で抵抗してきたそうですが、オーカーン選手はあえて敬語で"何をしてらっしゃるんですか?""親子ですか?"と聞いてみたところ、女児が"いえ、違います! お母さんがトイレの中にいて待っているんです"と答えたため、その場で取り押さえたといいます」(スポーツ紙記者)
“連れ去り事件”を未然に防ぐというお手柄だったわけだが、普段のオーカーン選手はリング上で大暴れするコワモテの“ヒールプロレスラー”として知られている。
「棚橋弘至選手のようなさわやかイケメンのベビーフェイスではなく、身長188センチ、体重110キロを越える大きな体躯に伸びた髭、ヘアースタイルは弁髪(辮髪)という変わり種。しかも自分のファン以外のことは“愚民”と呼ぶなど傍若無人な性格のレスラーで、“ひれ伏せ愚民どもっ!”と容赦ない罵詈雑言を浴びせることで知られた存在です」(同・スポーツ紙記者)
若干の不安を抱えつつ(?)、今回の救出劇について本人に話を聞いてみた。
「たかが一度事件の解決に尽力しただけ。警察官が毎日している。そんな忙しい中で贈呈式を開いてくれたことに感謝する。だが、本来であれば感謝状を受け取るような大したことはしておらぬし、被害者・加害者ともに大ごとにしてしまい手放しで喜ぶ気にはなれん」
ん? 独特な言葉遣いが印象的ではあるものの、語っていることは至極真っ当なことだし、常識人そのものだ。
今回の勇気ある行動には日本中から称賛の声が相次いでいるが、特に注目されたのが、片手で制圧した理由。実はもう片方の手にスイーツを持っており、助けたあとには女児に「大丈夫? 怖かったよな。パンケーキあるけど食うか?」と呼びかけていた。これについても聞いてみると、
「パンケーキと桜もちパイじゃな。あのときは左手でパイを食べていたんだ。パンケーキは帰ってから食べようと思っておった。人間寝て甘いものを食っていれば、それだけで幸せじゃ。幼子もずっと泣いておったが、パンケーキを食って少しだけ笑ってくれたわい」
アニメやマンガが大好き
大の甘党であることまで発覚。その優しさはまるでドラマの二枚目ヒーローのようだ。具体的には、どのようにしてパイを持ったまま取り押さえたのだろうか。
「右手で相手の左脇下を通し腰や肩、首など臨機応変に持ち手を変えてホールド……。わかりやすく言うとハグのような形をキープしながら、相手を刺激しないように敬語で日常会話を続けていた」
その風貌で、逆に被疑者と間違えられなかったのだろうか。
「人を見た目で判断するような愚か者ならそうかもな。ところで、こういうのは余の顔がどうとかじゃなく、人間は怖い目に遭うと簡単には声を出せない。彼女が声をあげたことが何より勇気があったと思う」
身体が大きくて強いプロレスラーとはいえ、どんな相手かわからないし何か武器を持っているかもしれない。怖くはなかった?
「怖いわけなかろう。例え余よりデカくても凶器を持っていても、確実に制圧できる自信がある。そんな甘っちょろい練習は新日本プロレスのレスラーは誰ひとりしておらん」
意外にも(?)オーカーン選手は大のアニメやマンガ、ライトノベル好きで"最強のオタク"とも一部ファンから呼ばれているという。試合での姿とのギャップに大きな反響を呼んでいるが、本人はいたって冷静だ。
「アニメを見ていたから道徳心やヒーローらしさを学べるし、実際『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』という警察官のアニメを見ていたおかげで、事情聴取に寛大な心でどこまでも付き合ってやろうと心構えができていた。ギャップといわれるかもしれんが、物は使いようなだけだと思うぞ」
最後に、今回の件でオーカーン選手を知った人たちへのメッセージを聞くと、
「余は極悪非道のレスラーである。だからこそよくわかるが、この世に聖人君子はおらん。この記事を見ている貴様もそうだし、貴様が好きな者も尊敬する者もだ。だから人を許せる器と、罪を認める度量と、防犯意識を高めて幸せな人生を歩んでくれ。幸せな人生に刺激が欲しいときのみ、新日本プロレスを観に来い」
人は見た目によらず。リング上ではさらなる勇敢な姿が見られるかも!?