たった2畳だけどこだわったワークスペース。狭くても快適に過ごせる5つの工夫
テレワークなど自宅で仕事をすることが当たり前になった昨今。自宅でワークスペースをねん出する人も多いです。でもなかなか広さを確保できないことも…。整理収納アドバイザー2級の資格を持つライターの小林ユリさんは、2畳のスペースをワークスペースにしました。そんなこだわりを今回紹介してもらいました。
たった2畳でも満足!心地よいワークスペース
昨今のワークライフスタイルにおいて“あると便利”なのが、気軽にオンオフを切り替えられる空間です。家での過ごし方に変化が起こっている今、たとえ小さくても作業に集中できる空間があるといいですよね。私も2年前に自宅のリノベーションを行ったのですが、その際新たに仕事部屋をつくりました。
間取りや収納方法を工夫すれば小さな部屋でもじゅうぶん満足できる部屋にすることができます。私のワークスペースはたった2畳程度しかありませんが、使い勝手にこだわり、とても満足できる内装になっています。この部屋をつくるにあたり、小さな部屋の使い勝手を上げるために、自分が仕事のときにどのような動きをするかを考えることから始めました。
●仕事部屋の使い方について具体的にイメージすることが肝心
たった2畳程度のワークスペース。当初は4〜6畳程度の部屋がほしかったのですが、家全体の大きさを考えると仕事部屋として確保できるのは2畳程度が精一杯でした。以前住んでいたアパートでは6畳の部屋を仕事部屋にしていたのですが、今回の家の大きさではそこまでの空間を設けることはできませんでした。
ただ、それでも自宅を仕事場にしている私にとって仕事に集中できる部屋はなくてはならないものだったので、家の設計図を見ながらどのように工夫すれば狭い空間を活用しきることができるかを考えてみることにしました。
●「広い=快適」という考えは間違い
仕事部屋での過ごし方を振り返ってみると、じつはそんなに大きなスペースは必要ないことがわかりました。6畳の部屋を仕事部屋にしていたとき、始めの頃はデスクと本棚と小物を置くスペースを分けて空間づくりをしていました。しかし、いつの間にかデスクまわりにものが集中していることに気づきました。
作業用BGMをかけるためだけにイスから立ち上がるのは嫌だからと、手元に置ける小さなスピーカーを購入してデスク付近に置きました。時計やプリンタも同様です。資料を探すためにいちいちデスクを離れるのが億劫だからと資料を床に出しっぱなしにしたりもしていました…。
つまり私の場合、デスクまわりが充実していなければ、たとえ20畳のスペースを使っても満足度が低い部屋になってしまいます。改めて考えてみたら、デスクのまわりを充実させることこそが私にとっての使いやすいワークスペースだということに気づいたのです。
●ワークスペースの場所は働き方やライフスタイルを考慮
仕事に集中できるようにリビングの中や、すぐ隣の部屋ではなく、家族の生活動線や家事動線から離れた寝室の横にワークスペースを設けることにしました。
ただ、完璧に隔離されているわけではなく、曇りガラスの窓つきのドアを採用し、家族の気配を感じることができるようにしました。そのおかげで、夜になって夫が帰ってきたら部屋の電気がつくためすぐにわかりますし、母が訪ねてきても影で気づくことができます。逆に外からも中の様子がなんとなくわかるため、仕事に集中していそうな場合には「声をかけない」というように気をつかってもらうこともできます。
私の場合、夜中まで仕事をすることもあるので生活音を気にせずに過ごせる位置にワークスペースを構えましたが、家族の様子を見ながら仕事を行いたい場合はリビングから続きの空間を利用するといいと思います。自身のライフスタイルや仕事の仕方を考えることが大切です。
狭くても充実したワークスペースをつくる5つの工夫
ここから、狭さを逆手にとった私なりの工夫を紹介します。
(1) デスクの幅と奥行きは用途に合わせて決める
私はノートパソコンを使用しているのですが、脇にデュアルモニターを置いているので、それを並べて置けるだけのスペースが必要でした。
横手方向のデスク幅ではたりないので、長手方向にデスクを設置しています。通常、ノートパソコンを使用するだけなら50cmあればかなりゆとりがあると言われていますが、私はパソコンをみながらメモをとることも多いので、パソコンを広げたまま手前にB5ノートを置けるよう、少し深めに60cmの奥行きを確保しています。
(2) 余分なスペースはスタンディングデスクとして活用
長手方向にデスクを置くと、最大で180cmの大きさのデスクを置くことができます。私のワークスペースは2畳よりも少し大きく、長手方向が約200cmあります。両手を伸ばしても端まで使いきることはできません。私は身長が154cmと小さめなので、なおさらです。
200cmのデスクの一部でも無用の長物となってしまってはもったいないので、片方の端の60cmほどをスタンディング用のデスクとして使用できるよう立ち上げました。そのときにできた空間10cmの隙間は収納スペースとして使用しています。
立って仕事をすることもできますし、最近はコーヒーメーカーを置いてちょっとした休憩スペースに利用したりしています。
(3) 本棚のサイズは置くもののサイズに合わせる
わが家の場合は間取り的に横手方向はそれほど移動の邪魔になりません。ですので、プリンタなどを置けるように奥行きを少し深めの33cmに設定しました。パソコンバッグもピッタリ収納できます。
もともと長手方向の棚は、旅行先から持ち帰ったお気に入りの小物類を飾るための飾り棚にするつもりでした。そのため15cm程度の奥行きにする予定だったのですが、今後本が増えても大丈夫なようにムック本などがギリギリ置ける23cmに設定しました。置くものの自由度を高めるため、可動式の棚にしてあります。
デスク上にも本棚を設置して、収納力を高めています。こちらは幅約140cm、奥行き30cmです。置くもののサイズと量をあらかじめ測っておくことで、空間を広く使うようにしました。手を伸ばせば見たい資料がすぐに取り出せるので、仕事の効率が上がりました。
(3) 身動きの取りやすさも考慮する
イスを引くためには最低でも75cm必要。それ以下だと身動きを取るのに狭いと感じてしまいます。少しでも広々と使用できるよう90cmの幅を確保したので、キャスターつきのイスで移動しても、棚や壁に身体がぶつかってしまうようなことはありません。
(4) コンセントの位置や数を検討する
デスク上に3口、プリンタ下に2口、入り口付近に3口のコンセントをつけました。スペース的に考えれば、たった2畳程度の部屋にしてはコンセントをかなり多く設置していると感じると思います。しかしワークスペースにはパソコンやモニター、デスクライトや各種充電器などの電化製品が集中します。それらを不自由なく充電できるようにするには、これくらいのコンセント数は決して多すぎることはありません。
(5) 家具は「造作」にして徹底的に無駄を省く
インテリアショップなどで家具を購入すると、どうしても無駄な部分が出てきてしまいます。すべての箇所においてジャストサイズでフィットさせるのは無理な話です。
広い部屋ならそれでもよいのですが、狭い部屋では無駄なスペースなんて1mmたりともありません。無駄なスペースを徹底的に省くため、わが家ではデスクも本棚もすべて造作家具にしました。
造作家具とは、オーダーメイドの造りつけの家具のこと
●家に合わせた暮らしをするのではなく、暮らしに合わせた家にしたい
広い家に憧れても、様々な要因からその願いを叶えられないこともあります。しかし自分の生活を見極めてから家づくりをすることで、狭さや住みにくさを補うことができます。その家で、その部屋で、今後どのような暮らしをしたいかを考えてみると、自分にとって快適な空間を手に入れることができるのではないでしょうか。