コンドームメーカーの調査によると、パートナーがいてセックスレスに悩んでいる人は6割以上。この割合は世界一なのだとか。セックスレスがきっかけで、夫婦関係が壊れてしまうケースも少なくありません。今回取材した菜々子さん(仮名・32歳)もその一人。セックスを拒否してくる夫、子づくりのアドバイスをしてくる無神経な義理の母、そして孤独だった新婚時代を振り返っていただきました。

孫を熱望する義母。セックスレスなんて言えない…

大学時代から2年半の交際をしていた同い年の彼氏と、卒業後すぐに結婚した菜々子さん。夫婦2人とも新卒で正社員として就職し、将来に向けてコツコツ貯金をしようと話していました。だから新婚当時は食事を節約するために、料理もがんばっていたのですが、夫は仕事が忙しすぎて食事をとる間もなく、せっかくつくったごはんが無駄になってしまう日々が続いたのです。

●会社に連日泊まり込み。つい夫の携帯を見てしまった…

夫の職場はなにかトラブルが起きると、会社に泊まり込みで仕事をするのが普通になっている様子でした。もしかしたら浮気でもしているのではないかと思い、コッソリ携帯を見てしまったこともあるのですが、そんな様子は皆無。罪悪感だけが残りました。

ほかの同僚の奥さんに相談しても、みんな似たような働き方をしているようなので、「終電までになんとか帰ってきてよ!」と強くも言えず。好きな仕事へまい進する夫を応援するしかありませんでした。

●夫への愛は変わらないけれど、拒否される悲しさが募る

2人の記念日やお互いの誕生日など、大事な日には必ず2人で食事にいく時間をつくってくれる夫。どんなに仕事で疲れきっていても、つき合っていた頃と変わらず、ロマンチックな演出をして私のことを労わってくれる夫のことを心から愛していました。

しかし、セックスの回数は新婚1年目から激減。月に1度だったものが、3か月に1度になり、半年に1度になり…。だんだんと間隔があいていき、3年目を過ぎたころには、完全にセックスレスの状態になってしまったのです。

早朝に帰ってきて、シャワーだけ浴び、またすぐに会社へ行ってしまう夫。もはやいちゃいちゃすることすらなくなっていました。まさかこんなに深刻なセックスレスになってしまうとは自分でも思っていなかったので戸惑いました。

●近すぎる義母との関係。マンションを買ってくれたけど…

私たちが今住んでいるマンションは、夫の両親が買ってくれた物件。結婚当初は家賃負担がなければ、たくさん貯金ができると思ってありがたかったのですが、なんと同じマンションの別の階に義理の両親も部屋を購入し、引っ越してきたのです。距離が近すぎる義理の両親との関係もストレスになっていきました。

とくに宝飾品のデザイナーをしている義母は、ファッションが好きという共通点があったので、夫や義父がいなくても気軽に「2人で買い物に行こう」と誘ってくれました。初めのうちは、フレンドリーなお義母さんでよかったと思っていたのですが、その頻度がどんどん増えていったのです。

ことあるごとに「銀座で、展示会があるの。ショッピングのあと一緒にいきましょう」「菜々子さんが好きなブランドのパーティーの招待状もらってるから、この日あけておいて」と連絡が。どうせ夫は仕事なので、ひとりぼっちで過ごすよりはマシ! と自分に言い聞かせてみたのですが、毎週、毎週これをやられるとさすがにキツくて。
それ以外でも「似合いそうなお洋服、買ってきたわ」といって、家に遊びにくるようにもなり、なんだか監視されながら生活しているかのような気分に…。自分の時間もないし、負担が大きくなっていきました。

●無神経な妊活アドバイスを連発。原因はあんたの息子なのに…

結婚3年目にセックスレスが深刻化していたころ、義母が孫の誕生を熱望するようになったことが重なり、さらに頭を痛めました。義母と2人で出かけるたびに、私たちの夫婦生活の話題をふってきては首を突っ込んでくるように。「そういうのは女性から誘わないとダメ」とか「子どもを産むなら20代のうちじゃないと」「産み分けに興味はある? 不妊治療のいいところを紹介する」などとアドバイスを連発。

セックスを拒否しているのは夫なのですが、義母は自分の息子が拒否してセックスレスに陥っているなんて夢にも思っていないようでした。それに夫の両親にはいろいろよくしてもらっているので「余計なお世話です」とも言えず、顔では笑って素直に返事をしていましたが、トイレへ駆け込んで泣いてしまったこともありました。

●親族が集まる席で孫ができないことを責められる

そんなある日、お正月恒例の親戚の集まりがありました。場所は、義理の両親の家。同じマンションなので、早朝からお手伝いをしていたのですが、義母と2人きりで料理を作っている最中にハッキリと「子づくりは順調なの?」と聞かれました。最初は笑ってごまかしていたのですが、「どうなの? 排卵日にちゃんとしているの?」と詰め寄られ、ついに「今はそういうタイミングじゃないので…」と話を濁すハメに。

ところが義母は皆がいる宴会の席でも「菜々子さん、子づくりに後ろ向きみたいだけどどういうこと? 早くしないと産めないのよ、ねぇ」と周囲に同意を求めるように話をしてきたのです。

資産家の一族に生まれ育った義母に婿入りしていた義父はなにも言えず。その場にいる夫も、自分の責任を感じているのか鈍感でなにもわかっていないのか、まったくかばってくれませんでした。ほかの親族も義母の意見に同調する年配の人が多く、「セックスレスなんです」なんてとても言えるような状況ではありません。もう仕方ないと諦めた瞬間、涙がこみあげてきました。いろんなことに限界がきていたのだと思います。その場を立ち去り、自分の家へ帰って部屋に閉じこもって大号泣。

しかし、夫は追いかけてきてもくれない。徐々に冷静になり、だんだん怒りがこみ上げてきました。