九州から世界へ! 福岡を拠点とする「Sengoku Gaming」のホームスタジアム「チャレパ」訪問
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株式会社QTnetと株式会社戦国が運営する、西日本最大級のeスポーツ総合施設「esports Challenger’s Park」(通称:チャレパ)。福岡・天神にあるチャレパは、幅広い層が楽しめるeスポーツ施設であると同時に、プロeスポーツチーム「Sengoku Gaming」のホームスタジアムでもあります。
記事の前半では、施設内にあるスタジアムやプレイエリアなどの各エリア、定期開催されているパブリックビューイングの模様をご紹介。記事の後半では、「Sengoku Gaming」を運営する株式会社戦国の代表取締役、西田圭さんのインタビューをお届けします。
天神駅から徒歩10分、ロフト8階のワンフロアに展開
チャレパは2021年8月、九州最大の繁華街である福岡・天神にオープン。天神駅から徒歩10分の位置にある天神ロフト8階、延べ床面積およそ610平米のワンフロアに展開しています。施設内は、スタジアム、プレイエリア、配信ブース、PRエリア、スタディルーム、カフェ、ショップの7つのエリアによって構成され、さまざまな用途で楽しめるようになっています。
また、この施設をホームスタジアムとする「Sengoku Gaming」は、福岡を拠点として「九州から世界へ」というスローガンを掲げるプロeスポーツチーム。『League of Legends』(LoL)をはじめとする、9つのゲームタイトルで部門を持っています。
現在は、LoL部門が出場する国内リーグ「LJL 2022 Spring Split」のパブリックビューイングが定期開催されており、リーグ全日程の18時から22時まで、参加無料で観戦できます。
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エレベーターで天神ロフト8階へ上がり、エントランスに到着
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エントランス正面には、LoL部門の選手たちのパネルやサインなどが展示されている
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エントランスの横には、さまざまな部門の選手や来場した著名人のサインが並ぶ
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入場すると目の前に広がる、スタジアムとカフェのあるスペース
超高速回線でのプレイ環境! 選手たちの練習場にも
広々としたフロアの奥には、20台の高性能ゲーミングPCが備えられた「プレイエリア」と、配信環境が完備された2部屋の「配信ブース」、スポンサー企業の最新デバイスなどが並ぶ「PRエリア」があります。
各エリアに並ぶゲーミングチェアはすべて、「Sengoku Gaming」のロゴが刺繍された特製デザイン。これらは福岡を拠点とする企業、関家具によるゲーミングブランド「Contieaks」で作られたオリジナルのコラボモデルです。
また、九州電力グループの通信事業者であるQTnetが手掛けるチャレパでは、超高速インターネット回線の環境が整っていることが大きな特徴の1つ。施設のネットワークには、データセンターや金融機関などで使われるものと同様の、超高速かつ安定した10Gbpsの専用回線が使用されています。
そのため、選手たちの練習場としても適しており、実際にこの日もPUBG MOBILE部門の選手たちが練習に来ていました。PUBG MOBILE部門のメンバーは、普段からチャレパに集まって練習できる環境を整えるため、選手とコーチを含めた全員が福岡へ移住しています。
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プレイエリアは3時間2,000円で利用可能。学生やQTnetユーザーには割引が適用される
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関家具が手がける「Sengoku Gaming」コラボモデルのゲーミングチェアが並ぶ
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マウス、キーボード、ヘッドセットなどの周辺デバイスは「Logicool G」シリーズ
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施設のネットワークが集約されている機器が、直接見れるように置かれている
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2部屋ある配信ブース。この日、1部屋はPUBG MOBILE部門の選手たちが練習に使用していた
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配信ブース内には配信に必要な機材がそろう。1〜2人で個室としての利用も可能
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スポンサー企業のPRエリア。貸し出ししているデバイスを試用することもできる
スタディルームでは、eスポーツ体験会や公開練習を実施
先ほどのプレイエリアとは別に、10台のゲーミングPCが並ぶ「スタディルーム」も設けられています。この部屋は、前方に講師用のゲーミングPCが2台用意され、教室のようなつくりになっていました。
スタディルームでは、初心者向けのeスポーツ体験会や、企業や自治体向けのeスポーツ講習などを開催。土日に行われているeスポーツ体験会では、スタッフによるレクチャーとともに『Rocket League』や『Fortnite』などのさまざまなタイトルが体験でき、家族連れも多く参加しているそうです。
今後は、「Sengoku Gaming」の選手やコーチによる、プロを目指すプレイヤーに向けた講座の実施も検討しているとのこと。また、スタディルームは外からガラス越しに様子が見える部屋になっていることから、ファンを招いた公開練習にも活用されています。
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土日祝に定期開催されているeスポーツ体験会は、90分500円で参加可能
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教室として使うため、前方には講師用の座席とモニターが用意されている
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公開練習の際は、ガラス越しに選手たちが練習する姿を見ることができる
こだわりのカフェや、チームグッズがそろうショップも
チャレパは、ゲーミングPCを使う目的だけではなく、カフェとしても利用できます。カフェでは、ニュージーランドのコーヒーロースター「Coffee Supreme」が監修する、こだわりのコーヒーが提供されています。
看板メニューは、エスプレッソにミルクを注いだフラットホワイトと、甘辛牛肉がおいしいオリジナルフードの「SENGOKUドッグ」。パブリックビューイングの開催時には、飲み物とスナックをセットにした「応援セット」の販売も行われます。
このカフェでは普段、ノートPCを開いて仕事をしている人もいるのだそう。超高速インターネット回線のWi-Fiが完備されていることを考えれば、仕事をするにも快適な環境だと言えるでしょう。
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カフェの注文カウンター。こだわりのコーヒーのほか、軽食もバリエーション豊富
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カフェスペースにはカウンター席、テーブル席、ソファ席がある
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フラットホワイトとSENGOKUドックの「SENGOKUセット」(1,000円)
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飲み物とスナックの「応援セット」。アルコールなら500円、ソフトドリンクなら400円
チャレパの入り口すぐにあるショップでは、「Sengoku Gaming」の公式グッズが販売されています。ラインアップは、キーホルダーやマグカップなどの雑貨から、Tシャツやレプリカユニフォームなどのアパレルまでさまざま。イメージカラーの赤と黒をベースに、チームロゴがデザインされたアイテムがずらりと並びます。
また、このショップではRiot Gamesの公式グッズも扱っており、『LoL』のマウスパッドやフィギュアなども販売。現在、Riot Games公式グッズは商品を直接見られる実店舗での取り扱いが少なく、人気の高さから取材時点ではかなりのグッズが売り切れていました。
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「Sengoku Gaming」公式グッズが並ぶショップ。チャレパ限定のアイテムも多数
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シンプルなロゴ入りシャツからレプリカユニフォームまで、幅広くそろうアパレル
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親子でおそろいにできる、かわいらしいキッズサイズのTシャツも
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キーホルダーやピンバッジなど、手軽に買いやすいグッズも豊富
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人気のあまり多くの商品が入荷待ちになっていた、Riot Games公式グッズの棚
ホームスタジアムで応援! LJLパブリックビューイング
5対5の対戦ステージをセッティングすることが可能な「スタジアム」では、約200インチの大画面モニターで試合を観戦できます。この日は、LoL部門が出場する「LJL 2022 Spring Split」のパブリックビューイングが行われました。
お酒を片手に「Sengoku Gaming」を応援する光景は、まさにホームスタジアムのイメージそのもの。現在「LJL 2022 Spring Split」は水・金・日に開催されており、この日は平日夜だったため、仕事帰りで観戦に来ている人が多く見られました。
「LJL 2022 Spring Split」は、全8チームによるレギュラーシーズンが3月25日まで実施され、その後上位6チームによるプレイオフが4月10日まで実施されます。開催スケジュールやパブリックビューイングの詳細は、チャレパの公式サイトをご覧ください。
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試合スタートの時間に向けて、徐々にスタジアムに人が集まってくる
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カフェで販売されている「応援セット」を片手にスタジアムで観戦
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この日の試合では「Sengoku Gaming」が見事勝利を獲得!
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スタジアムの座席だけでなく、カフェスペースから観戦することもできた
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株式会社戦国 代表取締役の西田圭さんにインタビュー
「Sengoku Gaming」を運営する株式会社戦国の代表取締役を務める、西田圭さんにインタビューを行いました。チャレパがオープンした背景やeスポーツ施設としてのこだわり、ホームスタジアムを持つチームとしての取り組み、地元企業との関わりなどについてお話をうかがっています。
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株式会社戦国 代表取締役の西田圭さん
――まず最初に、簡単な自己紹介をお願いいたします。
西田圭さん(以下、西田):私はもともと親会社のQTnetにいて、この施設のオープンにあたって責任者をしていました。2021年10月からは株式会社戦国の代表取締役を務めております。
私自身がeスポーツに関わり始めたのは、ここ2年。社会人になってからは、あまりゲームに触れていなかったのですが、この施設の準備を始めたころにちょうどモバイルゲームの『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』が出て、今では毎日プレイしています。『VALORANT』などのFPSゲームは、画面酔いしてしまうので観戦専門です(笑)。
――QTnetと戦国によって運営されるチャレパは、どのような経緯でオープンされたのでしょうか?
西田:「Sengoku Gaming」はもともと、鹿児島の漁師である岩元(株式会社戦国の取締役)が立ち上げたeスポーツチームで、活動に適したインターネット回線が必要になったことをきっかけに、QTnetとの接点が生まれました。
eスポーツとインターネット回線は親和性が高く、通信事業を展開するQTnetにとっては新たな事業としてシナジーがあるため、一緒に取り組んでいくことになりました。当初は出資のみでしたが、2021年にグループ会社化し、そのタイミングでチームの拠点をQTnetの本社がある福岡に移しています。
そして、そのグループ会社化を発表する際、QTnetの社長が記者会見で「eスポーツ施設を作ります」と宣言したんです。eスポーツが体験できて、かつeスポーツが“見える”リアルな場所がまだまだ少ないため、そうした施設を作ろうという話になりました。
――この施設をオープンするにあたって、こだわった部分を教えてください。
西田:一番には、明るく開放的な施設にしたいという思いがありました。なので、窓から自然光が入る場所にしようと、福岡だけでも40カ所くらい探して、ようやくイメージに合う場所を見つけたんです。
実際にお客様からは、「eスポーツに対するイメージが変わった」という声を多くいただいています。お子様連れの親御さんやシニア層の方々は、ゲーム関連の施設というと、昔のゲームセンターのような暗い場所をイメージされることが多いんですね。なので、チャレパに来場いただくと、イメージとのギャップに驚かれます。
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窓に囲まれたスタディルームは、日中は明るい自然光が差し込む
親子でも参加できる、eスポーツ体験会の取り組み
――eスポーツ総合施設として、普段どのようなイベントや取り組みをされていますか?
西田:裾野を広げていくことが重要だと考え、幅広い層の方々にeスポーツを知っていただくために、eスポーツ体験会を定期的に開催しています。
また、コアなプレイヤーの方向けにも、『LoL』や『VALORANT』などの交流会の開催を始めました。スタジアムで5対5の対戦をすることもできますし、それを配信する設備もそろっていますので、いろいろなコミュニティの方にお声掛けさせていただいています。
――eスポーツ体験会は親子連れでの参加も多いそうですが、どういった内容の体験をするのでしょうか?
西田:親子で参加される場合、親御さんはお子さんがゲームする様子を見たり、一緒にプレイしたりします。お子さんが普段から触れているという理由で、『Fortnite』をプレイされることが多いですね。
親子で対戦してもらうと、お父さんが9割9分負けるんですよ(笑)。そうすると、お父さんがすごく悔しがって、お子さんにプレイを教わるようなシーンも見られて、とても良いなと思っています。
――子どもが普段プレイしているゲームを、親御さんが知る機会になるのは良いですね。
西田:おっしゃる通りです。体験会が終わった後の親御さんへのアンケートで、「子どもがゲームでどんなことをしているのか知らず、いつも『またゲームをやっているのか』と思っていたけど、一緒にプレイしてみたら、ものすごく考えながらやっていることがわかった」といった感想をいただいています。
そのほかに、「子どもとの新しいコミュニケーションのきっかけが作れそう」という声も多くいただきました。裾野を広げていく目的に対して、狙っていた反応が得られている実感があるので、これはぜひ継続していきたいと思っています。
ホームスタジアムの存在が、選手のプロ意識向上に
――「Sengoku Gaming」のホームスタジアムとしては、どのような取り組みをされていますか?
西田:まず1つには、定期的に開催している大会のパブリックビューイングがあります。そのほかにも、選手とファンの距離をより近づけるため、ファンミーティングや公開練習などを実施しています。
例えば、2021年11月にワイルドリフト部門が世界大会に出場した際は、出発前に選手たちがチャレパに集まって練習を行い、そこにファンの方々を呼んで壮行会イベントを開催しました。
――ホームスタジアムの存在について、所属選手からはどのような反応がありますか?
西田:選手たちが初めて来たときは、「こんなところを練習に使っていいんですか!?」と、みんな驚いていました(笑)。選手からは、「ホームスタジアムを持つチームの選手として、もっとプレイの質を上げていこうと、モチベーションがより高まった」という声をもらっています。実際に、選手たちのプロ意識向上につながっていると感じますね。
――「Sengoku Gaming」を応援するファンの方々からの反応はいかがですか?
西田:ファンの方々からも良い反応をいただいていて、なかにはイベントで選手を見て泣き出すくらい喜ぶファンもいらっしゃいました。ずっとオンラインで画面越しに見ていた選手とリアルの場で会えるという体験が、ファンの皆さんにとってすごく重要なことなのだと感じます。
選手たちとファンの方々が触れ合える場を作れるのは、ホームスタジアムを持っている私たちならではの強みであり、ファンの皆さんに提供できる価値の1つだと思っています。
――福岡に拠点を置くことによる、地元企業との関わりについても教えてください。
西田:福岡に限らず、九州のいろいろな企業さんとの協力体制を作っています。面白い事例を挙げると、スタジアムで足湯に浸かりながら対戦するイベントをやったことがあるんですよ(笑)。それは、別府温泉のお湯を使った移動式足湯をやっている、大分のスポンサー企業TAMAYAさんとのコラボ企画でした。
また、企業さんがこの場を使って、社内eスポーツ大会を開催される事例もあります。最近は、社内の新しいコミュニケーションツールとしてゲームが活用されることが増えていて、これまでに10社ほどの企業さんにご利用いただきました。全国に支店をお持ちの企業さんは、北海道から沖縄までつないでオンラインで対戦されて、すごく盛り上がっていましたね。
それから、九州各地のさまざまな自治体の方々も、たくさん見学に来られています。自治体で開催されるeスポーツ大会の協力をご依頼いただくなど、想定していたよりも多くのお話をいただいて驚いています。
――今後チャレパで検討されている取り組みがあれば教えてください。
西田:情勢的に人をたくさん集めることが難しい状況が続いていたので、今後はもっとたくさんの人に来ていただける機会を作っていきたいと考えています。
「Sengoku Gaming」の選手たちはもちろんのこと、ぜひ他チームの選手も招きたいと思っているんです。プロ野球ではホームスタジアムで試合をするように、例えば同じ地元の「福岡ソフトバンクホークス ゲーミング」さんと、スタジアムで試合をするのも面白いですよね。
そして、eスポーツの裾野を広げていく取り組みは、今後も継続していきたいと考えています。実際に体験していただくことの大事さを身をもって感じていますので、eスポーツ体験会のような活動は地道に続けていきたいですね。
今はまだeスポーツがどのような世界なのか、世の中にしっかりと伝え切れていない現状があります。eスポーツのさまざまな可能性を伝えていき、「プロのeスポーツ選手を目指したい」という子どもに対して、親御さんが気持ち良く背中を押せるような文化にしていきたいと思っています。
――西田さん、本日はありがとうございました!
株式会社QTnetと株式会社戦国が運営する、西日本最大級のeスポーツ総合施設「esports Challenger’s Park」(通称:チャレパ)。福岡・天神にあるチャレパは、幅広い層が楽しめるeスポーツ施設であると同時に、プロeスポーツチーム「Sengoku Gaming」のホームスタジアムでもあります。
記事の前半では、施設内にあるスタジアムやプレイエリアなどの各エリア、定期開催されているパブリックビューイングの模様をご紹介。記事の後半では、「Sengoku Gaming」を運営する株式会社戦国の代表取締役、西田圭さんのインタビューをお届けします。
チャレパは2021年8月、九州最大の繁華街である福岡・天神にオープン。天神駅から徒歩10分の位置にある天神ロフト8階、延べ床面積およそ610平米のワンフロアに展開しています。施設内は、スタジアム、プレイエリア、配信ブース、PRエリア、スタディルーム、カフェ、ショップの7つのエリアによって構成され、さまざまな用途で楽しめるようになっています。
また、この施設をホームスタジアムとする「Sengoku Gaming」は、福岡を拠点として「九州から世界へ」というスローガンを掲げるプロeスポーツチーム。『League of Legends』(LoL)をはじめとする、9つのゲームタイトルで部門を持っています。
現在は、LoL部門が出場する国内リーグ「LJL 2022 Spring Split」のパブリックビューイングが定期開催されており、リーグ全日程の18時から22時まで、参加無料で観戦できます。
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超高速回線でのプレイ環境! 選手たちの練習場にも
広々としたフロアの奥には、20台の高性能ゲーミングPCが備えられた「プレイエリア」と、配信環境が完備された2部屋の「配信ブース」、スポンサー企業の最新デバイスなどが並ぶ「PRエリア」があります。
各エリアに並ぶゲーミングチェアはすべて、「Sengoku Gaming」のロゴが刺繍された特製デザイン。これらは福岡を拠点とする企業、関家具によるゲーミングブランド「Contieaks」で作られたオリジナルのコラボモデルです。
また、九州電力グループの通信事業者であるQTnetが手掛けるチャレパでは、超高速インターネット回線の環境が整っていることが大きな特徴の1つ。施設のネットワークには、データセンターや金融機関などで使われるものと同様の、超高速かつ安定した10Gbpsの専用回線が使用されています。
そのため、選手たちの練習場としても適しており、実際にこの日もPUBG MOBILE部門の選手たちが練習に来ていました。PUBG MOBILE部門のメンバーは、普段からチャレパに集まって練習できる環境を整えるため、選手とコーチを含めた全員が福岡へ移住しています。
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スタディルームでは、eスポーツ体験会や公開練習を実施
先ほどのプレイエリアとは別に、10台のゲーミングPCが並ぶ「スタディルーム」も設けられています。この部屋は、前方に講師用のゲーミングPCが2台用意され、教室のようなつくりになっていました。
スタディルームでは、初心者向けのeスポーツ体験会や、企業や自治体向けのeスポーツ講習などを開催。土日に行われているeスポーツ体験会では、スタッフによるレクチャーとともに『Rocket League』や『Fortnite』などのさまざまなタイトルが体験でき、家族連れも多く参加しているそうです。
今後は、「Sengoku Gaming」の選手やコーチによる、プロを目指すプレイヤーに向けた講座の実施も検討しているとのこと。また、スタディルームは外からガラス越しに様子が見える部屋になっていることから、ファンを招いた公開練習にも活用されています。
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こだわりのカフェや、チームグッズがそろうショップも
チャレパは、ゲーミングPCを使う目的だけではなく、カフェとしても利用できます。カフェでは、ニュージーランドのコーヒーロースター「Coffee Supreme」が監修する、こだわりのコーヒーが提供されています。
看板メニューは、エスプレッソにミルクを注いだフラットホワイトと、甘辛牛肉がおいしいオリジナルフードの「SENGOKUドッグ」。パブリックビューイングの開催時には、飲み物とスナックをセットにした「応援セット」の販売も行われます。
このカフェでは普段、ノートPCを開いて仕事をしている人もいるのだそう。超高速インターネット回線のWi-Fiが完備されていることを考えれば、仕事をするにも快適な環境だと言えるでしょう。
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チャレパの入り口すぐにあるショップでは、「Sengoku Gaming」の公式グッズが販売されています。ラインアップは、キーホルダーやマグカップなどの雑貨から、Tシャツやレプリカユニフォームなどのアパレルまでさまざま。イメージカラーの赤と黒をベースに、チームロゴがデザインされたアイテムがずらりと並びます。
また、このショップではRiot Gamesの公式グッズも扱っており、『LoL』のマウスパッドやフィギュアなども販売。現在、Riot Games公式グッズは商品を直接見られる実店舗での取り扱いが少なく、人気の高さから取材時点ではかなりのグッズが売り切れていました。
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ホームスタジアムで応援! LJLパブリックビューイング
5対5の対戦ステージをセッティングすることが可能な「スタジアム」では、約200インチの大画面モニターで試合を観戦できます。この日は、LoL部門が出場する「LJL 2022 Spring Split」のパブリックビューイングが行われました。
お酒を片手に「Sengoku Gaming」を応援する光景は、まさにホームスタジアムのイメージそのもの。現在「LJL 2022 Spring Split」は水・金・日に開催されており、この日は平日夜だったため、仕事帰りで観戦に来ている人が多く見られました。
「LJL 2022 Spring Split」は、全8チームによるレギュラーシーズンが3月25日まで実施され、その後上位6チームによるプレイオフが4月10日まで実施されます。開催スケジュールやパブリックビューイングの詳細は、チャレパの公式サイトをご覧ください。
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株式会社戦国 代表取締役の西田圭さんにインタビュー
「Sengoku Gaming」を運営する株式会社戦国の代表取締役を務める、西田圭さんにインタビューを行いました。チャレパがオープンした背景やeスポーツ施設としてのこだわり、ホームスタジアムを持つチームとしての取り組み、地元企業との関わりなどについてお話をうかがっています。
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――まず最初に、簡単な自己紹介をお願いいたします。
西田圭さん(以下、西田):私はもともと親会社のQTnetにいて、この施設のオープンにあたって責任者をしていました。2021年10月からは株式会社戦国の代表取締役を務めております。
私自身がeスポーツに関わり始めたのは、ここ2年。社会人になってからは、あまりゲームに触れていなかったのですが、この施設の準備を始めたころにちょうどモバイルゲームの『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』が出て、今では毎日プレイしています。『VALORANT』などのFPSゲームは、画面酔いしてしまうので観戦専門です(笑)。
――QTnetと戦国によって運営されるチャレパは、どのような経緯でオープンされたのでしょうか?
西田:「Sengoku Gaming」はもともと、鹿児島の漁師である岩元(株式会社戦国の取締役)が立ち上げたeスポーツチームで、活動に適したインターネット回線が必要になったことをきっかけに、QTnetとの接点が生まれました。
eスポーツとインターネット回線は親和性が高く、通信事業を展開するQTnetにとっては新たな事業としてシナジーがあるため、一緒に取り組んでいくことになりました。当初は出資のみでしたが、2021年にグループ会社化し、そのタイミングでチームの拠点をQTnetの本社がある福岡に移しています。
そして、そのグループ会社化を発表する際、QTnetの社長が記者会見で「eスポーツ施設を作ります」と宣言したんです。eスポーツが体験できて、かつeスポーツが“見える”リアルな場所がまだまだ少ないため、そうした施設を作ろうという話になりました。
――この施設をオープンするにあたって、こだわった部分を教えてください。
西田:一番には、明るく開放的な施設にしたいという思いがありました。なので、窓から自然光が入る場所にしようと、福岡だけでも40カ所くらい探して、ようやくイメージに合う場所を見つけたんです。
実際にお客様からは、「eスポーツに対するイメージが変わった」という声を多くいただいています。お子様連れの親御さんやシニア層の方々は、ゲーム関連の施設というと、昔のゲームセンターのような暗い場所をイメージされることが多いんですね。なので、チャレパに来場いただくと、イメージとのギャップに驚かれます。
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親子でも参加できる、eスポーツ体験会の取り組み
――eスポーツ総合施設として、普段どのようなイベントや取り組みをされていますか?
西田:裾野を広げていくことが重要だと考え、幅広い層の方々にeスポーツを知っていただくために、eスポーツ体験会を定期的に開催しています。
また、コアなプレイヤーの方向けにも、『LoL』や『VALORANT』などの交流会の開催を始めました。スタジアムで5対5の対戦をすることもできますし、それを配信する設備もそろっていますので、いろいろなコミュニティの方にお声掛けさせていただいています。
――eスポーツ体験会は親子連れでの参加も多いそうですが、どういった内容の体験をするのでしょうか?
西田:親子で参加される場合、親御さんはお子さんがゲームする様子を見たり、一緒にプレイしたりします。お子さんが普段から触れているという理由で、『Fortnite』をプレイされることが多いですね。
親子で対戦してもらうと、お父さんが9割9分負けるんですよ(笑)。そうすると、お父さんがすごく悔しがって、お子さんにプレイを教わるようなシーンも見られて、とても良いなと思っています。
――子どもが普段プレイしているゲームを、親御さんが知る機会になるのは良いですね。
西田:おっしゃる通りです。体験会が終わった後の親御さんへのアンケートで、「子どもがゲームでどんなことをしているのか知らず、いつも『またゲームをやっているのか』と思っていたけど、一緒にプレイしてみたら、ものすごく考えながらやっていることがわかった」といった感想をいただいています。
そのほかに、「子どもとの新しいコミュニケーションのきっかけが作れそう」という声も多くいただきました。裾野を広げていく目的に対して、狙っていた反応が得られている実感があるので、これはぜひ継続していきたいと思っています。
ホームスタジアムの存在が、選手のプロ意識向上に
――「Sengoku Gaming」のホームスタジアムとしては、どのような取り組みをされていますか?
西田:まず1つには、定期的に開催している大会のパブリックビューイングがあります。そのほかにも、選手とファンの距離をより近づけるため、ファンミーティングや公開練習などを実施しています。
例えば、2021年11月にワイルドリフト部門が世界大会に出場した際は、出発前に選手たちがチャレパに集まって練習を行い、そこにファンの方々を呼んで壮行会イベントを開催しました。
――ホームスタジアムの存在について、所属選手からはどのような反応がありますか?
西田:選手たちが初めて来たときは、「こんなところを練習に使っていいんですか!?」と、みんな驚いていました(笑)。選手からは、「ホームスタジアムを持つチームの選手として、もっとプレイの質を上げていこうと、モチベーションがより高まった」という声をもらっています。実際に、選手たちのプロ意識向上につながっていると感じますね。
――「Sengoku Gaming」を応援するファンの方々からの反応はいかがですか?
西田:ファンの方々からも良い反応をいただいていて、なかにはイベントで選手を見て泣き出すくらい喜ぶファンもいらっしゃいました。ずっとオンラインで画面越しに見ていた選手とリアルの場で会えるという体験が、ファンの皆さんにとってすごく重要なことなのだと感じます。
選手たちとファンの方々が触れ合える場を作れるのは、ホームスタジアムを持っている私たちならではの強みであり、ファンの皆さんに提供できる価値の1つだと思っています。
――福岡に拠点を置くことによる、地元企業との関わりについても教えてください。
西田:福岡に限らず、九州のいろいろな企業さんとの協力体制を作っています。面白い事例を挙げると、スタジアムで足湯に浸かりながら対戦するイベントをやったことがあるんですよ(笑)。それは、別府温泉のお湯を使った移動式足湯をやっている、大分のスポンサー企業TAMAYAさんとのコラボ企画でした。
また、企業さんがこの場を使って、社内eスポーツ大会を開催される事例もあります。最近は、社内の新しいコミュニケーションツールとしてゲームが活用されることが増えていて、これまでに10社ほどの企業さんにご利用いただきました。全国に支店をお持ちの企業さんは、北海道から沖縄までつないでオンラインで対戦されて、すごく盛り上がっていましたね。
それから、九州各地のさまざまな自治体の方々も、たくさん見学に来られています。自治体で開催されるeスポーツ大会の協力をご依頼いただくなど、想定していたよりも多くのお話をいただいて驚いています。
――今後チャレパで検討されている取り組みがあれば教えてください。
西田:情勢的に人をたくさん集めることが難しい状況が続いていたので、今後はもっとたくさんの人に来ていただける機会を作っていきたいと考えています。
「Sengoku Gaming」の選手たちはもちろんのこと、ぜひ他チームの選手も招きたいと思っているんです。プロ野球ではホームスタジアムで試合をするように、例えば同じ地元の「福岡ソフトバンクホークス ゲーミング」さんと、スタジアムで試合をするのも面白いですよね。
そして、eスポーツの裾野を広げていく取り組みは、今後も継続していきたいと考えています。実際に体験していただくことの大事さを身をもって感じていますので、eスポーツ体験会のような活動は地道に続けていきたいですね。
今はまだeスポーツがどのような世界なのか、世の中にしっかりと伝え切れていない現状があります。eスポーツのさまざまな可能性を伝えていき、「プロのeスポーツ選手を目指したい」という子どもに対して、親御さんが気持ち良く背中を押せるような文化にしていきたいと思っています。
――西田さん、本日はありがとうございました!