詩を写真で表現!芦田みゆき写真展『桃を買いに行く』【Art Gallery M84】

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Art Gallery M84は、2022年5月9日(月)より芦田みゆき写真展『桃を買いに行く』を開催する。今回の作品展は、Art Gallery M84の第117回目の展示として実施する個展。写真展『桃を買いに行く』は、私的に立ち上げたFacebookグループ「GR☆Club」を運営しながら写真作家として活動する彼女が、自らの詩を写真で表現した死生観を感じる作品。コンパクトデジタルカメラ「GR」による撮影が中心となる約40点(桃を買いに行く 19点、Night Swan 10点、prayer 3点、他8点等)を展示予定。

■「桃を買いに行く」という詩を写真で表現したい
彼女は、2009年に「桃を買いに行く」という詩を発表してから、この詩を写真で表現したいと考え、2015年の夏から撮影を開始して、紆余曲折の末、2022年2月に撮影を終えた最新作。詩の中に登場する「桃を抱える女」と「僕の見る光景」を同じ時空に並べ、この物語を完結させる記念すべき展示となる。

※作品展の会場にて、写真冊子『桃を買いに行く』『Night Swan』『Tokyo Wall ginzaline2』の販売も行う。5月14日(土)16:00〜18:00に、作品展の会場にて、写真家 鈴木光雄氏と写真家 芦田みゆき氏による『ヌード』をテーマにギャラリートークを予定している。また、5月15日(日)16:00〜18:00に、詩人 川口晴美氏と写真家 横木安良夫氏及び写真家 芦田みゆき氏による『写真と言葉』をテーマとしたトークイベントを予定している。(先着15名、ギャラリートーク実施中は入場制限を致します。実施は、感染状況により判断する。)

■作家からの一言
詩を本格的に書き始めた19歳の頃から、私はサクランボウ、オレンジ、桃など果実の詩をたくさん書いた。私の唇から吐き出されたサクランボウで食卓は溢れ、腐敗したオレンジがカラダに宿り、爪を突き立てた桃の皮から透明な液果が流れるのを、私は見ていた。

『桃を買いに行く』は、生と死をテーマとした写真と詩による作品である。
2009年『ユリイカ』 6月号に「桃を買いに行く」という詩を発表した。この詩は、桃を剥く女と、街を彷徨いながらそれを夢想する僕の物語だ。

恍惚と街を歩き回る。
この街のどこかで、女は桃を剥いている。

僕はとても渇いている。そして、桃が食べたいと思っている。
しかし、僕は自分で桃を買いに行くことができない。

なぜかというと、死へと大きく傾いているから。
僕は死に浸りながら生を夢想し、日々を生きている。

私はの部分を、写真と言葉を使って生きている。
桃はそのものだ。そして触れると瞬時に赤黒くに染まっていく。
私自身のように。
私は桃の詩を書き、桃の写真を撮る。生きるために。

詩を発表した当初から、私には言葉と同時に明確な映像のイメージがあった。しかし、撮りたくなるのはいつも真冬で、桃が売ってない。そんなことを繰り返し6年が経ち、2015年の夏、桃を抱えるモデルさんを撮影した。そして街を彷徨う「僕の見る光景」は、 2018年〜 2022年にかけて撮影した。会場で「桃を抱える女」と「僕の見る光景」が同じ時空に並べられるとき、この物語は終了する。僕と私と女と桃、死に傾いた生と、死を内包する生、写真と言葉、全ては出合い、また通り過ぎていく。私はまた、新しいを求めて、カメラとペンを持つ。

【芦田 みゆき(Miyuki Ashida)氏の略歴】
東京出身、日本大学芸術学部美術学科油絵専攻卒業。
2008年 佐賀町エキジビット・スペースで開催された「00-Collaboration 詩と美術」企画
    ・展示(1993年)を経て、”リコー Caplio R8”で新宿の地下道を撮り始める。
2010年 大量のオレンジとホテルに泊まって撮った写真”Room No.617”でリコーの賞を
    獲得、”リコー GR DIGITAL III”を手にした。