皮膚の黒ずみは摩擦による刺激が原因?医師が考えられる色素沈着の対処法や病気の可能性を解説

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皮膚の黒ずみが気になるとき、身体はどんなサインを発信しているのでしょうか?ここではMedicalDoc監修医が色素沈着で考えられる原因や対処法、病気の可能性などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
楯 直晃 医師(リアラクリニック)

2013年熊本大学病院初期臨床研修医
2015年熊本大学病院総合診療専門修練医
2018年国立熊本医療センター救急集中治療部医員
2020年リアラクリニック名古屋院院長
2021年メディカル・テート株式会社CEO

救急科専門医、抗加齢医学専門医、プライマリケア認定医、内科認定医、産業医、健康スポーツ医、医療経営士、禁煙サポーター、日本産婦人科学会会員、厚労省緊急避妊研修修了、厚労省緩和ケア研修修了

「皮膚が黒ずむ」色素沈着の症状で考えられる病気と対処法

皮膚が黒ずむ症状で考えられるのは、摩擦や皮膚炎などの刺激が原因のもの、女性ホルモンが関係するもの、内臓の病気の可能性など実はさまざまです。ただの日焼けやシミだと思って放置せず、原因を探り適切な対処を心がけましょう。

皮膚の黒ずみ・色素沈着の原因と治し方

皮膚が黒ずむ、色素沈着を起こしている場合、摩擦黒皮症の可能性があります。

摩擦黒皮症(まさつこくひしょう)

摩擦黒皮症とは、強い刺激や摩擦によって皮膚に色素沈着が起こり黒くなるものです。
入浴時にナイロンタオルやブラシでこすり過ぎることやマッサージ機の摩擦の刺激が原因で起こることが知られています。すぐにできる対処法は、ナイロンタオルやブラシなど皮膚に摩擦刺激を起こすものの使用を中止することです。皮膚のターンオーバーを促すビタミンCなどを多く含む食品の摂取を心がけるのもいいでしょう。
症状が良くならない場合は皮膚科に相談するのがオススメです。

皮膚が黒ずんでかゆい症状の原因と治し方

皮膚が黒ずんで、かゆみを伴う場合は、あせもやアトピー性皮膚炎の可能性があります。

あせも

あせもは、大量の汗をかくことにより、汗を排出する管が詰まって周囲の組織を刺激することで、発疹ができてかゆみを生じる皮膚の病気です。かゆくて掻いてしまう刺激や、炎症そのものが原因となって色素沈着を起こすと、皮膚に暗い色がついてしまったり黒ずんでしまうことがあります。自分でできる対処法としては、かゆくても掻かないことが大切です。爪も短く切っておきましょう。炎症やかゆみを抑える薬を使用するのも効果的ですが、薬の使用は医師の管理のもと行うことをお勧めします。主な診療科は皮膚科です。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とはかゆみのある湿疹が慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚の病気です。家族もしくは本人に、食物アレルギーや喘息、花粉症などのアレルギー疾患などのアトピー素因を持っていることが知られています。アトピー性皮膚炎は保湿クリームなどを用いたスキンケアや、ステロイド外用薬の使用などによる薬物療法、悪化因子やアレルゲンの除去などが主な治療法になります。疑わしい症状がある場合は小児科か皮膚科を受診しましょう。

皮膚が黒ずんで痛い症状の原因と治し方

皮膚が黒ずんで、痛みがある場合、手足症候群や、潰瘍、壊疽などの可能性があります。

手足症候群

手足症候群とは、抗がん剤によって手や足の皮膚の細胞が障害されることで起こる副作用です。手足症候群を起こしやすい抗がん剤は、乳がんや大腸がん、腎臓がんに用いられる薬の一部が挙げられます。手や足に痛みや痺れなどの感覚異常、皮膚のむくみや色素沈着やひび割れなどの皮膚の異常などの症状が現れます。自分でできる対処法は、長時間の歩行や立ち続けるなど足に力がかかることを避け、靴は柔らかい材質を選ぶことや、厚めの靴下やジェルの中敷で足を保護することなどです。主治医に症状を伝えて相談しましょう。

潰瘍、壊疽

潰瘍、壊疽は、血行障害や細菌感染が重症化すると起こる皮膚の病気です。潰瘍や壊疽は、通常赤みや痛みを伴う皮膚炎が先行して出現します。これを放置しておくと黄色や黒色に変化していきます。長期間糖尿病を患っている場合や、神経障害がある場合は、痛みなどの症状も現れない場合もあります。早めの対応が必要となるため、気づいたら皮膚科を受診しましょう。

鼻の皮膚や毛穴が黒ずんでいる症状の原因と治し方

鼻の皮膚や毛穴が黒ずんでいる場合、毛穴の汚れにより角栓が詰まり酸化して黒くなっている可能性が考えられます。特に鼻は皮脂量が多いため、毛穴が黒ずみやすい場所と言えます。
毛穴の黒ずみに自分でできる対処法は、毛穴の汚れを取り除くためにしっかりあわ立てた洗顔料で丁寧に洗顔する、皮脂まで洗い流してしまわないようぬるま湯で洗顔するなどの方法が考えられます。メイクが落としきれていないことも毛穴の汚れの原因となるため、メイクをする人はメイク落としでメイクをしっかり落としてから、洗顔をする様にしましょう。
レバーやイワシ、たまごなどに多く含まれるビタミンB群は肌のターンオーバーのリズムを改善すると言われており、日々の食事に意識して取り入れるのもいいでしょう。緊急性は高くありませんが、見た目が気になる場合は美容皮膚科を受診するといいでしょう。

肘や膝の皮膚が黒ずんでいる症状の原因と治し方

肘や膝の皮膚が黒ずんでいる場合、日々の生活の中で肘や膝をついたりしてその摩擦や刺激で色素沈着が起きている可能性が考えられます。
自分でできる対処法としては、頬杖をつかない、膝立ちをしない、衣類の生地はできるだけやわらかい綿などの素材を選ぶといいでしょう。ヨガやエクササイズするときはマットを敷いて行い圧迫や刺激を軽減させましょう。それでも症状が改善されず見た目が気になる場合は美容皮膚科を受診しましょう。

おしりや陰部などデリケートゾーンの皮膚が黒ずんでいる症状の原因と治し方

おしりや陰部などデリケートゾーンの皮膚が黒ずんでいる場合、下着の締めすぎや擦れにより色素沈着が起きている可能性が考えられます。引き締めの強い下着の使用を中止して、洗うときは優しく洗うように注意しましょう。
もし、陰部にかゆみが生じる場合やおりものの異常が現れる時は、膣カンジダなど他の病気にかかっている可能性があるので婦人科を受診しましょう。

産後に皮膚が黒ずむ・色素沈着の原因と治し方

産後に皮膚が黒ずむ、色素沈着を起こしているのがこの症状の特徴です。
妊娠すると女性ホルモンが増えるのですが、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンにはメラニン色素を作る細胞を刺激する作用があるため、皮膚が黒ずんで色素沈着を起こしやすくなります。産後には女性ホルモンの分泌は少しずつ減っていくことが多いですが、黒ずみが残り、肝斑やそばかすが現れることもあります。
肝斑は両頬にできるモヤっとしたシミで、女性ホルモンの影響を受けると考えられています。紫外線対策をする、メラニンの生成を抑えるビタミンCなどを意識して摂ることなどの対処法があります。それでも気になる場合は美容皮膚科を受診するといいでしょう。肝斑の治療開始は、授乳終了のタイミングがおすすめです。

すぐに病院へ行くべき「皮膚が黒ずむ」色素沈着に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

いびつな黒いシミがある場合は、皮膚科へ

左右対称でなく輪郭が不鮮明な黒い色のシミや黒ずみがあるのがこの症状の特徴です。最初は薄い色をしているのですが、次第に色が濃くなり潰瘍を伴うこともあり、急速に大きくなるのも特徴です。このような症状がある場合、悪性黒色腫という皮膚ガンの可能性が疑われます。悪性黒色腫はホクロのがんとも呼ばれ、皮膚の色素であるメラニンを作る細胞が悪性化したものです。非常に悪性が高く、大変注意が必要ながんです。
足の裏や手のひら、顔面から、目や爪、口の中まで様々な場所にできる可能性があります。特に急に大きくなる場合はこの病気の可能性が高いです。少しでも疑わしい場合は早急に皮膚科を受診しましょう。

「皮膚が黒ずむ」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「皮膚が黒ずむ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

アジソン病

アジソン病とは副腎機能の低下によって副腎ホルモンが不足する病気です。副腎ホルモンには体内の水分やナトリウムなどのバランスをとる働きや、血圧のコントロールをする役割があります。アジソン病になると副腎ホルモンが不足し、脱力感や疲労感、吐き気、めまいなどの症状が現れます。また、分泌量が増えるホルモンにはメラニンの産生を刺激する作用があり、皮膚に黒ずみや色素沈着が起こります。原因はわからないこともありますが、自己免疫反応や感染症やがんなどが発症する誘因となることがあります。皮膚の黒ずみのほか、疲れやすさが長引くなど、疑わしい症状がある場合は早めに内科を受診しましょう。

「皮膚が黒ずむ」ときに使用しても良い市販薬・保湿剤は?

皮膚が黒ずむ症状が軽い場合や原因がはっきりしている場合には、市販薬を飲んだり塗ったりすることで、効果が期待できる可能性があります。

炎症などにより色素沈着を起こしている場合

メラニンの生成を抑えたりターンオーバーを促す成分が効果的だと考えられます。
ビタミンCやハイドロキノンという成分にはメラニンの働きを抑える作用があります。「ハイチオールCホワイティア」にはビタミンCが含まれています。ハイドロキノンは漂白効果の高い成分ですが、かぶれなどの副作用が起こりやすいため医療機関で医師の管理のもと使用した方がいいでしょう。
皮膚に異常が現れた時は使用を中止し医師の診察を受けましょう。
皮膚が黒ずんでいる時は紫外線や乾燥対策をしてバリア機能を高め正常なターンオーバーを促すことも重要です。できるだけ低刺激のものを選ぶといいでしょう。
ワセリンは保湿効果が高く、赤ちゃんから使える刺激の少ない保湿剤です。

「皮膚が黒ずむ」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「皮膚が黒ずむ」症状についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

皮膚が黒ずんでかゆいのは炎症でしょうか?皮膚科にかかるべきでしょうか?

楯 直晃 医師

黒ずみだけであれば色素沈着の可能性が考えられますが、かゆみも併発しているのであれば炎症を起こしている可能性が高いです。
接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎は原因となる物質を特定することが大切ですし、湿疹や腫れなど症状が悪化する可能性もありますので皮膚科の受診をお勧めします。

薬の副作用で皮膚が黒ずむことはありますか?

楯 直晃 医師

抗がん剤などの副作用でシミが増えたり皮膚の色が黒くなることが知られています。
刺激の少ない洗浄剤で優しく洗うことで皮膚を清潔に保ち、保湿を心がけ、紫外線を避けるよう気をつけましょう。

皮膚の黒ずみを市販薬などで落とす方法はありますか?

楯 直晃 医師

病院で処方されることもあるハイドロキノンという成分には高い漂白効果があり、黒ずみを落とすのに役立つことが期待できます。ただし、市販薬では処方薬に比べ濃度が低いため効果が低いこと、強い薬であるためかぶれなどの副作用の心配があることなどから、病院で処方してもらうことをお勧めします。
できてしまった黒ずみを市販の外用薬で落とすことはなかなか難しいため、ビタミンCなどメラニンの生成を防ぐ成分を摂取する方がいいでしょう。肌のターンオーバーのサイクルは約1ヶ月程度と言われており、効果があらわれるまでその程度の期間がかかるでしょう。

まとめ

皮膚の黒ずみを引き起こすメラニンの色素沈着は、肌のバリア機能の低下や、肌が再生されるターンオーバーのサイクルの乱れによっても引き起こされます。これらの対策にはビタミンやタンパク質を含むバランスの良い食生活や十分睡眠を取るなどの規則正しい生活が大切です。かゆみを伴う、倦怠感がある、黒ずみが大きくなってきたなどの症状がある場合は病気の可能性もあります。早めに医療機関を受診するようにしましょう。

「皮膚が黒ずむ」症状で考えられる病気

「皮膚が黒ずむ」から医師が考えられる病気は33個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

老人性色素斑

後天性真皮メラノサイトーシス

炎症後色素沈着

色素沈着

摩擦性黒皮症

接触皮膚炎

湿疹

汗疹

じんましん

アトピー性皮膚炎

脂漏性皮膚炎

虫刺症

光線過敏症

肝斑

日焼け

悪性黒子

日光角化症

悪性黒色腫

太田母斑

後天性太田母斑様色素斑

体部白癬

婦人科の病気

腟カンジダ

トリコモナス膣炎

内科の病気

アジソン病

がん

手足症候群

クロウ

深瀬症候群

エコノミークラス症候群

下肢静脈瘤

血栓性静脈炎

ヘモクロマトーシスバセドウ病静脈瘤

皮膚が黒ずむ原因の多くは、皮膚科系の病気です。かゆみや痛み、腫れを伴う場合は治療が必要なことが多いので皮膚科を受診した方がいいでしょう。疲労感やめまいなど他の症状がある場合は内科の病気の可能性が考えられます。

「皮膚が黒ずむ」に似ている症状・関連する症状

「皮膚が黒ずむ」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

皮膚がかゆい

皮膚がたるむ

シミ

皮膚が赤くなる

皮膚がただれる

頭皮のできもの手のひらがかゆい

「皮膚が黒ずむ」症状の他に、これらの症状がある場合も、「摩擦黒皮症」「汗疹」「アトピー性皮膚炎」「手足症候群」「膣カンジダ」「悪性黒色腫」「アジソン病」などの疾患の可能性が考えられます。
皮膚が黒ずむ場合や、他に症状が併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

【参考文献】
★文献★
厚生労働省手足症候群
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1q01.pdf
国立がん研究センター皮膚の変化
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/nursing/division/support_card/2.pdf
岩手医科大学付属病院がんセンター悪性黒色腫
https://www.hosp.iwate-med.ac.jp/hospital/gancenter/treatment/melanoma.html
難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/44