WHOが新型コロナウイルス重症者への治療薬として抗炎症薬「バリシチニブ」を強く推奨
1月14日、WHO(世界保健機関)は新型コロナウイルスの重症患者向けの治療薬として、抗炎症薬である「バリシチニブ」の使用を強く推奨すると発表しました。このニュースについて工藤医師に伺います。
監修医師:
工藤 孝文(医師)
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
今回の発表の内容とは?
1月14日にWHOが発表した内容について教えてください。
工藤先生
WHOは、新型コロナウイルス罹患者約4000人を対象にした研究をもとに、新型コロナウイルスに対する2つの治療薬の推薦を発表しました。そのうち、重症または重篤な患者に強く推奨された治療薬が「バリシチニブ」です。
また、WHOは入院のリスクが高い患者のうち、軽度または中等症の患者の治療に、モノクローナル抗体医薬品「ソトロビマブ」の使用も条件付きで推奨しています。
ガイドラインを作成する専門家委員会は、ほかにもリウマチ治療薬「ルキソリチニブ」と「トファシチニブ」についても検討しましたが、その効果が不確かであることから、症状が改善する可能性が低いとして投与に反対しています。
推奨された2つの治療薬とは?
今回のWHOが推薦した2つの治療薬について教えてください。
工藤先生
バリシチニブは、ヤヌスキナーゼ阻害剤と呼ばれる種類の薬剤の一部で免疫系の過剰な刺激を抑制する薬です。WHOは、副腎皮質ホルモン剤と一緒に投与することを推奨しています。2021年4月、新型コロナウイルスによる肺炎に対する治療薬としての適応追加が承認されています。
ソトロビマブは、2021年9月にWHOが推奨したモノクローナル抗体カクテルである「カシリビマブ/イムデビマブ」の代替薬です。日本では2021年9月に承認されている治療薬となります。オミクロン株に対するモノクローナル抗体の有効性については研究が進められていますが、初期の実験室試験ではソトロビマブが活性を保持していることが示されています。
WHOの治療薬推奨は医療現場へどのような影響が?
WHOが新たに治療薬を推奨したことで、新型コロナウイルス対応をおこなう医療現場には、どのような影響があるのでしょうか?
工藤先生
治療薬についての見解が公に示されたことで、治療方針の確立に寄与することでしょう。医療現場でも迅速に治療薬の判断ができるようになるので、効率化が図れるようになります。
まとめ
今回のニュースで、WHOが新型コロナウイルスの治療薬としてバリシチニブとソトロビマブの使用を推奨したことが明らかになりました。オミクロン株の感染者数が増加傾向にある中、こうした治療薬の情報はますます注目を集めそうです。
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