「生理の貧困」 女性の現状と相談体制
コロナ禍で社会に閉塞感がある中、皆さんさまざまな困難や悩みを抱えるケースが増えています。
宇都宮市が今年7月から特に女性に対する支援事業を始めました。
女性を取り巻く現状を相談内容から考えてみます。
「生理の貧困」という言葉があります。
女性にとって必需品である生理用品が買えないほど追い詰められる状態を指し、コロナ禍における女性の状況を象徴する言葉になっています。
宇都宮大学がまとめた資料を見ると、女性は男性に比べて非正規雇用の労働者の割合が高く、さらに特別な資格の必要がない業種に就く割合が高くなっています。
これは一例で、働くことそのものに女性、男性の差はありません。
しかし、安定した労働による収入が得られず、その上育児、介護などが重なっていけば生活困難などの悩みが大きくなります。
栃木県内在住の40代の女性。コロナの影響で職探しに苦しみ今は非常勤のパートをしています。
女性は体を壊してしまいました。それでもインタビューで何度も「体調がよければ仕事を掛け持ちしたい」と話す。これが現状なのです。
この女性は宇都宮市が立ち上げたつながりサポート推進事業「つなサポ」に相談したひとりです。
女性が持つ特有の不安、困難に対し手を差し伸べる「つなサポ」。中心になっているのは済生会宇都宮病院・地域連携室。医療ソーシャルワーカーの稲見一美さんに聞きました。
稲見一美さん:「家族にも友達にも話しにくい。何とか自分で乗り越えるために頑張らなくちゃと思っている人が多い。でも頑張っても長引く不況、コロナの影響で仕事が見つからない、仕事があっても収入が増えない。どんどん心が苦しくなっていってしまう」
相談した女性は職探しで訪れたハローワークで偶然、臨時相談窓口のことを知り自分から一歩踏み出し相談しました。
40代女性の声:「悪い方向にしかいかなかったところに「蜘蛛の糸」みたいに思えた。情けないことを出すのはちゅうちょしたが話してよかった」
相談室は異なる業種の35の団体と連携してさまざまな悩みに対応したり常設窓口だけでなく出張相談を行ったりと「つながり」を広げています。
稲見一美さん:「あなたは悪くないよ。ひとりじゃないよ。まずは話してほしいということを伝えたい」
相談窓口の電話番号は090・2705・2730 生理用品の無料配布も随時行っています。