Apple-I
John Moran

アップルの原点とも言えるApple-Iコンピュータがオークションに出品され、50万ドル(約5700万円)もの高値で落札されました。

Apple-Iはアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏とスティーブ・ウォズニアック氏により製造・販売され(開発はウォズ氏の独力です)、1970年代半ばに発売されたもの。アップル設立のきっかけとなった製品です。

本来はワンボードマイコンの組み立てキットで、基板を収める筐体もキーボードも含まれていません。

当時の価格は666ドル66セントで、約200台が生産されましたが、その後アップルがApple-Iを下取りしてApple IIに乗り換えさせるキャンペーンを実施。そのとき回収されたApple-Iは廃棄処分されたため、現在では50〜60台しか現存していないという経緯があります。

さて今回、米オークションのJohn Moran Auctioneersに出品されたApple-Iは、コアウッドのケースに収納された逸品です。コレクターズアイテムは人から人へ転々とするものですが、このマシンはこれまで大学教授とその教え子である学生の2人しか所有しておらず、650ドルで(つまり定価割れで)譲られたとのこと。

今回の落札価格はパナソニック製ディスプレイのほか取扱説明書と、2本のカセットテープ入りアップル製ソフトウェアが込みとなっています。

今回なぜこれほどの高値が付いたのかといえば、ケースによるところも大きいと思われます。上述のようにApple-Iはもともと組み立てキットでしたが、ジョブズ氏は最初期のコンピュータショップ「The Byte Shop」に50台の組み立て済み製品を販売。それらに店側でコアウッド製ケースを追加したものの、完成したのはわずか6台だった……ということで、二重の付加価値がついている品物、というわけです。

またオークションの実施に先立ち、Apple-Iの専門家であるCorey Cohen氏はLos Angeles Times紙に対し「これはビンテージ電子機器やコンピュータ技術のコレクターにとっては、聖杯のようなものです」と語っていました。

Apple-Iに高値がつくことは過去にも何度かあり、昨年にも基板むき出しながら完動するものが45万8711ドル(約5200万円)で落札され、2014年に叩き出された90万5000ドル(約1億300万円)は今なお同機種における最高額のままです。子供の頃に買いたかったのに……というセレブ達の執念が、オークションで聖杯戦争を繰り広げているのかもしれません。

Source:John Moran

via:MacRumors