事前に準備すべきは「その場にふさわしい自分」という「着せ替えの仮面」
他人とうまくコミュニケーションできないことからくる孤独感や閉塞感、自己肯定感の欠如、SNSによる誹謗中傷やバッシングなど、私たちは、いま多くの生きづらさを感じさせる事柄に取り囲まれています。そんな中にあって、毎日を心安らかに、できるだけ快適に生きていくためには、どうすればいいのでしょうか? 発達障害(ADHD)、うつ病など、生きづらさを抱えながらも精神科医として活躍するバク先生は、ツイッターでのつぶやきが共感・絶賛され、今、人気急上昇中。そんなバク先生の初の著書『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)が発売されました。同書の中には、生きづらさを解消するための実践的なヒントが詰め込まれています。本連載では、同書の発刊を記念してそのエッセンスをお届けします。心がスーッと軽くなる珠玉のアドバイスにお付き合いください。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。
家ではガサツな人でも、会社に行くときは
「ガサツでない人」の仮面を被る
シンデレラの物語を知らない人はいないでしょう。
継母と意地悪な義理の姉たちに虐められていたシンデレラは、舞踏会の夜にこう呟きます。
「私に舞踏会に行けるドレスや宝石があればなぁ」
シンデレラも「私は私らしく、ドレスや宝石なんてなくたっていいじゃない。この格好のまま舞踏会に行こう!」とは言っていません。
家柄が優良で、見た目も麗しいシンデレラですら、相応しい装いが用意できなければ、舞踏会には参加する権利がないし、恥ずかしい思いをすることは十分理解しています。
舞踏会という場に出るためには、それなりの準備や体裁が必要になる。それは過去のヨーロッパの貴族社会だけの話ではなく、現代社会でも同じことでしょう。
だから家ではガサツな人でも、会社に行くときは「ガサツでない人」の仮面を被るし、自由奔放で家ではほとんど裸でいるような人でも、外に出かけるときは、ちゃんと普段から服を着てますよ、という仮面を被って外出するわけです。