マリトッツォ──丸いパンにたっぷりの生クリームを挟んだイタリア発祥のスイーツだ。

少し前から日本でも大ブームで、SNSでは自分で再現して作ったという人や、あるいはまったく違う食材を使った「マリトッツォ風」のオリジナルメニューを生み出す人もいるほど。

そしてここにもまた一つ、新たな「オリジナルマリトッツォ」が爆誕する......はずだった。

皿の上に並べられているのは、切れ込みの入ったシイタケ。その中には何か白いものが挟まれている。このフォルム、たしかにマリトッツォみたいだ。

こちらは、パンの代わりに椎茸を、生クリームの代わりにカマンベールチーズを使った「マリトッツォ風」。キノコとチーズなんて相性バッチリだし、これはもう絶対おいしいヤツでは、と思いきや......。

オーブンで焼いてみるとチーズが椎茸の外に溶け出してしまい、仕上がりはマリトッツォ感皆無に。まぁ、これはこれで美味しそうだけど......。

こちらは、栃木県矢板市で原木栽培のシイタケを販売している「君嶋きのこ園」のツイッターアカウント(@kimijimakinoko)が21年10月4日に投稿した写真。

Jタウンネット記者は5日、投稿した同園スタッフの君嶋みのりさんに話を聞いた。

「あっという間にチーズが逝ってしまいました」

君嶋さんはきのこ園のツイッターアカウントを用いて、シイタケの可愛らしさやおいしさを日々発信している。様々な食べ方や見せ方を模索する中で、

「マリトッツォの可愛らしさを椎茸で表現できないだろうか?」

と思いついた。

そして4日、自宅で栽培したシイタケに飾り切りを入れ、チーズをはさみ、オーブンに投入。

すると先述の通り、完成品は「マリトッツォ風」とは言いがたい見た目になってしまった。君嶋さんは当初、どんなゴールを目指していたのだろうか。

「椎茸に火が通り、チーズが軽くとろける程度で加熱を止めるつもりでした。が、あっという間にチーズが逝ってしまいました」(君嶋さん)

火加減の調節さえ上手くいっていれば、あるいはもう少しマリトッツォらしくなっていたかもしれない。ただ、肝心の味は「とけたチーズがカリカリで、美味しかった」とのことだ。

注目を集めたこの「失敗作」に対し、ツイッター上ではこんな声が寄せられている。

「組み合わせは美味しそうです!」
「ちょっと真似したくなっちゃったー!」
「溶けて広がったチーズの黄金色と、焼き色のついた椎茸の組み合わせが、まるで紅葉した秋の庭のようですね。秋らしくて美しいと思います」

こうした反響に対し、君嶋さんは、

「『可愛い!』や『笑った!』のコメントが多くて嬉しいです。
原木椎茸は年々希少になっていて、あまり身近な食材では無くなってきていると思うので、どんな形でも少しでも知ってもらえれば、それだけで嬉しいです」

とコメント。皆さんもこの秋、「キノコとチーズのマリトッツォ風」を作ってみては?