BMW Motorradが国際試乗会を行うのは約1年半ぶり!

9月4日、ドイツ・フランクフルトで行われた「BMW R18B」の国際試乗会に参加した。「R18B」は今年8月に発表された新型車。

排気量1,801ccのビッグボクサーエンジンを搭載するR18ファミリーの一員となるわけだが、クラシックなスタイルの「R18」や「R18クラシック」とは違い、大型のフロントカウルやサイドケースを搭載。
同時に発表した「R18トランスコンチネンタル(以降TC)」はハイスクリーンにトップケースも装着。いまクルーザーカテゴリーでもっとも人気が高い“バガー”というツーリングスタイルを踏襲し、最新の電子制御デバイスも多数装備しいていた。

8月には「R18TC」(左)と「R18B」(右)の2モデルが同時に発表された。両者は装備やカラーリングに違いがあるが、大きな違いはTCがハイスクリーンとトップケースを装着することだ

BMW Motorradが国際試乗会を行うのは約1年半ぶり。それでも、「R18B」「R18TC」のメイン市場であるアメリカは、アメリカ国内で試乗会を行ったため、今回フランクフルトの国際市場に参加したのは主に欧州のメディア関係者。アジアからの参加は日本だけであった。

試乗会、その前に……。出発前日にレギュレーション変更。

EICMA取材や海外のカスタムバイクイベント、そして国際試乗会の参加で年間5~6回は欧州を訪れていた自分は、2019年のEICMA以来1年9カ月ぶりの海外取材となった。いつもならパスポートと国際免許、それにスマホとクレジットカードさえあれば、あとはなんとかなるさと気軽に海外に出かけていたが、今回は違った。ドイツ入国および日本に帰国するために、イロイロと準備が必要だった。

まずドイツ入国については、7月頃から日本はドイツの入国制限対象国から解除され、2回のワクチン接種証明書(いわゆる日本のワクチンパスポート/2回目の接種完了後2週間以上経過の必要あり)か、ドイツ入国72時間以内のPCR検査陰性証明書(または入国48時間以内の抗体検査陰性証明書)か、コロナウイルス感染からの快復証明書のいずれかの提示で、隔離期間無しで入国できるとなっていた。

それでも心配なので、航空会社やドイツ大使館に問い合わせ、上記の内容で問題ないとの返答を得ていた。

しかし出発の数日前、イタリアで開催される他メーカーの試乗会に参加予定だった日本人ジャーナリストが、出発直前の入国レギュレーションの変更によってイタリア行きの飛行機に乗れなかったという事実が判明。BMW Motorradジャパンの担当者とも相談し、念のためPCR検査の陰性証明書も持参することにした。

ドイツに向かって出発したのはパラリンピックの閉会式前日。搭乗予定の航空会社のカウンターには欧州に戻るパラリンピアンや関係者でごった返していた。そのためフランクフルト行きの飛行機も満席状態だった

そして出発当日の朝、念のためにずっとチェックしていた在ドイツ日本大使館のサイトを覗くと、前日にはなかったインフォメーションがアップロードされていた。

それは「9月3日、ドイツ政府は日本をハイリスク地域に再指定した」というもの。そして9月5日午前0時より、日本からの渡航者は再び入国を制限するというのだ。したがってドイツ入国には10日間の隔離。デジタル入国登録を通じてワクチン接種証明書か快復証明書を提出すれば隔離は免除する可能性もあると。

そんなこと、空港に向かう2時間くらい前に言われても…とはいえ、我々のフライトは9月4日の19時過ぎにフランクフルト到着予定。まぁ時間的に大丈夫なのだが、確証はない。とりあえず空港の航空会社窓口で直接聞くしかないと思い、早めに空港に向かったのだった。

空港のチェックインカウンターでは、このフライトは問題ありませんよ、と普通にチェックイン。その際にワクチンパスポートを提示しただけで、出国審査は機械化されているためパスポートの読み取りと顔認証だけで、ごく普通に出国できてしまった。まぁホッとしたような、拍子抜けしたような……。

この拍子抜け感はフランクフルトに到着しても続いた。飛行機を降りたら、すぐ近くにイミグレーション(入国審査カウンター)があり、パスポートのチェックがある。もちろんワクチンパスポートをすぐに提出できるように準備していたら、2~3質問されて、バチンっとスタンプを押され、パスポートは返された。ドイツ、入国である。

その先で荷物を引き上げ出口に向かうと、あれ? 出てきちゃった!? コロナウイルス感染症関連の書類記入や提出は無かったのである。

ホテルの入口やロビーに展示されていた「R18TC」と「R18B」。さらに奥には「18」をベースにしたカスタムマシンも多数並んでいた

到着すると拍子抜け……コロナはどこへ?

その後は、BMW Motorradが手配してくれたシャトルバスでホテルに向かう。試乗会は、数グループに分かれて約2週間の日程で行われた。

我々がドイツに入ったのはその中日であり、BMW Motorradのスタッフはオフ。翌日の夕方から行われるプレスカンファレンスから、我々が参加するグループのプログラムがスタートする。
したがってホテルロビーにBMW Motorrad関係者はおらず、かわりにWELCOMEバナーとともに「R18TC」がホテル入口で迎えてくれた。またロビーには「R18B」とともに、R18ベースのカスタムマシンが多数展示。久しぶりに感じる国際試乗会の雰囲気である。

実物の「R18B」と「R18TC」は、やはり大きかった。シンプルなR18では、そのエンジンの大きさが強調されていたが、この2台は、エンジンよりもフロントカウルやリヤのケース類が目立つ。
やはりスタイリングにおいてもパフォーマンスにおいても、その2つのアイテムがキーポイントとなることは明白。なによりもそれらアイテムが追加されたことによって、R18とは違う、モダンな雰囲気を纏っていた。それを見て“BMWはここまでやるんだ”と、クルーザーカテゴリーに挑む気合いのようなモノを感じたのだった。

そして拍子抜けエピソードをもうひとつ。ホテルの部屋に荷物を置き、一息ついたら、やっぱりビールが飲みたくなった。外に出ようかと思ったら、ホテルのバーが開いているではないか。ビールは飲めますかと聞くと、もちろんとの返事。
ワクチンパスポートを出そうと思ったら、お好きなお席にどうぞと言われ、その後ビールが出てきてもワクチンパスポートの提示は指示されなかった。
あれ? レストランやバーでは提示が必要って聞いてたんだけど……バーの中はパーティションも無く、店員以外はみなマスクを外して談笑している……うーん…なにはともあれ、ビールはうまかった。最初なのでピルスナーにしたけれども……

Vol.2に続く……

ホテルの入口のほか、街中のいたる所に乗り捨てられていたシェア電動キックボード。すでに市民の移動手段のひとつとして認識されているようだ。また空港のビアガーデンでいただいたヴァイスブルスとプレッツェル、そしてヴァイスビア。ビアガーデン入場にもワクチンパスポートの提示指示はなかった

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