エンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

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評価者「彼は求めるだけの年数の契約を得られる」

 メジャー4年目の今季、投打で目覚ましい活躍を続けるエンゼルス大谷翔平投手。13日(日本時間14日)時点で打率.267(389打数104安打)、リーグトップの38本塁打、同2位の85打点をマーク。投手としても7勝1敗、防御率2.93、112奪三振を記録している。米スポーツ専門局「ESPN」は大谷が今後年俸5000万ドル(約54億8000万円)の契約を結ぶ可能性を指摘、エンゼルスがキープすることが可能なのか検証している。

「ESPN」は「エンゼルスはショウヘイ・オオタニをキープできるか? ペイロールの危機がロサンゼルスに迫っている」との見出しで記事を展開。「大谷が今年の夏に成し遂げていることは全て前例がないものだ。最高級の投球と影響力の大きい打撃、2日間のオールスターイベントの“乗っ取り”、その市場性」とし、「他の誰とも異なるシーズンを送っている彼はMVPを受賞するだろう」と予測する。

 この活躍で大谷の将来についてはエンゼルスの職員、他球団の監督や経営幹部らの想像力が「目いっぱい広がっている」とし、今後の起用法について言及。あるライバル球団のスカウトは、投球回を減らしたいのであれば先発からクローザーに転身する選択肢もあると意見を述べたという。

 またはベーブ・ルースのように「二刀流から外野手に専念するかもしれない」とも。「それは魅力的なことだ。もし彼(大谷)が今年の本塁打率のまま700打席に立てば、60本塁打は打つだろう。しかも打者に集中すれば、能力が更に向上することは大いにあり得る。ショウヘイ・オオタニのことをみくびることはできない」と指摘する。

 そして記事は大谷の今後の契約について言及する。今年2月にエンゼルスと2年850万ドル(約9億3000万円)で合意した二刀流右腕は、今季年俸が300万ドル(約3億2900万円)、来季年俸は550万ドル(約6億円)になる。一方で2022年オフに年俸調停権を再取得し、2023年秋にはFAとなる。

 ある評価者は「彼は求めるだけの年数の契約を得ることができるだろう。例えば5年契約で単年5000万ドルといったところか」と予測。つまりは5年総額2500万ドル(約274億円)。別の評価者は「少なくともね」と付け加える。あるベテラン代理人は「年俸調停はどんなものになるだろう? 私たちがいまだかつて見たことがないようなものだ」と述べたという。

トラウト&レンドンと大型契約を結ぶエ軍は「難しい立場に置かれる」

 次の労使協定で財政上の構造は現在と「変わっているかもしれない」が、現在のルールで考えれば「エンゼルスは難しい立場に置かれる」という。球団はマイク・トラウト外野手と2019年3月に12年総額4億2650万ドル(約472億円)、同年12月にアンソニー・レンドン内野手と7年総額2億4500万ドル(約271億円)で契約した。

 エンゼルスはトラウトに今後9年間、毎年3712万ドル(約40億7000万円)、レンドンに対しては来年は3660万ドル(約40億1100万円)、以降の4年間は3860万ドル(約42億3000万円)を支払う。つまり、エンゼルスは2026年まで毎年この2選手に7500万ドル(約82億2000万円)を払わなくてはならない上に、大谷と大型契約を結ぶ場合はこの2人よりも高額になるかもしれない。大谷と複数年契約を結ぶということは、3選手の年俸の合計が1億2000万〜1億3000万ドル(約132億円〜約142億円)になることを意味するかもしれないのだ。

 エンゼルスは過去に「贅沢税」のラインを越えたことは一度もなく、今年のペイロール(1億8200万ドル=約199億4600万円)が球団史上最高額だという。この事実が、エンゼルスが今年のドラフトで20巡目まで全て投手を選択した「理由を説明できるかもしれない」と記事は解説。トラウト、レンドン、大谷の3人で総年俸のかなりを食うことを予測し、「若くて安い投手を育成していく必要がある」と説明する。

 複数のライバル球団の評価者は、エンゼルスが大谷とこのオフに契約を見直す動きを見せることは「分別があることだと見ている」という。年俸調停とFAを迎える前に契約を締結することで「大谷をキープするための長期的コストを軽減させることができるかもしれない」としている。

 トラウト、レンドン、そしてこのオフにも大型契約を結ぶ可能性がある大谷。これらの選手を抱えつつ、優勝争いするのに十分な投手層を確保することは「大谷がこの夏にしていることよりも難しいことになるかもしれない」と記事は結んでいる。(Full-Count編集部)