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この上ない実用性

text:AUTOCAR UK編集部translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

7人乗りのクルマは、大家族や6人制サッカーチームのコーチに最適だ。特に、リアシートを折りたたんで、ワゴンやバンに匹敵する荷室を作ることができれば、他に類を見ない多機能性を発揮する。

【画像】最新の7人乗りモデルは?【記事で紹介の現行・最新モデルを写真で見る】 全105枚

日本では特にMPV(ミニバン)が人気だが、海外ではSUVの選択肢も豊富にある。今回は、欧州の家族層に支持され、さまざまなシーンに対応できる7人乗りのクルマを20台紹介する。しかも、中古でお手頃に売買されているものばかりを集めた。


フォードSマックス

ここでは、英国の中古車市場で7000ポンド(約107万円)で購入できる7人乗りのMPVとSUVをリストアップしている。後部座席が後ろ向きになっているレトロなワゴン車も入れたかったのだが、2011年以降に登録され、走行距離が10万マイル以下のクルマに限定した。

ヴォグゾール・ザフィーラ・ツアラー

ザフィーラ・ツアラーは、世界がSUVに夢中になっているときに登場したため、ヴォグゾールが期待したほどの成功を収めることはできなかった。そのため、多くの家族が、通常のザフィーラより上級でプレミアムなバージョンを逃してしまったのだ。

キャビンは、ソフトタッチ素材とクロームやアルミニウムをうまく組み合わせた心地よい内装となっており、エントリーモデルであっても優れたレベルの装備が用意されている。その魅力の中心は、さまざまなシートアレンジが可能なフレックス7シート・システムだ。


ヴォグゾール・ザフィーラ・ツアラー

エンジンは、1.4Lのターボガソリンがお勧めだが、燃費を重視するなら1.6Lと2.0Lのディーゼルがいいだろう。

フォード・グランドCマックス

その名が示すように、フォード・グランドCマックスは、MPVであるCマックス(C-MAX)の大型バージョンで、全長が140mm延長されている。これは後部座席を2つ増やすのに十分な長さだ。

スライドドアを開けると、驚くほど広々としたキャビンが現れる。中列のセンターシートを折りたたむと、後列へのアクセスが容易になるという巧妙な仕組みになっている。


フォード・グランドCマックス

多くのMPV購入者にとって、シャープなハンドリングは最優先事項ではないが、グランドCマックスは大型のフォーカスのようなフィーリングを持っている。これは高評価ポイントだ。

優れたエンジンの中から1つ選ぶなら、1.5Lのディーゼルだ。

日産キャシュカイ+2

日産キャシュカイは、家族向けMPVに対する反乱のきっかけとなったクロスオーバーだが、初代モデルには7人乗りが用意されていたことを覚えておくといいだろう。初代は日本でも「デュアリス」の名で販売されていたが、7人乗りは欧州仕様にのみ導入された。

キャシュカイ+2は、単にキャシュカイに2つのシートを押し込んだだけではない。標準モデルよりも全長が長いので、3列目シートを使用していないときにはトランクが広く使えるのだ。


日産キャシュカイ+2

しかし、良いことばかりではない。3列目のスペースは非常に限られており、そこにたどり着くためには身体の柔軟性が必要だ。標準のキャシュカイと同様に、+2は高いドライビング・ポジション、トンカのおもちゃのようなスタイリング、安全性を提供する。

フォルクスワーゲン・トゥーラン

トゥーランは、派手さや刺激がほとんどないクルマだ。残酷なことに、トゥーランのようなクルマがあるからこそ、ママやパパにとってモダンなSUVが魅力的に映るのだとも言える。

いろいろな意味で、気兼ねなく無頓着に使えることが魅力の1つであり、所有して、一緒に暮らして、忘れることができるMPVなのだ。


フォルクスワーゲン・トゥーラン

今回の予算では、2010年から2015年に製造されたトゥーランを入手するには十分だ。開発のベースとなっているのは、優秀なゴルフ5。学校の送り迎えでも重宝されているし、品質もフォルクスワーゲンの標準的なもので、ランニングコストも安いはずだ。

3列目のシートは、子供と、会社のパーティー後に家まで送ってほしい迷惑な同僚のために用意されている。

シトロエン・グランドC4ピカソ

発売から7年が経過したシトロエン・グランドC4ピカソ(現グランドC4スペースツアラー)は、いまだに欧州各地の通学路を闊歩している。

地味なMPVというよりは、パリのガレドゥノールに転がり込んできそうな雰囲気がある。独立した7つのシートと大きなパノラマウインドを備えた室内は、列車の雰囲気をそのまま引き継いでいる。


シトロエン・グランドC4ピカソ

エンジンは、フランスの田園地帯を高速で駆け抜けるというよりは、効率性を重視して設計されており、運転感覚もファーストクラスとは言い難い。しかし、エントリーモデルを避ければ、むしろ高級感があると言える。また、非常に広くて実用的だ。一度乗ってみよう。

ルノー・グランセニック

列車といえば、初代ルノー・エスパスはフランスのTGVをイメージしたスタイルを採用していた。すぐには成功しなかったが(英国では販売開始月にわずか9台しか売れなかった)、7人乗りのMPVが欧州のユーザーに受け入れられるまでに時間はかからなかった。

日本でルノーの7人乗りの新車を買うことはもうできないが(グランカングーの並行輸入などはあるかも)、欧州ならグランセニックという選択肢がある。


ルノー・グランセニック

7000ポンド(約107万円)の予算では最新モデルを買うことはできないが、先代モデルのスタイルも悪くない。2009年から2016年まで販売されたグランセニックは、2012年以降のモデルを選ぶと、最も効率的なエンジンとすっきりしたスタイリングが得られる。2013年夏には再びフェイスリフトされている。

フォードSマックス

現行世代のフォードSマックスの初期モデルは7000ポンドで十分射程圏内かもしれないが、同じ金額を出すならハイスペックで走行距離の少ない先代モデルを購入したほうがいい。

伝統的なMPVというよりは大型のワゴン車のような外観で、その運転感覚は最近の7人乗りSUVの多くに恥じないものだ。


フォードSマックス

言い換えれば、Sマックスは、ハンドルを握るとモンデオのように感じられるが、ギャラクシーのように使いやすいクルマなのである。つまり、7人乗りで、パワフルで効率的なエンジンを搭載し、広いスペースと低いランニングコストを実現しているということだ。

フォーカスSTに搭載されている2.5L 5気筒エンジンを搭載したSマックスは、燃費に不満こそあるものの、素晴らしい走りを見せてくれた。しかし、ユーザーに選ばれたエンジンは圧倒的にディーゼルが多い。

サンヨン・ツーリスモ

サンヨン・ツーリスモは、お世辞にも美しいとは言えないが、ロディウスほど醜いわけではないではない。先代の良いところをすべて取り入れて、より魅力的なパッケージにしている。2014年モデルであれば、5000ポンド(約76万円)程度で購入できる。

ツーリスモは7人乗りだが、多くのライバル車が中央に3席、3列目に2席を配置しているのに対し、サンヨンは後ろに3席を配置した。中央に余裕があるので、後ろに乗り込みやすいのだ。


サンヨン・ツーリスモ

フラッグシップモデルには4輪駆動が採用され、2018年10月1日以降のモデルには、7年間15万マイルの保証が付いている。

キア・カレンス

キア・カレンスの人気の理由の1つに7年保証がある。2013年の初期モデル以外はメーカー保証が受けられるということで、7人乗りのMPVを購入する際の大きなセールスポイントになっている。

ペットの臭いが残ったり、シートにミルクセーキのシミがついたりするのを防ぐことはできないが、最悪の事態が起こった場合には保証によりサポートされる。


キア・カレンス

4代目カレンスは、キアが欧州での地位を確立し始めた時期に登場した。ペーター・シュライヤーによるデザイン、ドイツ車風のインテリア、そして豊富な標準装備により、カレンスはもはや無味乾燥な存在ではなくなっていた。ランニングコストの低さと収納スペースの多さは、驚くほど美味しいケーキのアイシングだ。

フィアット500L MPW

個性的なスタイリングは万人向けではないが、500の7人乗りバージョンを求めるなら、500L MPWが唯一の選択肢となる。

基本的には500Lの後ろに205mmのスペースを追加したもので、5+2のMPVの中では最も小さい部類に入る。7人乗りと呼ぶのはためらわれるが、大きなトランクと2席の臨時シートを備えた5人乗りとして使うのがベストだろう。


フィアット500L MPW

このサイズのクルマに7人乗りを実現したフィアットには拍手を送るべきかもしれない。

500L MPWの動力源は0.9ツインエアだが、1.3Lと1.6Lのマルチジェット・ディーゼルが最高のエンジンである(ラグビー選手を6人乗せるわけではないという前提で)。エントリーモデルのポップスターは、MPVに必要なものをすべて備えているはずだ。

ヒュンダイ・サンタフェ

ヒュンダイ・サンタフェは、人を惹きつけるだけでなく、価値を維持することにも長けている。7000ポンドの予算で、2010年か2011年モデル、あるいは2012年モデルで走行距離16万km以下のものが買える。堅実な家族はこのようなクルマが好きなので、需要は高い。

サンタフェはレンジローバーに匹敵する大きさのトランクを持ちながら、7人乗りであることも特徴だ。品質はヒュンダイの最新モデルには及ばないが、インテリアは丈夫で、ドライブスルーでの食事やスポーツ用品による汚れにも耐えられるように作られている。


ヒュンダイ・サンタフェ

2.2 CRDiディーゼルエンジンは、特に2009年のアップデート後、トルクフルで低燃費だ。

トヨタ・ヴァーソ

地味なスタイリングと殺風景なインテリアのおかげで、トヨタ・ヴァーソをこのリストに入れなかったとしても許されるだろう。しかし、フォードSマックスのようなスタイリッシュさやフォルクスワーゲン・トゥーランのような豪華さはないものの、ヴァーソには良い点がたくさんある。

インテリアは堅牢で、すべてのモデルに充実した装備が用意されており、信頼性の面でも優れている。3列目シートへの乗り込みには少々コツが必要で、フル乗車ではスペースが狭くなるが、利便性は高く評価できるだろう。


トヨタ・ヴァーソ

ほとんどのモデルには、BMW製の優れた1.6L D-4Dディーゼルエンジンが搭載されていた。レスポンスが良く、活発で、重い荷物を運ぶのに十分なトルクを持っている。残念ながらヴァーソは日本未導入だ。

プジョー5008

7000ポンドで現行のプジョー5008を見つけることはできない。代わりに、ファッション性と機能性を両立させた、個性的な先代モデルが残されている。

一般的な7人乗りモデルの問題点はそのままで、7つのシートをすべて使用するとトランクスペースが狭くなってしまう。しかし、5人乗りでありながら、広いトランクと2人掛けのシートを選択できるという点では、文句のつけようがない。


プジョー5008

ドライビング・ポジションの高さはSUVさながらのもので、品質レベルもそれなりに高く、1.6L HDiディーゼルエンジンを選択すればランニングコストも低く抑えられる。フランス車ファンにとってはラフな乗り心地が少し気になるかもしれないが、運転していて気持ちがいいのだ。

三菱アウトランダー

忘れがちだが、三菱アウトランダーはプラグイン・ハイブリッド車ばかりではない。欧州で2007年から2012年まで販売されたアウトランダーは、オフロード用のシャシーではなく、ランサーをベースにしたオンロード向けのモデルだった。

初期のモデルには、フォルクスワーゲンとプジョーのディーゼルエンジンが搭載されていたが、2010年に三菱独自の2.2L DiDディーゼルを導入した。荷物を満載して移動するには、158psよりも176psの方が好ましい。


三菱アウトランダー(欧州仕様)

3列目のスペースは非常に狭く、子供やペンギン以上のものを乗せるのには適していない。

シボレー・キャプティバ

ヴォグゾール・アンタラと共通のプラットフォームを採用し、米国人が率いるチームによってスタイリングされ、韓国で製造されたSUV。2011年のマイナーチェンジで2.0Lから2.2Lに変更されたが、シボレー初のディーゼルエンジンを搭載したモデルである。

高価なクルマであり、標準装備も充実していたが、全体的な品質は欧州のライバル車に比べて1〜2段劣るものであった。LTとLTZには、オンデマンド式の4輪駆動と7人乗りが標準だった。


シボレー・キャプティバ

お金をかければ良い個体を手に入れることができるが、部品やサービス費用は高価なものになる。

キア・ソレント

2010年から2014年まで販売されたソレントは、キアが格安ブランドからプレミアム市場への参入を目指すきっかけとなったモデルでもある。

先代モデルよりも魅力的な外観、改良されたキャビン、そして欧州のライバル車よりも多くの標準装備を誇る。


キア・ソレント

ソレントは、ヒュンダイ・サンタフェと同様に、欧州で信頼性の高い7人乗りのクルマを探している家族に人気のあるモデルだ。2012年のモデルチェンジでは、全車7人乗りとなり、エンジンも2.2LのCRDiのみとなった。全体的な品質もワンランクアップしているので、選ぶなら2012年以降のソレントが良いだろう。

セアト・アルハンブラ

セアト・アルハンブラは、10年の販売期間を経て2020年に生産を終了するという驚異的なロングランを達成した。そのスタイリングからもわかるように、フォルクスワーゲン・シャランとの共通点が多いのだが、セアト(SEAT)のバッジが付いているので、中古で買うと少しお得になる。

技術面や安全面での装備はやや「前時代的」だが、アルハンブラほど実用的な7人乗りMPVはほとんどない。


セアト・アルハンブラ

エントリーモデルを除くすべてのモデルで電動スライドドアが採用され、独立した7つのシートは、7人乗りSUVのセアト・タラッコが夢見るようなレベルの柔軟性を実現している。

効率的なエンジン、高いドライビング・ポジション、質の高いインテリアは、大型のセアト車を検討する理由になる。

フォード・ギャラクシー

フォード・ギャラクシーは、実用的で広々とした7人乗りのMPVであることに疑いの余地はない。

7つのシートをすべて使用しても、ハッチバックに匹敵する十分なラゲッジスペースを残しているが、フロントシート以外をすべて倒すと、2325Lというバン並みの容量にまで拡大する。


フォード・ギャラクシー

運転のしやすさもなかなかのものだ。ドライビング・ポジションは素晴らしく、視界も良好で、6人の乗客全員が十分な居住空間を楽しむことができる。広さという点では、まさにギャラクシー(宇宙)だ。

シボレー・オーランド

シボレー・オーランドのスタイリングには、ほんの少しだけSUVの雰囲気がある。スライドドアがないことを除けば、フォード・グランドCマックスに勝るとも劣らない、7人分のスペースがあり、全席使用時には荷物も少し積むことができる。

英国の中古車市場では、2013年モデルが4500ポンド(約68万円)という低価格で購入できるので、確かにお得感がある。LSグレードを避ければ、必要な装備はすべて揃い、2.0Lのディーゼルは驚くほど洗練されている(1.8Lのガソリンは避けた方がいい)。全体として、オーランドは驚くほど好感の持てるMPVである。


シボレー・オーランド

マツダ5(プレマシー)

マツダ5は、フォードSマックスやグランドCマックスのような乗り心地とハンドリングを求める人が買うべき7人乗りMPVだ。日本では「プレマシー」の名で2018年まで販売されていた。

駐車場で便利なスライドドアも装備されており、7000ポンドで買える7人乗りのリストの中では、多くのクルマよりも優位に立っている。


マツダ5(プレマシー)

ただし、2列目の真ん中のシートが小さすぎるため、6人家族の方が適している。洗練されたシャシーを活かすには2.0Lのガソリンが最適だが、燃費を重視するなら無気力な1.6Lのディーゼルが理想的だ。