菅田将暉

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 俳優の菅田将暉が28日、都内で行われた映画『キネマの神様』の完成披露舞台あいさつに登壇し、当初ダブル主演を務める予定だった志村けんさんの魂を本作に感じていることを打ち明けた。この日は、共演者の永野芽郁、野田洋次郎、北川景子、寺島しのぶ、前田旺志郎、宮本信子、山田洋次監督も来場した。

 松竹映画100周年を記念して製作された本作は、『男はつらいよ』シリーズなどの山田監督が原田マハの小説を映画化した作品。映画の神様を信じ続けた男と、その家族に起こる奇跡の物語を描く。菅田と共にダブル主演を務める予定だった志村さんの逝去や、緊急事態宣言による撮影の長期中断、二度の公開延期を経て、ついに8月6日に公開を迎える。

 ダメ親父・ゴウ(沢田研二)が撮影所で夢を追っていた青年時代を演じた菅田は、「志村さんの本読みを見学して撮影に入ったので、志村さんが演じるゴウを想定してのお芝居でした」と回顧。また、志村さんが亡くなったのは菅田の撮影後だったことから、菅田は映画の行方に不安を抱いたそうだが、「山田さんが書き直した脚本を読んだときに、(志村さんのことは)すごく残念なことなんですけど、違うパワーが生まれている感じがして、公開の日が楽しみになりました」と前向きな気持ちになったことを明かした。

 さらに、志村さんが演じる予定だった役を引き継いだ沢田について「沢田研二さんが演じたゴウを見たとき、勝手に志村さんを感じました」と話す菅田は、「僕たちの過去パートをご覧になってから演じてくださったからなのかな」とその理由を推測すると、「確実にいろんなものが残っていて、間違いなく他にない映画になっていると思いました」と苦難を乗り越えて誕生した本作に自信をのぞかせた。

 山田監督も長いキャリアの中で経験したことのない出来事ばかりに「呆然とした」と、素直な思いを吐露しつつ、「沢田研二さんがピンチヒッターに立とうと決心してくれて、そのことで志村けんさんとは全く違うゴウ像を作り上げてくれました」と感謝。続けて、「大変な出来事を通して、別の様相でできあがったと思いながら観てください。そして、亡き志村けんさんのことも思い出してください」と呼びかけた。(錦怜那)

映画『キネマの神様』は8月6日より公開