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NHKで放送中の大河ドラマ「青天を衝け」や、一万円札の図柄で注目されている近代日本経済の父といわれる渋沢栄一翁ゆかりの地「深谷」。その地を見学する観光客の足となる『渋沢栄一 論語の里 循環バス』(深谷観光バス)にAI自動運転バスが導入されている。開発しているのはお馴染み埼玉工業大学。
循環バスが運行する最長コースの総距離は27.9km、そのうちなんと約17.2kmもの距離を自動運転で走行している。大型自動運転バスでこれだけの距離は類を見ない。
編集部は早速、深谷に向かい、試乗体験をしてきた。


渡部氏:

リエッセから大型の自動運転バスになって、ハンドルやブレーキが変わったことでソフトウェアは刷新しました。特にブレーキが大きく変わっていますが、大型バスでもとてもスムーズに止まる点も注目して見ていただきたいと思います。大型バスの方がハンドルのアソビが大きく、その点も対応しました(操舵はシステムがハンドルを回して行うしくみ)。


自動運転バスの前部には、上部と左右に大型のベロダイン製のLiDARが装備されている。後部にもLiDARが装備され、バスの周囲360度を監視してマップと照合しながら自律走行する。

大型自動運転バスの前面。大型のLiDARが3基装備されている(赤枠)

周辺の状況を見るカメラ

大型自動運転バスの後面にもLiDARを装備(赤枠)


編集部:

センサー類はLiDARのほかにどのような技術を搭載していますか


渡部氏:

バスのルーフにGNSSを搭載しています。また、高性能な光ファイバージャイロも使用しています。光ファイバージャイロは航空機にも使われている技術で、姿勢を安定して保ったり、自動運転でやさしいペダル操作を実現するのに有効です。

位置情報はGNSS等を使用して高精度に計測し、自社位置を推定している。ルーフ上に装備されているキノコ型の突起が「GNSS」のアンテナ2基


編集部:

GNSSの精度はどれくらいでしょうか


渡部氏:

GNSSは日本の準天頂衛星「みちびき」やロシアの「GLONASS」(グロナス)、中国の「北斗」などですが、標準誤差自体は1cm〜1.5cmくらいです。GNSSだけでなく光ファイバージャイロで補正することでそれくらいの精度で自己位置が出ています。



●自動運転バスの運行は土日のみ
話題になっている渋沢栄一翁ゆかりの地を訪ねつつ、未来を先取る自動運転の大型バスを体験してみるのはオススメだ。循環バス自体は2路線3系統の運行ルートで、平日7便、休日13便。1日乗車券は500円(小人250円)、1回ごとの乗車券もある。
自動運転バスは土日のみの運行で、スケジュール等は「渋沢栄一「論語の里」循環バス」のホームページで確認できる(一週間ごとに更新)。
ホームページでは「条件付き自動運転」となっているが、乗客が全員が着席できる20名を超えた場合は、安全性を考慮してその区間は自動運転でなく運転士による手動運転で運行される、等の条件があるため。その他、状況によって自動運転ではなく手動運転で走行する場合があるため、このような表記となっている。

(神崎 洋治)