社長の平均年齢が60歳に到達 調査開始以来初、事業承継への課題が浮き彫りに
社長の平均年齢は年々上昇し続けており、70歳以上で現役の社長も珍しくはない。その一方、全国の後継者不在率は2020年時点で65.1%(「全国企業『後継者不在率』動向調査(2020年)」帝国データバンク、2020年11月発表)と依然高水準であり、事業承継への備えが追いついていない現状もうかがえる。
帝国データバンクは、2021年1月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録)から企業の社長データ(個人、非営利、公益法人等除く)を抽出。約94万社を、業種別、業歴別、都道府県別に集計・分析した。
上場企業社長の平均年齢は58.7歳(前年比±0.0歳)、年代別では「60代」が構成比43.3%を占め最多となった。
社長の平均年齢を業種別にみると、「不動産業」が62.2歳で最も高く、「製造業」(61.3歳)、「卸売業」(61.0歳)、「小売業」(60.2歳)も全体の平均年齢を上回った。また、「製造業」「卸売業」「小売業」では「60代」が最多、「不動産業」では「70代」が最多となった。
業歴別における「80歳以上」の割合をみると、「50〜100年未満」では構成比7.4%、「100年以上」では同6.2%と、50年未満よりも割合が大きくなる傾向がみられた。
1990年と比較して社長の平均年齢が最も高くなったのは「秋田県」(+8.4歳)、次いで「青森県」(+7.9歳)、「山梨県」・「沖縄県」(+7.8歳)となった。
一方、「三重県」は平均58.8歳(全国平均▲1.3歳)と、全国で最も平均年齢が低かった。
高齢化が進むにつれて社長の平均年齢も右肩上がりで推移しており、1990年(平均54.0歳)と比較して6.1歳上昇。また、業歴30年以上では全体の平均年齢を上回っており、老舗クラスの企業においては社長の高齢化が顕著に進んでいるといえる。
社長平均年齢の上昇は、年齢に関係なく第一線で活躍し続ける社長が多いことを示している。その反面、事業承継の観点では課題の一つになり得る。2020年時点の社長交代率は3.80%と、ここ数年の推移から大きな変動はみられないほか、後継者が不在であることなどが一因となった倒産(後継者難倒産)は2020年1〜12月で452件と、依然高水準である。企業の将来性を担保する観点からも、早めの後継者選定および育成に取り組むことの重要性が増している。
社長の平均年齢は今後も上昇傾向が続くとみられるが、これまでに培ってきたノウハウや歴史を絶やさないためにも、円滑な事業承継に向けた準備が急務になっているといえよう。
帝国データバンクは、2021年1月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録)から企業の社長データ(個人、非営利、公益法人等除く)を抽出。約94万社を、業種別、業歴別、都道府県別に集計・分析した。
社長の平均年齢は60.1歳で過去最高 業種別では「不動産業」が62.2歳に
2020年の社長の平均年齢は60.1歳(前年比+0.2歳)と、調査を開始した1990年以降初めて60歳を超え、過去最高を更新した。年代別の割合をみると、「60代」が構成比27.3%を占め最多、「50代」が同26.9%、「70代」が同20.3%で続く。社長の平均年齢を業種別にみると、「不動産業」が62.2歳で最も高く、「製造業」(61.3歳)、「卸売業」(61.0歳)、「小売業」(60.2歳)も全体の平均年齢を上回った。また、「製造業」「卸売業」「小売業」では「60代」が最多、「不動産業」では「70代」が最多となった。
業歴30年以上では全体の平均年齢を上回る結果に
業歴別にみると、30年以上では全体の平均年齢を上回った。また、「10年未満」では「40代」が最多(構成比34.5%)となる一方、「30〜50年未満」では「60代」「70代」(同29.3%)、「50〜100年未満」「100年以上」では「60代」(各、同29.7%、同32.7%)がそれぞれ最多となった。業歴別における「80歳以上」の割合をみると、「50〜100年未満」では構成比7.4%、「100年以上」では同6.2%と、50年未満よりも割合が大きくなる傾向がみられた。
「秋田県」は平均62.2歳、1990年比で8.4歳上昇
都道府県別にみると、「秋田県」が平均62.2歳(全国平均+2.1歳)で最も高く、「岩手県」が62.0歳(同+1.9歳)、「青森県」が61.8歳(同+1.7歳)でこれに続く。また、東北以外でも主に東日本において全国平均を上回る地域が目立った。1990年と比較して社長の平均年齢が最も高くなったのは「秋田県」(+8.4歳)、次いで「青森県」(+7.9歳)、「山梨県」・「沖縄県」(+7.8歳)となった。
一方、「三重県」は平均58.8歳(全国平均▲1.3歳)と、全国で最も平均年齢が低かった。
円滑な事業承継に向け、早めの後継者選定および育成に取り組むことの重要性が増す
2020年の社長の平均年齢は60.1歳と、調査開始以来初の60歳超となった。高齢化が進むにつれて社長の平均年齢も右肩上がりで推移しており、1990年(平均54.0歳)と比較して6.1歳上昇。また、業歴30年以上では全体の平均年齢を上回っており、老舗クラスの企業においては社長の高齢化が顕著に進んでいるといえる。
社長平均年齢の上昇は、年齢に関係なく第一線で活躍し続ける社長が多いことを示している。その反面、事業承継の観点では課題の一つになり得る。2020年時点の社長交代率は3.80%と、ここ数年の推移から大きな変動はみられないほか、後継者が不在であることなどが一因となった倒産(後継者難倒産)は2020年1〜12月で452件と、依然高水準である。企業の将来性を担保する観点からも、早めの後継者選定および育成に取り組むことの重要性が増している。
社長の平均年齢は今後も上昇傾向が続くとみられるが、これまでに培ってきたノウハウや歴史を絶やさないためにも、円滑な事業承継に向けた準備が急務になっているといえよう。