東京五輪の緊急調査に“NO”を明言する国が出た!「ラオスは選手を派遣しない」
「それでも菅さんは、五輪について『やるしかないんだろ』と言っているそうです。最終的に開催の可否を決めるのはIOCですし、菅さんから五輪中止を言い出すことは絶対にないですよ」(自民党中堅議員)
菅義偉首相(72)は、訪日した国際五輪委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(66)と11月16日に会談した際も、2021年7月開催の東京五輪について「観客ありの開催を想定している」と伝えていた。しかし、新型コロナ “第3波” で、状況は一変した。
首相肝いりの「GoToキャンペーン」も一時停止され、世は再び “自粛ムード” に突入している。今の日本を見ても、「2021年に東京で五輪を開催できる」と世界は思うのだろうか――。12月、本誌は日本以外の205の国と地域の五輪委員会(NOC)に、一斉アンケートをおこなった。
「2021年7月に五輪は開催できるか?」
「選手を派遣するか?」
「コロナ禍が続いた場合、どのように開催されるべきか?」
以上3つの質問をしたところ、16カ国のNOCから回答を得られた。多くの国が、「開催を確信」「選手を派遣する」と答えた中で、驚くべきはラオスの回答だ。
「我が国から、コロナ禍の五輪に選手を派遣することはないと考えています」
東京五輪に「NO」を突きつける回答が送られてきたのだ。ラオスは伝統的な “親日国” だけに、衝撃は大きい。各国からの回答について、元JOC参事の春日良一氏が解説する。
「そもそもNOCは、政府から自律を貫きながらも、その動向を意識してスポーツの立場を守っていく組織なので、この種の政治にかかわる問題には、簡単に発言しないんです。たとえば、1980年のモスクワ五輪で西側諸国がボイコットした際も、公式見解が出るまでは、各国のNOCはメディアの質問に簡単に口を開かなかった。ですから、今回の16カ国からの返答は驚きです」
なかでも、イギリスの「開催を確信し、選手を安全に派遣するつもりです。しかし、コロナの影響を予測するのは難しく、五輪開催について仮説を立てるのは適切ではありません」という回答に春日氏は注目する。
「NOCの模範解答といえます。イギリスNOCはサッチャー首相のとき、彼女が『行かないで』と懇願したのにも関わらず、NOCの『自律』を守り、政府の援助なしに堂々とモスクワオリンピックに参加しました。NOCの『自律』の精神を貫いているわけです」
そしてラオスの回答について、春日氏はこう分析する。
「これは、『コロナがひどい状態ならば、IOCも開催不可と判断するから選手は送れない』と言っているのだと思います。一方で、多くが『開催されると信じる』と答えているのは、NOCには『IOCと五輪組織委がやると言えば、五輪は開催される』という確信があるからです。11月のバッハ会長来日の意味は大きかったですね」
そのバッハ会長は、12月17日付の『日本経済新聞』のインタビューで、「(コロナ禍への)受け止め方は変わっていくだろう」と話した。
だが、菅首相はみずから、コロナ禍の不安が増すような失策を続けている。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、「こうなると、菅首相は五輪開催に前進するしかない」と話す。
「支持率が下がり、解散総選挙が遠のく今、『2021年10月の任期満了を待っての総選挙』というのが現実味を帯びてきました。その前に予定される東京五輪を開催、成功させて、選挙に繋げたいという思いはあるでしょう」
東京五輪開催に政権の命運がかかるなか、菅首相の “チキンレース” を、世界中のNOCが注視している。以下の関連リンクでは、本誌のアンケートに答えたNOC16カ国の回答を公開する。
(週刊FLASH 2021年1月5日・12日合併号)