コーヒー中毒者がコーヒーをやめて分かった「コーヒーのメリット/デメリット」とは?
コーヒーをたくさん飲む人は長生きする傾向があるという研究結果がある一方で、カフェインの過剰摂取といった弊害もあるため、コーヒーを飲み過ぎるのもよくないとされています。そんなコーヒーを、毎日2〜3リットルは飲んでいたという大のコーヒー党だったライターのオリバー・カルバヤン氏が、コーヒーを1年間やめて体に起こった変化を公開しています。
What Happened When I Quit Drinking Coffee For One Year | by Oliver G. Calubayan | In Fitness And In Health | Nov, 2020 | Medium
◆コーヒーを飲み始めた理由とやめた理由
「フィットネス狂」を自認するカルバヤン氏が大のコーヒー好きになったのは、コーヒーに入っているカフェインには運動能力をブーストさせる効果や、脂肪の蓄積を抑制する効果があると知ったのがきっかけです。
はじめはトレーニング開始前に500mlのブラックコーヒーを飲むだけだったカルバヤン氏ですが、コーヒーを飲むと減量のための断食が苦にならないと気付いてからコーヒーに手を伸ばす回数が増加。次第に1日に2〜3リットルのコーヒーを飲むようになっていきました。
こうして迎えた2019年1月のある日、カルバヤン氏の体に異変が訪れました。その日も朝の2杯のコーヒーを飲んでから日課のトレーニングを始めようとしたカルバヤン氏は、7時間眠ったにもかかわらず疲れ果てていて、その上まるで2時間ぶっ通しでバスケットボールをした時のように体が痛いことに気付いたとのこと。
そこでさらにコーヒーを1杯飲んでから、なんとかトレーニングのウォーミングアップを終えたカルバヤン氏は、不意に眠気を覚えてソファーに倒れ込み、1時間昼寝をしてしまいました。既に3杯もコーヒーを飲んでいるのに昼寝をしてしまったということは、カフェインの覚醒作用が効かなくなってしまったことを意味しています。その上、カルバヤン氏はコーヒーを飲まないとイライラしてしまうことにも気が付き始めました。
このころには、1日に飲むコーヒーの量が4リットルに達することもあったというカルバヤン氏は、これを機にコーヒーをやめることを決心しました。
◆コーヒー断ちの方法とその効果
まず少しずつコーヒーを減らすことから始めたカルバヤン氏は、野菜不足を心配する家族の勧めもあって、コーヒーの代わりに果物と野菜で作ったグリーンスムージーを飲み始めました。初めて飲んだスムージーが最高の味だったというカルバヤン氏は、4日目には「朝一番のコーヒーが要らなくなった」という効果を実感するようになり、1日に飲むコーヒーも2杯に減らすことができました。
その後もカルバヤン氏は、2週間後には1日1杯しかコーヒーを飲まずに済むようになるなど順調にコーヒー離れしていき、3週間後にはついに1杯もコーヒーを飲まずに1日を過ごせるようになりました。こうして、最終的に1杯もコーヒーを飲むことなく1年間過ごすことに成功したカルバヤン氏は、コーヒーをやめたことによって起きた変化を次の6つにまとめています。
1.生産性が向上した
睡眠時間が5時間だろうが9時間だろうが、起き抜けの疲れやだるさが気になって仕方がなかったというカルバヤン氏ですが、コーヒーを飲まなくなってからは6時間睡眠ですっきり目覚めることができるようになったとのこと。そのおかげで、朝の5時30分か6時には起床して、読書や運動、朝食作りなどを済ませてから7時30分に子どもを起こすという充実した日課がこなせるようになりました。
また、コーヒー休憩の時間がなくなったことで、記事を執筆中の集中力も向上したとのこと。コーヒーを飲みながらライター業をしていた時の事を、カルバヤン氏は「以前は頭にもやがかかったような状態と戦うためにコーヒーを飲んでいましたが、今にして思えばコーヒーの飲み過ぎがその状態の原因だったのかもしれません」と振り返っています。
2.便通が悪くなった
カルバヤン氏は、コーヒーをやめたメリットだけでなく、デメリットも実感しています。カフェインが持つ「腸の働きを活発にする」という効果がなくなったためか、毎朝の排便がスムーズにはいかなくなってしまったとのこと。
これについて、カルバヤン氏は「私は食べ過ぎないように気をつけている上に、しばしば減量のための断食も行っています。前日にたくさん食べれば便通を気にする必要はありませんが、カロリー制限をしている人にとっては難しい問題かもしれません」とコメントしました。
3.歯がきれいになり口臭もなくなった
これはカルバヤン氏が実感したのではなく、カルバヤン氏の妻から指摘されたことだとのこと。コーヒーに含まれるタンニンは歯の黄ばみのもとになってしまうほか、コーヒーが口臭の原因となることもあるため、コーヒーをやめることで歯の汚れや口臭がなくなったのではないかとカルバヤン氏は分析しています。
4.気分がよくなった
前述のとおり、コーヒーを1日何リットルも飲んでいたカルバヤン氏は、コーヒーを飲もうと思った時に飲めないと不安や気分の落ち込み、イライラ感に襲われるようになっていました。しかし、コーヒーを飲むのをやめることで、気分の波が穏やかになったほか、コーヒーにありつけない時のイライラ感に襲われる心配もなくなったとのことです。
5.トレーニングのパフォーマンスに影響が出た
そもそも、カルバヤン氏がコーヒーを飲むようになったのは、コーヒーが持つ脂肪の燃焼を助ける働きや、持久力をアップさせる効果が目的でした。そのため、コーヒーを飲まなくなったことでこうした効果も失われたとのこと。コーヒーを飲まずにカフェインの効果を得るため、カルバヤン氏はトレーニング前にお茶を飲むことを試してみましたが、コーヒーのような効果はなかったそうです。
6.ウエストが増えてしまった
コーヒーをやめてから8カ月がたったころ、カルバヤン氏はズボンがきついと感じるようになったとのこと。そこでカルバヤン氏が自分のウエストを測ってみた結果、以前に比べてウエストが1インチ(約2.5cm)増えていることが判明しました。
以下の写真のうち、左側はコーヒーを浴びるように飲んでいた2018年4月のカルバヤン氏で、右側はコーヒーをやめて10カ月ほど経過した2019年11月のカルバヤン氏です。確かに割れていた腹筋がぽっちゃりとしたおなかに変わってしまっています。
このことについてカルバヤン氏は、「グリーンスムージーはカフェイン断ちをする素晴らしいアイデアでしたが、明らかにブラックコーヒーよりカロリーが高いので、体重が増えないようにカロリー計算にスムージーを入れなければなりませんでした。また、夕方に小腹がすいた時などにコーヒーを飲むと食欲が抑えられたので、減量の助けになっていましたが、それをやめた結果多くのカロリーを摂取することになりました」と述べています。
◆まとめ
以上のような「コーヒーをやめたことのメリットとデメリット」を総合的に考えた結果、カルバヤン氏は再びコーヒーを飲み始めたとのこと。ただし、以前のように無軌道にコーヒーを飲むのではなく、以下のような条件を付けて飲むようにしました。
・睡眠サイクルを阻害しないように、朝だけコーヒーを飲む。
・トレーニング前か、2時間は集中して執筆しなければならない時だけコーヒーを飲む。
・コーヒーを飲むときは、コーヒーの粉をスプーン山盛り1杯分だけにする。
カルバヤン氏はコーヒーをやめた経験について、「実際にコーヒーをやめる実験をした結果、コーヒーを飲むのは体重にいい影響を与えるということが判明しました。しかし、コーヒーの飲み過ぎは理想的なこととは言えないので、健康的なバランスを見つけるのが大切だということも分かりました」とまとめました。