九州豪雨による企業活動への影響まとめ(7月9日昼時点)

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 熊本県・鹿児島県に続き、福岡県など九州北部の集中豪雨により、製造業の工場で冠水などの被害や、従業員の安全確保を目的に一時操業を停止した工場が相次いでいる。小売店舗などでも、浸水などによる被災で休業が発生しており、企業活動に影響が広がっている。

 各社とも大雨の影響による河川の氾濫、土砂崩れなどに警戒しながら現況確認に当たっており、被害の全容は未だつかめない。また、企業活動の正常化に向けた取り組みが進められているが、従業員と取引先の安全、物流確保などの課題もある。

工場や店舗の休業、主要企業50社超で判明

 帝国データバンクでは、九州各地の豪雨の影響に伴い、上場企業など主要企業の発表資料などを基に、7月9日昼時点までに判明した工場や店舗営業の動向などについて取りまとめた。

 その結果、九州豪雨により工場や店舗の休業などの影響が出た主要企業は少なくとも53社に上った。このうち浸水などにより自社の設備や店舗に影響が発生した企業は、4割に当たる21社で判明している。

 製造業では18社で影響が判明した。このうち化学メーカーのデンカは、自動車向けの電子部品などを製造している大牟田工場とグループ会社の九州プラスチック工業(玉名市)が浸水被害を受け、6日夕方から全プラントの操業を停止 したと発表。三井化学は、同社の大牟田工場で電気設備が浸水したため操業を停止。炭素製品を手掛ける東海カーボンは、半導体や太陽電池などの製造装置に使う黒鉛材の生産プラント(芦北町)で、浸水による火災が発生した。いずれも、在庫対応等によりサプライチェーンへの影響は限定的としている。

 ただ、一部の部品サプライヤーやメーカーでは浸水などの被害はなかったものの、従業員の安全確保を目的に工場の操業を一時的に停止したケースが多くみられたが、順次通常通りの操業を再開する動きが広がっている。

小売業などでは浸水被害を受け、臨時休業となった店舗も

 生活インフラでは、最も多い小売業で19社の影響が明らかになっており、店舗の浸水等で営業休止した企業が多くみられた。ローソンなどコンビニ各社では、浸水被害の大きい熊本県や福岡県、大分県などの一部店舗で休業とした。 ファミリーレストランのすかいらーくHD など外食各社も、熊本県などの店舗を中心に一部店舗の休業、営業時間の短縮措置を取った。

 また、ヤマト運輸 や佐川急便 など運送各社では、被害の大きい熊本県の一部地域で営業所の休止や集荷の見合わせなどを行っている。