輸入車ディーラー売上高合計は約1.2兆円 新型コロナ受けオンライン商談導入の動きも

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 輸入車への注目度が高まっている。日本自動車輸入組合によると、2019年の輸入乗用車新規登録台数は32万6,261台。10年前(09年、16万7,889台)の約2倍に伸長している。

 それを象徴するかのように、2013年には「フォルクスワーゲン ゴルフ」が輸入車として初めて「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。その後17年、18年にはスウェーデンの自動車メーカー・ボルボが2年連続で受賞している。”日本の賞を輸入車が受賞する”という状況は、今後そう珍しいものではなくなってくるのかもしれない。

■直近の売上高合計は約1.2兆円

 輸入車への注目度の高まりは、輸入車を扱う自動車ディーラーの業績にも表れている。帝国データバンクが保有する企業概要データベース「COSMOS2」より輸入車販売業者を抽出し、過去の業績と比較可能な204社を分析したところ、2009年に約6788億円だった売上高合計は、14年には約1兆200億円、19年には約1兆2449億円に増加。輸入乗用車の車両本体価格別新規登録台数をみると、300〜400万円台が約42.6%(19年、日本自動車輸入組合調べ)と価格帯が高いものの、国産車とは異なる魅力がユーザーに浸透した結果、売り上げの拡大につながったとみられる。

■新型コロナで登録台数激減 宣言解除後も制約大きく

 しかし、2019年10月の消費税率引き上げなどに加え、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響が重なり、好調な輸入車市場の状況は一変している。日本自動車輸入組合がまとめた輸入車新規登録台数(速報ベース)によると、今年5月は前年同月比46.1%減となる1万3,712台にとどまった。翌6月は同27.6%減の2万4,507台と減少幅が縮小したものの、引き続き接触機会を減らしながらの営業が求められていることもあり、制約は依然大きい。

■クルマの商談もオンラインに?顧客とのコミュニケーションにも変化が求められる

 車は車検などの定期点検が必要なため、メンテナンス需要が常に一定数あるほか、年数が経過すれば代替需要も見込める。ただ、こういった需要も顧客との信頼関係あってのもの。それだけに、「Face to Face」に制約がかかる昨今の状況は痛手である。

 オンライン化が難しいと思われてきた自動車販売業界だが、米国などではオンライン販売を導入する動きもみられ始めた。日本においてもトヨタ自動車(株)がオンライン商談用のWebサイトを立ち上げたほか、ボルボ・カー・ジャパン(株)(東京都港区)もオンラインコンテンツを強化し、タブレット端末を活用したWeb上での商品説明を展開する。また、将来的に売買契約書のやり取りやローン締結までオンラインで完結できるよう、準備を進めるという。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、業種問わず「コミュニケーション手段の多様化」への対応を迫られている。依然として収束が見込めないなか、接触機会を減らしつつ、いかにして顧客とのコミュニケーションを充実させるかが課題となろう。