栗原勇蔵氏はバルセロナFWメッシに近いプレーヤーとして川崎MF家長昭博を挙げた【写真:Getty Images & 高橋学】

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メッシと家長の共通点は? 栗原氏が持論「本田がよく家長の名前を口にしていたけれど、伊達じゃないなと」

 バルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシは2009年からの10年間で6度のバロンドール賞を受賞し、文字どおり“世界最高の選手”としての座を確固たるものとしている。

 そんなメッシに最も似ている日本人選手は誰なのか? 元日本代表DF栗原勇蔵氏が「Football ZONE Web」のインタビューで持論を展開している。

 2010年10月8日に行われたキリンチャレンジカップのアルゼンチン戦(1-0)に先発フル出場を果たした栗原氏は、当時23歳だったメッシと幾度となくマッチアップを繰り広げ、無得点での勝利に貢献した。昨季終了後に現役を引退した栗原氏だが、「錚々たるアルゼンチンの中でもメッシは別格で、神様だった」と、肌で感じた世界トップクラスを振り返っている。

 メッシが唯一無二の存在であるのは言うまでもないが、日本人選手の中で最も近いプレースタイルを持つのは誰か尋ねると、「パッと浮かんだのは、家長。(横浜F・マリノスFW)仲川輝人もドリブルが速くて細かく、緩急を駆使するタイプ。だけど、イメージ的には左利きだから家長のほうが近いかな」と、川崎フロンターレのMF家長昭博の名を挙げている。

「あいつも若い頃は典型的なドリブラーだったし、スピードもあって、マッチアップして、すげーな、と思い知らされた。ボールも離さずにキープできる。 似たようなやりにくさを感じた。間合いを持っているし、彼は体も強いから、あえて晒して体をぶつけて優位な体勢に持ち込むとか、そういうのも上手い。もちろんメッシと異なる部分もあるけれど、DFとしてアタックするのが困難な選手であるのは間違いない」

 これまで数多くのJ クラブや海外クラブに在籍してきた家長だが、「やっぱり面食らったのはガンバ時代。初めて年下に負けたと実感した瞬間だった」と、栗原氏はガンバ大阪でプロデビューを果たした18歳の家長に強烈なインパクトを受けたという。

家長とのマッチアップは「初めて年下に『負けた』と実感した瞬間だった」

「自分もプロキャリアが3、4年目くらいの時で彼を全然存在を知らなかったんですけど、本当にすげーな、こいつは一体何者なんだと田中隼磨(現・松本山雅FC)と話したのを覚えている。当時はゴリゴリのウインガーで果敢に仕掛けてきて、速いし止められなかった。ドリブルもメッシのようだったし、力強さもあった。本田圭佑(現・ボタフォゴ)がよく家長の名前を口にしていたけれど、伊達じゃないなと」

 34歳となった家長は川崎でプレーしているなか、「今の家長は、それこそ今のメッシみたいに、トップ下のような感じになってきて、ドリブルだけではなくて、ボールをもらってアクセントを付けてパスを出してとか、そういう選手になっている」と分析し、「そう考えると、今のメッシのほうが近いかもしれない。歳も同じくらいだし、プレースタイルの変化も似ているかも」と見解を述べた。

 2017年から川崎に加入した家長は、翌年にはJリーグ年間最優秀選手に輝いた。今月4日に行われたJ1リーグ第2節の鹿島アントラーズ戦(2-1)では、J1通算300試合出場のメモリアルゲームで全2ゴールをアシストする殊勲の活躍を披露。世界ではマジョルカの日本代表MF久保建英が“日本のメッシ”と表現されているが、横浜FM時代に久保と共闘した栗原氏は、久保以上に家長こそ「メッシに最も近い日本人選手」と感じているようだ。(Football ZONE web編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)