飼い主が「新型コロナ」に感染、ペットはどうすれば? 確保しておきたい「あずけ先」
「飼っている犬が心配だったから」
東京都内の20代女性が、新型コロナウイルスの陽性結果の報告を受けたあと、帰省していた山梨県から都内に戻った理由とされています。
この女性はネット上で批判にさらされました。あまりにもひどい内容の誹謗中傷もあり、そちらは民事上も刑事上も問題になることはすでに報じました。
・山梨の感染女性中傷、エスカレートする「ネット私刑」の法的問題をかんがえる
https://www.bengo4.com/c_23/n_11186/
一方で、もしも新型コロナウイルスに感染したら、愛するペットをすればよいのかという問題は、飼い主につきまといます。
●海外では、人から犬や猫に感染した事例も厚生労働省・結核感染症課によりますと、国内では、これまでのところ、新型コロナウイルスが、人からペットに、あるいはペットから人に感染した事例は報告されていません。
一方、海外では、新型コロナに感染した人から、犬や猫が感染したと考えられる事例が報告されています。動物園の飼育員からトラに感染したと推察される事例もあるそうです。
厚労省は「動物由来感染症の予防のため、動物との過度な接触はひかえるとともに、普段から動物に接触したあとは、手洗いや手指用アルコールでの消毒をおこなうように」と呼びかけています。
●「猫は外に放さず室内で飼育することが望まれる」それでは、もし飼い主が新型コロナに感染したら、どうすれば接すればいいのでしょうか。上記のように、飼い主がペットに感染させてしまう可能性はあります。
東京都獣医師会は「自宅で療養される場合にはペットの体表にウイルスが付着しないようにするために、療養中の部屋にペットを出入りさせないようにしてください」としています。
・飼い主のみなさまへ(東京都獣医師会 危機管理室 感染症対策セクション)
https://www.tvma.or.jp/public/items/1-20200424ver%20Q%EF%BC%86A.pdf
また、日本獣医師会は「飼い主がしっかりした感染防御の対応をとることが最も重要です」「猫は外に放さず室内で飼育することが望まれます」「陽性となった飼い主と接触のあった動物に症状が認められた場合は、かかりつけの獣医師と電話相談のうえ、指示に従って診察を受けてください」と推奨しています。
・愛玩動物と新型コロナウイルス感染症について
http://nichiju.lin.gr.jp/covid-19/covid-19_file8.pdf
新型コロナで入院することになった場合、飼い主が世話できなくなることもあります。また、感染した飼い主が、あずけ先を確保できず、入院を拒むケースがあるようです。
そのため、自民党どうぶつ議員連盟は5月8日、小泉進次郎環境相に対して、感染者のペット相談窓口を明確にして、あずけ先の確保に向けて関係機関と連携をはかるよう要望しました。
環境省・動物愛護管理室は5月11日、弁護士ドットコムニュースの取材に次のように回答しました。
「まずは、飼い主が感染しないようつとめてください。それでも感染してしまうことがあるので、万一に備えて、あらかじめ非常時のあずけ先を決めておいてください。それでもあずけ先が見つからないようでしたら、動物病院や支援団体、自治体に相談してください」(同室の担当者)
なお、ペット保険のアニコムホールディングスは、保有する施設の一部を開放して、新型コロナに感染した飼い主が、入院などで飼育できる状況にない間は、ペットを無料であずかるという取り組みをおこなっているようです。