【日韓経済戦争・番外編】「美貌の国」韓国はKビューティーで勝負!コスメで経済成長を狙う文在寅大統領
韓国人の女性の肌は、ゆで卵のようにツルっとして滑らか、とよく言われる。
その魅力の陰には韓国コスメがあるというわけで、日本でもインスタグラムを「#韓国人になりたい」という言葉で検索すると、160万件以上の投稿がヒットするほど人気が高いという。
韓国では今、Kポップに次ぐ成長エンジンとしてKビューティー(韓国発の美容、化粧品)に国を挙げて力を入れているのだ。その実態を韓国紙で読み解くと――。
「#韓国人になりたい」と日本女性も憧れる化粧品アイテム
韓国の成長産業だった半導体業界の不振に、2019年7月から始まった日本の輸出管理強化が追い打ちをかけている。韓国メーカーが日本の企業に頼っている半導体部品に日本政府がターゲットを絞ったからだ。
そこで文在寅(ムン・ジェイン)政権は、2019年11月から半導体に代わる成長産業として、Kビューティーの本格的な育成に乗り出した。その中身を、聯合ニュース(2019年11月14日付)「文大統領、 経済副首相にKビューティー育成策の策定を指示」がこう伝えている。
「文在寅大統領は11月14日、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官に、新たな成長エンジンの一つであるバイオ分野を育成するためにKビューティーに関連した産業の育成策を積極的に講じるよう指示した」
世界の化粧品業界は欧米勢が席巻しているが、韓国も近年急速に成長して、2018年には世界4位の化粧品輸出大国にのし上がった。それは、欧米勢が高級品志向なのに比べ、韓国コスメはリーズナブルでいて、美容効果が高いという実用性と、新しい発想に富んでいることがあげられる。
たとえば、韓国発というアイデアアイテムの1つに「クッションファンデーション」がある。これは、みずみずしいリキッド状のファンデーションがしみ込んだスポンジがコンパクトに入っており、パフに取って塗る。手を汚さずに短時間でメイクができるうえ、パッケージのデザインが可愛らしく、SNS映えする優れもの。また、「ティントリップ」は赤い色素を含んでいるため、唇そのものに色素が沈着して落ちにくいという口紅だ。
文大統領は、こうした数々のアイデア商品を生み出している化粧品業界を、単に美容だけで売り出すのではなく、バイオ産業の1つとして韓国経済の牽引車にしようと狙っているのだ。そのために次に打った手が「究極の美肌の追求」を国家的なプロジェクトにすることだった。
韓国経済(2019年12月6日付)「韓国政府、『Kビューティー』育成...カスタマイズ型化粧品を2020年から許容」がこう伝えている。
「個人別に肌の特性を考えた、利用者の必要に応じた特別注文のカスタマイズ型化粧品の販売が来年(2020年)から許容される。保健福祉部(編集部注:日本の厚生労働省に該当)は抗老化物質とマイクロバイオーム化粧品開発への支援などを含む『Kビューティー未来の化粧品産業育成案』を12月5日、発表した」
「福祉部は化粧品関連規制を改善することにした。来年3月、カスタマイズ型化粧品制度を新設、化粧品ブランドが個人別肌の診断を通じてカスタマイズ型化粧品を製造・販売するという計画だ。化粧品基礎素材と新技術研究開発への支援も拡大することにした」
「究極の美肌」化粧品開発を国家プロジェクトに
「マイクロバイオーム化粧品」は、世界各国の化粧品メーカーやベンチャー企業が研究にしのぎを削っている「究極の美肌」実現アイテムだ。マイクロバイオームとは腸内細菌のような「微生物叢」のことをいう。皮膚にも無数の常在菌が生息して微生物叢があり、一人ひとり微生物の生態系が違う。そして、この生態系が皮膚の健康状態、つまり若々しさなどに影響を与えている。
遺伝子などを分析して、使う人の微生物の生態系に合った化粧品を作れば、皮膚を若々しくすることも可能になる。この世にたった1つしかない「あなただけの化粧品」というわけだ。いくつかのブランドが製品を出しているが、まだ研究段階の域を脱していない。また、政府が大々的に支援している国も少ない。文政権はこれを全面的に支援しようというのだ。
韓国経済はこう結んでいる。
「韓国政府はこれを通じて2022年までに世界3大化粧品輸出国へと跳躍するという青写真も描いた。化粧品の世界100大企業のうち、韓国は4社入っているが、それを7社に増やして7万3000人の新規雇用を創出する。政府は、将来の新技術の確保に注力するため、来年以降、研究開発に大規模な財政投資を続けていく」
(福田和郎)