「フットボールはチェスのよう」。チェス世界王者が自ら証明した事実

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 「フットボールはチェスのようだ」。誰でも一度は耳にしたことのある格言だと思う。とりわけ戦術論を好むイタリアでよく使われる表現だが、実は現代のプレミアリーグにも同じことが言えるのかもしれない。あるノルウェー人がそれを証明してみせた。

チェスの世界王者にしてゲームの「元」1位

 29歳のマグヌス・カールセンという人物をご存知だろうか? 彼は2013年に22歳11カ月の若さでチェスの世界王者になったチェス界の偉人である。そして、熱狂的なサッカーファンとしても知られている。

 レアル・マドリーの大ファンであり、世界王者に輝いた後にはサンティアゴ・ベルナベウでのキックオフセレモニーに招かれたこともある。もちろん、自身でサッカーをプレーするのも大好きだという。そんな彼が今回、チェスの世界ランクだけでなく、プレミアリーグでも1位に立ったのだ。

 彼が1位に浮上したのは『ファンタジー・プレミアリーグ』というプレミアリーグの公式ファンタジーゲームである。決められた資金の中で自分の好きな選手を選んで理想のチームを作り、実際の試合で選手たちが獲得するポイントを競い合うゲームだ。ポイントは試合結果に加え、得点やアシスト、出場時間や無失点試合などでも加算されるという。

 日本ではまだまだ知名度の低いゲームだが、英国では昔から親しまれており、今シーズンの『ファンタジー・プレミアリーグ』の登録者数は700万人以上。英国の『BBCラジオ』では専門番組が毎週放送されており、元ブラックバーンのFWクリス・サットンが司会者とゲームで競い合っている。

 カールセンは、そのゲームで12月14日に首位に立った。すると彼のツイッターアカウントのプロフィールも更新され、「チェス世界王者」、「チェス世界ランク1位」の他に「ファンタジー・プレミアリーグ1位」と追記された(その後、首位から陥落したため「元」と修正されている)。

https://twitter.com/MagnusCarlsen/status/1205862206946074624

データを駆使して700万人のトップに?

 彼のチームの稼ぎ頭はリバプールのFWサディオ・マネやレスターのFWジェイミー・バーディー、そして『ファンタジー・プレミアリーグ』では英雄と崇められているシェフィールド・ユナイテッドのDFジョン・ランドストラムだ。DFとして最多ポイントを稼いでいる同選手にはカールセンも感謝しているようで、「ランドストラム」と書かれたマグカップを愛用し、その写真をツイッターに載せている。

 では、カールセンは一体どのようにして700万人ものライバルを抑え、本職ではない分野で1位まで上り詰めたのだろうか。

 英紙『The Guardian』が連絡を取ったところ、カールセンから1行のメールが返ってきたという。

「ファンタジーフットボールでの私は、optimist(楽天家)であり、“Optamist”でもある」

 どうやらカールセンは、チェスの世界王者にして『ファンタジーフットボール』でも一流であり、“データに強く”、ユーモアまで兼ね備えているようだ。

Photo: Getty Images