日曜午後の時点ではその前兆は見受けられなかったのだが、事態は急展開をみせた。その日の夜にバイエルン・ミュンヘンは、ニコ・コヴァチ監督の退任を発表。リーグ戦ではフランクフルトに5失点を喫して敗戦、首位との勝ち点差は4に広がり4位に転落。またドイツ杯では2部ボーフムに、あわや敗退寸前にまで追い込まれていたことなど、現状の分析を行なった結果、退任という判断が下されている。

 クラブ側の発表によれば、ヘーネス会長、ルメニゲ代表、そしてサリハミジッチSDと共に、コヴァチ監督自身も「互いに合意」する形での退任であり、「ここのところのチームのパフォーマンスと結果を受け、動きに出る必要があると考えた」とルメニゲ氏は語り、「オープンかつ真摯な話し合い」の結果、コヴァチ監督と合意に至った経緯について説明した。

 これからしばらくの間は、コヴァチ監督の希望によりこの夏にACへと就任していた、ハンジ・フリック氏がチームの指揮をとることに。なお水曜日にはバイエルンは、チャンピオンズリーグGL第4戦オリンピアコス・ピレウス戦が、そしてその週末にはドイツの頂上決戦、ボルシア・ドルトムントとの一戦が控えている。

 昨夏よりアイントラハト・フランクフルトからバイエルン・ミュンヘンの指揮官へと就任したコヴァチ氏は、就任初年度から国内二冠を達成したものの、2シーズン目となった今シーズン、チームはうまくバランスを見出すことができず、特に守備面でもろさを露呈することに。確かにCLではトッテナム相手に大勝もおさめてはいたが、しかしながら先日のドイツ杯2回戦ブンデス2部ボーフムには、あわや敗退寸前にまで追い込まれることに。

 2016年にフランクフルトで初めてブンデスの監督となった同氏は、シーズン終盤より残留争いの危機からチームを救い、その後は欧州の舞台への復帰へと導いただけでなく、ドイツ杯ではタイトル獲得をももたらし、バイエルンの指揮官へと就任。だが奇しくもそのフランクフルト戦での大敗が、コヴァチ監督に引導を渡す形になってしまった。


 コヴァチ監督は、クラブ公式にて「この1年半近くのことについて、私も弟も感謝の気持ちを伝えたい。この期間でブンデスリーガ優勝、ドイツ杯制覇、そしてDFBスーパーカップも獲得した。良い時間だった」と別れの言葉を贈っている。

 また古巣フランクフルトの公式ツイッターでは、コヴァチ監督がドイツ杯優勝を果たした際の写真を掲載し、「ニコ、ここフランクフルトでは、あなたの星が、南のその場所よりも、光り輝いています。これからも、あなたの道を歩み続けてください。ポカール優勝監督!」とエールが寄せられた。