ハイビームのまま走行するクルマは古くから存在

 対向車、そして後続車のヘッドライトが最近まぶしい。そう感じている方はけっこういるのではないだろうか。今回はその理由について考えてみたい。

 まずよくあるのが、ハイビームからの切り替え忘れ。また、一時ハイビームが走行時の基本と言われただけに、対向車などがいてもそのまま走っているクルマが時々いる。ちなみにどんな時もハイビームががいいわけではなく、危険防止のために他車や人がいる場合はロービームに戻すことも法律で定められている。

 そのほか、ハイワットの社外HIDへの交換や光軸のズレ。ラゲッジに荷物を大量に積んで車体全体が上向きになってしまっているなど、さまざまな理由を目にするが、これらは以前からあることで、最近とくにまぶしいと感じる理由にはならない。

 では原因は何なのだろうか?

まぶしいのは社外ではなく純正のLEDヘッドライト!

 すべてのまぶしいクルマを調べることはできないので、絶対という理由ではないが、LEDヘッドライトの普及が大きいだろう。社外のバルブも多く出ていて、交換している人もいるだろうが、こちらに関してはかなりまぶしいというほどの光量はない。実際にまぶしいのは純正のLEDヘッドライト。

 なぜLEDヘッドライトだとまぶしいのかというと、光の指向性が強く、照らすところと照らさないところの境界線ギリギリまで光を当てられるから。さらに最近主流になっているプロジェクタータイプが拍車をかける。たとえればスポットライトのような感じだ。一方、まぶしいクルマの動きを見ていると光の線がクルマの上下動にリンクして見えるはずだ。

 プロジェクターだとしても、ハロゲンやHIDではあればそこまで指向性は強くなく、照らす部分の境界線はけっこう曖昧。だから、段差などでボディが上下に揺れても対向車や前走車のドライバーを強烈に照らすことはない。

 LEDだと、ちょっと揺れただけでも強烈にその部分を照らすわけで、かなりのまぶしさを感じてしまうことになる。また車検場の検査官に聞いたところでは、輸入車の一部では純正状態でも光が散るクルマもあるという。この場合は照らす際の境界線うんぬん以前の問題だが、実際は認可を取っている純正なので落とすわけにはいかず、一番明るい部分を光軸の中心として認めるなどしてパスはしている。

 ちなみに車検時には光量を測定するのだが、じつは下限値はあっても上限値はない。もともとこんなに明るい時代がくるとは法律的には想定しておらず、明るいぶんにはいいという判断なのだが、今となっては規定を設ける時代になったのかもしれない。ただ、まぶしいのは輸入車にも多く、日本だけで規定を作るというのはまた摩擦の火種になりかねないので無理だろう。