松山ケンイチ×染谷将太の“聖人”生活に「バチ当たりなので」と笑いをこらえた現場
中村光原作の人気漫画を実写化。昨年、動画配信サービスや劇場公開された作品を再編集したオムニバス形式のコメディードラマ『聖☆おにいさん 第I紀』(NHK総合・6月22日土曜夜11時30分〜/3週連続)。松山ケンイチ&染谷将太演じるイエス&ブッダが、聖人とは思えない下界に染まった生活ぶりを描いた見どころとは──。
【写真全6枚】山田孝之も「目が悟っている」と太鼓判の愛らしい2人
全10話のオムニバス
“勇者”コンビがタッグ
主人公は下界に舞い降りた神の子イエスと、目覚めた人ブッダ 。
累計発行部数1600万部を超え、2009年に手塚治虫文化賞短編賞を受賞した、中村光の同名漫画を実写化したコメディードラマ。原作は、2013年にアニメ映画化され、吹き替えはイエスの声を森山未來、ブッダの声を星野源が務めた。
実写版の今作では、松山ケンイチがイエス役、染谷将太がブッダ役をそれぞれ演じる。
世紀末を無事に乗り越えたイエスとブッダは、下界でバカンスを過ごすため東京・立川で6畳ひと間の安アパートでのシェア生活をする。イエスは衝動買いが多く、ブッダは倹約家で細かなお金を気にする。対照的なふたりが、繰り広げる日常をゆるく、ほっこりしたタッチで描いている。
昨年10月に動画配信サービスで独占配信され、期間限定で劇場公開もされて話題になった作品を再編集し、全10話のショートストーリーをオムニバス形式で3週にわたって放送する。
脚本と監督は、映画『銀魂』シリーズやドラマ『今日から俺は!!』などのヒット作を手がけた福田雄一が担当し、俳優の山田孝之が制作統括としてプロデュース。『勇者ヨシヒコ』シリーズの福田&山田のタッグに、制作前から期待が集まっていた。
「あるプロデューサーさんから“こんなドラマ作ったんですけど、ご興味は?”と紹介されたのが、公開前の本作でした。中村先生の原作漫画は愛読していて、『聖☆おにいさん』は、アニメの企画としてやってみたいとNHK内で自ら提案したことがありました。そのドラマ作品ですからが然、興味をひかれました」
と、NHKでの放送を実現したNHKエンタープライズの土橋圭介プロデューサー。
「監督・脚本が福田さんなら笑い満載に違いないと確信しましたし、松山さん、染谷さんという豪華キャスト、さらに、俳優の山田さんがなぜか出演じゃなくてプロデュースに回っているあたりも、気持ちをくすぐられました。
そして実際に見たらやっぱり、おもしろい! ぜひNHKで放送をと企画を進めました。
見どころは何といっても、松山さんと染谷さんの実力派俳優おふたりの徹底したキャラクター作り。そして、それを引き出す、福田監督の脚本と演出で、笑わずにはいられません!」(土橋P、以下同)
“聖人”再現度に太鼓判
宗教の見識が広がるかも
松山と染谷については、プロデュースをする山田が“おふたりとも目が悟っているのでピッタリ”と太鼓判を押したように、イエスとブッダの再現度の高さには驚くはず。
「本作は、バリバリのVFX大作でこそありませんが、漫画の世界を実写化するにあたっては衣装はもちろん、美術、メイク、小物など、画面の隅々にいたるまで、ひとつひとつにスタッフのこだわりが、作品の完成度を高めています」
いつもTシャツ&ジーンズ姿のイエスとブッダ。“シッダールタ”“アーメン”など、Tシャツの文字が変わるのがおもしろいけど、必見ポイントも!
「染谷さんがかぶっているブッダの螺髪は相当こだわって制作し本作でいちばんお金をかけた!? とウワサを耳にしました。ウソか本当かは確認してないのでわかりません。
実際、撮影現場で染谷さんが螺髪(らほつ)を装着した状態を生で見たとき、あまりのハマり具合に触りたい衝動に駆られましたが、バチ当たりなので必死でこらえていました(笑)」
“聖人”ふたりが、昭和の雰囲気のアパートや商店街のなかで生活し、携帯電話やSNSも使いこなすなど奇想天外なコメディーだけど、ただおもしろいだけではない。
「キリスト教や仏教に関するワードが随所に出てきます。僕は、その語源や意味が気になってドラマを見ながら、調べてしまいました。なので、ドラマを見終わると同時に得たプチ知識を、つい人に話したくなりましたね(笑)。
クスクス笑いながら、見ているうちに何となく癒される番組です。
実際、僕もお話をいただいた当時、ちょっと仕事に行き詰まってたんです。でも今作を見て、また頑張ろうと、意欲が湧いてきました。ですから、日々の暮らしにちょっとお疲れの方にもオススメです。ぜひ、ご家族と、またはこっそりおひとりで楽しんでください」
◆全10話あらすじ
第1回(6月22日放送)(1)「ブッダの休日」
女子高生に“ジョニー・デップに似てる”と言われ無邪気に喜ぶイエスの姿に、ブッダは“わたしも誰かに似てると言われたいっ”と買い物に出かける。
(2)「ブッダとイエスのできるかな」
ネット購入した「陶芸ろくろセット」が無駄遣いとブッダに怒られたイエスは、ご機嫌を取ろうとブッダが欲しがっていた「マンガツールセット」を購入する。
(3)「出前のシステム」
なんとなく身体がだるく部屋で寝ているイエスとブッダ。お腹がすいてきたイエスはブッダに出前を取ることを軽い気持ちで提案する。
(4)「バカンスin立川」
ブッダは、沖縄にバカンスに行きたいと懇願するイエスの熱量におされて、ふたりで旅行プランを立てて盛り上がる。
(5)「奇跡の物件」
ブッダが収納に困っていると、イエスが家賃3万円のオートロック付き物件を見つけてくる。幽霊の出るわけあり物件だが、ふたりは喜ぶ。そこへ大家(山野海)が訪ねて来る。
(6)「福も来た! 鬼も来た!」
「節分」でイエス扮する鬼に豆をまくブッダ。鬼役のイエスは自身の迫害経験からブッダに熱のこもった豆まきを要求する。
(7)「白い聖人たち」
イエスとブッダは、ホワイトデーにバレンタインのお返しのクッキー作りをするが、ひと波乱起きる。
(8)「ホスピタル フィーバー」
体調が悪く、寝込んでいるブッダ。イエスは病院に行くことをすすめるが、お金が心配なブッダは拒否。そのためイエスは医者(佐藤二朗)を呼んでくる。
(9)「天国よいとこ一度はおいで」
天国に行ったことがないブッダは天国ツアーのチラシに興奮。見飽きているイエスは地獄ツアーに興味津々、最終的にイエスが行きたい場所とは。
(10)「サンパツ沐浴ドランカー」
ブッダの散髪をすることになったイエスは、螺髪に悪戦苦闘する。