交差点での右直事故もなくなる! 海外に多い「ラウンドアバウト」がもつ5つの利点と意外なマイナス面
日本でも導入地点は増えている
事故を減らす交差点として「ラウンドアバウト」が注目を集めています。欧州やアメリカ、オーストラリアなどで普及しているラウンドアバウトは、交差点の中央に作った島部の周囲を回るように走ることで、クルマを交差させることなく右折・左折・直進をしようというもの。日本でも徐々に採用されているラウンドアバウトは、交通事故を減らすための切り札となるのでしょうか。
ラウンドアバウトのメリットは大きく5つあります。最大のメリットといえるのは交通事故が減るということです。そこには、いくつかの理由があります。まずラウンドアバウトに進入する際は直進時からブレーキングが必要ですから速度が落ちます。また、ラウンドアバウト内は一方通行(日本の場合は時計回り)ですから右側を確認しておけば他車との接触は防ぎやすくなります。
このように進入時に減速は必要となりますが信号が不要となることでトータルでの通過時間は短縮できるというのがふたつ目のメリット。信号がいらないので電気代などさまざまな維持管理コストも軽減できるのもメリットです。また、停止からの再発進というのは燃費に厳しいシチュエーションですから、減速だけで交差点を通り抜けることのできるラウンドアバウトには燃費改善効果も期待できます。
さらに災害などで停電になっても、もともと信号機が不要な道路ですから通常通りの交通の流れを維持できるというのもメリットといえます。
まとめると、次の5点が大きなメリットとなります。
1.交通安全
2.通過時間の短縮
3.維持管理コストの低減
4.燃費改善効果
5.災害対応力
そのほかUターンのしやすさ、ランドマークとしての存在感などから観光地においては街の活性化にも寄与するというメリットも指摘されています。
現状の信号交差点をラウンドアバウトに置き換えられない場所も
では、デメリットはないのでしょうか?
まず、ラウンドアバウトを安全に回れるようにするには、それなりの大きさが必要となります。現状の交差点のすべてをラウンドアバウトに改良すると、急カーブになりすぎてかえって危険になるといったケースも少なくないでしょう。
さらに歩行者には大きなネガが生まれます。ラウンドアバウトは交差点が大きくなるので、横断時のルートが長くなります。基本的に信号がないわけですから、横断歩道を渡るときには必ず確認が必要となります。信号機がないことで視覚障害者がひとりで横断することは難しいというのは大きなデメリットです。こうした理由から、ラウンドアバウトでは横断歩道を設けられないケースもあったりします。
交通量が一定以上に多いケースでもラウンドアバウトのメリットは活きてきません。どんな場合でもラウンドアバウトが最適解ではないという点は覚えておくべきです。