世界に日本車の素晴らしさを伝えたクルマたち

 映画の劇中車として使われて有名になったり、人気が出たりしたクルマは数多くある。クルマは単なる移動手段ではなく、人生そのものに深く関わるものであるので、映画のなかでも役者並みに重要な存在として描かれることが多い。また、映画で重要な存在として描かれたクルマは、クルマ好きならずとも強く印象に残るので、幅広い層の人々の記憶に残りやすいのも特徴だ。

 映画で有名になったクルマは永久に語り継がれるだろう。逆に、映画に興味がない人でも、クルマ好きならクルマで話題の映画は観たくなるものなので、クルマと映画はお互いに良い関係にあるといえる。

 そこで今回は、とくに映画好きというわけでもない筆者が印象深い映画で有名になったクルマを思い出してみた。

1)「007は二度死ぬ」:トヨタ2000GT

 英国秘密情報のスパイであるジェームス・ボンドが活躍する超人気シリーズ。主人公の愛車として描かれるクルマは「ボンドカー」と呼ばれ、毎作品ごとに大きな注目を集める。時代の世相を象徴する高性能車が登場するが、日本車で唯一登場したのがトヨタ2000GT。正確にはボンドカーではなく、ヒロイン役の若林映子が乗るクルマとして登場するのだが、印象の強さと存在感はボンドカーに引けをとらない。1967年に日本車の素晴らしさを世界に知らしめることになった。

2)「栄光への5000キロ」:ダットサンブルーバード(510型)

 日産チームがサファリラリー優勝を遂げるドキュメントを映画化したもの。昭和の大スター、石原裕次郎がダットサンのブルーバードで過酷なサファリラリーを激走。アフリカの大自然を舞台にクルマの格好良さや性能のすごさが炸裂するように表現されている。モータースポーツの面白さなど、自動車の魅力の原点が濃縮されたような作品だ。ブルーバードは国民的大スターと世界を舞台に闘うクルマとして一斉を風靡した。

映画ならではのド迫力な演出も!

3)「バックトゥザ・フューチャー」:デロリアンDMC-12

 この大人気映画もクルマの存在なくして成り立たない作品だ。マニアックなスポーツカーをタイムマシンに改造して、過去や未来にタイムスリップ。劇中車の「デロリアン」は元GMの副社長デロリアン氏が独立して立ち上げたブランドで、自動車メーカーとしての規模は非常に小さく、存続した期間も短かったが、この映画に登場したことで世界中に知れ渡ることになった。

4)「TAXI」:プジョー406

 破天荒なスピード狂いのタクシードライバーが、トンでもないアグレッシブな運転で目的地までを急ぐ乗客を間に合わせる痛快なカーアクション。地味な実用セダンのプジョー406が、スイッチひとつでド派手なエアロをまとったツーリングカーのように早変わり。超絶なドラテクも含めたスポーツドライブのエンタメ最高峰として人気シリーズとなった。

5)「私をスキーに連れてって」:トヨタ・セリカGT-FOUR

 80年代半ば、バブル経済真っ盛りの時代にスキーブーム到来の契機となったことでも有名な作品。若いOL役の原田貴和子と高橋ひとみがスキー場に行く途中、2台のセリカGT-FOURでバトルをするという、今では考えられない衝撃シーンが凄まじい。日本車が得意とする4WDターボは雪道で最強であることを世に知らしめた。

※記事中の写真は劇中車ではありません