年収1300万"妻に月20万渡し収支真っ赤"
年収1300万円▼妻に月20万渡して収支は真っ赤
40代 IT企業 根木浩太さん(仮名)
■議員秘書時代に、女遊びを覚える
根木浩太さん(仮名)は都内の大手IT企業に勤める40代の男性だ。結婚10年目で、3歳の息子がいる。年収は家賃収入を合わせると1300万円ほどになる。しかも両親の実家に同居しており家賃はかからない。
理想的な生活にも見えるのだが、悩みもあるという。まずは根木さんのキャリアを振り返りたい。
根木さんは東京・稲城市の開業医の一人息子として生まれた。関西地方の大学で留年を繰り返し、9年かけて卒業したあと、国会議員の秘書となり東京に戻ってきた。
「いつか自分も国政に打って出たい」。そんな志を胸に門を叩いたが、秘書の仕事は想像を絶していた。
「朝の仕事はまず、先生の自宅まで行き、起こすことです。夜は先生を家まで送ったあとも残務をしてから自宅に帰ります。それ以外にも、マスコミ向けに先生が料理を振る舞ったときは自分が材料の購入から調理まですべてをしました。ちなみに先生は料理を盛り付けただけです」
それに加え、支援団体や政治関係者との会食が毎晩あった。体はもうボロボロだった。
しかし根木さんはこの仕事の醍醐味をこう語る。「政治家をやっていると、口利きで、謎のお金が湧いてくるのです。あまり詳しくはいえませんが、そういったお金は領収書を切っていませんでした」。
例えば2002年のサッカーワールドカップでの出来事。有力支援者から「日本戦のチケットを押さえてほしい」と懇願され、議員の代理として日本サッカー協会の関係者に頭を下げれば数枚なら入手できたのだろうが、別の行動をとった。
「ヤフーオークションでも結構チケットが出回っていたのですよ。そのチケットを買いたい人がほかにもいたので、厳しい戦いになりました。ひたすら価格を吊り上げ、最終的に1枚約30万円で2枚落札しました。当時、落札価格は最高価格としてニュースになりました。ちなみに支援者からは200万円もらいました」
そんな根木さんは次第に金銭感覚が狂ってきたという。「少ない睡眠時間を更に削っていろいろな夜の遊びを覚えました」と振り返る。
まず、キャバクラ遊びだ。
「最初は仕事で嫌々ついていったのですが、はまっちゃいまして、仕事じゃなくても通うようになりました」
海外でも遊んでいたという。
「先生はよく台湾に行っていたので、それについていっては、現地のホステスと遊んでいました。ただ、遊びすぎちゃって、同じ店の2人の子と恋愛関係になってしまいました。そしたら、ある日お店でその2人が喧嘩しちゃいまして。店から出入り禁止にされました(笑)」
日本の店でも出入り禁止になった。
「メイド喫茶が流行り始めていたので、自分もオーナーとして持ってみたいな、と思ったのです。どうせやるならキャバっぽいメイド喫茶にしようと思って、多くのキャバクラに行ってスカウトしていました。その引き抜き行為が新宿・歌舞伎町のとある有名キャバクラでばれてしまいましてね。ここも出禁となりました」
女遊びをしまくっていた根木さんが、結婚することに。相手は「当時33歳で体重90キロ超の女性。自分のタイプではなかった」そう。
「結婚とは事業です。相手が綺麗かどうかなんて関係ない。実は嫁、地方にある有名企業の社長令嬢なのです。嫁と出会う前から結婚を決めていました。ビビビってきましたね」
こうして根木さんの結婚生活は始まった。とはいっても、一緒に暮らしているというだけで、生活はほぼすれ違い状態だった。
「当時、嫁は鬱陶しかったですね。11年に東日本大震災があったときです。あのとき僕は嫁に『東京は放射能で危ない。君だけは田舎に帰れ!』と伝えました。真顔で心配しているていを装って。もちろん、ただ一人暮らしに戻りたかっただけです」
しかし、3年前に子どもが生まれると心境に変化が出てきたという。
「これまでクズみたいな生活をしていたのですが、子どもが可愛くて可愛くて……」
もっと子どもとの時間がほしい。根木さんは秘書を辞め、義父のコネで大手IT企業に幹部待遇で転職した。そして一軒家も買った。「真人間に戻ろう」。そんな矢先だった。
「母親が体調を崩して……。1年くらい新居に住んでから、貸しに出して、私の実家へ引っ越し、両親と同居することにしたのです」
しかし、奥さんはその生活に耐え切れなかったという。月のほとんどは実家に帰るようになった。
根木さんは息子のことが心配で月20万円のお小遣いを奥さんに渡している。「正直何に使っているかはわかりません」。しかしたまに息子にあっても人見知りをされてしまう。
寂しさを紛らわせるため、秘書時代のように飲みに出てしまう。もちろん、今は完全自腹だ。すると、妻がいるときは少しずつ貯金できていたが「なぜか残高が減っていく」。
出費を抑えようと思っていても、ついつい一緒に飲んでくれたり、趣味のクラシックバレエを観にいってくれたりする人におごってしまう。
しかし子どもの将来のことを考えると「なんとかしないといけない」。今はまだお金がかからないが、学校に行き始めると変わってくる。少なくとも今の貯金額では足りない。それに今は親を頼っているが、今後親がどうなるかもわからない。
根木さんはモンモンと将来のことを考えては不安に思ってしまう。その不安を払拭するために夜の街で散財してしまうという、悪い循環にはまってしまっている。「もうどうしたらいいかわからない」。
一番必要なことは奥さんと話し合いの場を設けること
今、根木さんに一番必要なことは、奥さんと話し合いの場を設けることです。家族の将来をどうしたいのかを考え、それに向けた計画を立てましょう。奥さんが専業主婦なら財布を渡して、自分が月20万円お小遣いをもらうというのもありだと思います。今のままだと年間300万円も遊興費に充てているので、ちょっと我慢すればすぐ貯金できるはずです。どうしてもお金を使ってしまうのであれば、iDeCoや低解約返戻金型終身保険に加入するのもありだと思います。また、少し遅いですが、子どもの将来が不安なら学資保険に加入して強制的に貯金することですね。
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ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルリサーチ代表。『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』『ジュニアNISA入門』など、著書多数。
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■▼開業医のドラ息子。金の使い方未だによくわからず
(プレジデント編集部 写真=PIXTA)