iPhoneを4年以上使い続けるユーザーが増加傾向に、アナリスト分析
アップル関連の著名アナリストが、今年度はiPhoneの買い換えサイクルが4年以上となり、同社の売上高を減少させるとともにサービス事業の成長を鈍化させる可能性があるとの研究レポートを発表したと報じられています。

大手資産運用会社アライアンス・バーンスタイン(AB)のアナリストToni Sacconaghi氏によれば、iPhoneユーザーが端末を買い換えるサイクルはしだいに長期化しているとのこと。今年度は現在使用されているiPhoneの約16%だけが買い換えられ、新たに購入されたデバイスは少なくとも4年使い続けられると推定しています。Sacconaghi氏いわく「現在の買い換え率は劇的に低下しており、投資家の予想を下回る可能性がある」とのことです。

ちなみに2015年度においては、iPhoneを使用中だったユーザーは約3分の1が買い換え、その前年から販売台数が伸びなかった2017年でさえユーザーベースの約22%が買い換えていたことと比べると、2019年予測の約16%はかなりの低下といえます。

そしてiPhoneの売上げが急回復することはなく、今年販売される台数は昨年から19%減少し、2020年と2021年にはさらに1%減少すると述べています。

問題をさらに複雑にしているのは、使用中のiPhoneの約32%が中古モデルと推測されており、それらのユーザーがより高スペックを求めた場合でも、新品を買わずにまた中古を買う可能性が高いということ。彼らはiPhone新モデルの販売増に貢献せず、中古市場に留まり続けるというわけです。

こうしたiPhoneの販売動向が、アップルの急成長中とされるサービス事業を鈍化させる可能性も指摘されています。同社のApple MusicやApp Store、それにGoogleからのデフォルト検索エンジン代金は好調に推移していますが、それらは同社のハードウェア製品と密接に結びついており、販売台数が伸びなければ加入者の伸びしろに上限があると思われます。

さらに、上記のような中古モデルの所有者は、アップルのサービスを利用する可能性が低いとのこと。たしかに支出を節約するために中古モデルを選択する傾向があることや、過去のモデルでは動画の処理速度、ディスプレイの精細さや広さなどスペック面で劣後することを考えれば、この分析には一定の説得力があります。

Sacconaghiの結論は、アップルのサービス事業はこれまでの3年間に20%近い伸びを見せていたものの、2019年度には15%増に留まる見込みであるとしています。

「今後のアップルはハードよりもサービス」との見方もあり、アップル自身も「事業の強さの指標とならないから」とiPhone等の販売台数を公表しなくなりましたが、やはり同社の強さのよりどころは新型iPhoneの普及台数であり続けるのかもしれません。