なでしこと豪州の“利害一致”の時間稼ぎに韓国メディアは、「悔しい」と伝えている【写真:Getty Images】

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日本とオーストラリアが1-1ドローでW杯出場権獲得 韓国はB組3位で5位決定戦へ

 ヨルダンで開催中の女子アジアカップは13日にグループリーグB組の最終戦が行われ、日本女子代表はオーストラリア女子代表と1-1で引き分け、同組2位で準決勝進出を決めた。

 同時に8チーム中5位までに与えられる2019年女子ワールドカップ(W杯)出場権を獲得した。

 一方、同時刻で開催されたもう1試合では、韓国女子代表がベトナム女子代表に4-0で快勝。1勝2分の勝ち点5でオーストラリアと日本に並んだが、当該対戦成績での得点数で下回り同組3位に。これにより韓国のW杯出場権獲得の行方は、フィリピンとの5位決定戦に持ち越された。

 準決勝進出によりW杯出場を決めたかった韓国側にとって、日本とオーストラリアの試合運びは見過ごせなかったようだ。後半18分に先制した日本だったが、同41分に同点ゴールを許して1-1に。そこからアディショナルタイム2分を含めた約5分間、日本は後方でボールを回し続けて、そのまま試合が終了した。

 1-1のまま終了すれば、B組でオーストラリアが1位、日本が2位でW杯出場権を獲得できることを両チームともに理解していたため、「リスクを負いたくない」という利害関係が一致したわけだ。

 この行為に噛みついたのが、韓国メディアだ。

「5分間のボール回し」は韓国にとって許しがたい行為だが…

 スポーツ紙「スポーツ韓国」は、「この2チームは約束をしたかのように試合を展開した。日本はDF4人がボールを回し、時間を稼いだ。オーストラリアは誰もプレスをかけず、そのまま時間が過ぎるのを待っていた」と批判。一般紙「ソウル新聞」も「見ていて悔しい」としつつ、「仕方がない行為だったかもしれない」と、日本のボール回しについて触れた。

「後半41分にオーストラリアが同点ゴールを決めた後、両チームの選手たちは約束でもしたかのように、(日本が)ビルドアップもせず、ボール回しを始めた。韓国がベトナムに4-0でリードしていたが、このまま引き分けで終われば準決勝進出とW杯出場権を手に入れられる状況を理解していた。攻めの姿勢を貫き、もし失点でもして先に進めない状況になることを考えれば、攻めないという選択は当然のことだったのかもしれない」と、ある意味仕方がない部分があったと伝えている。

 韓国にとって、「5分間のボール回し」は許しがたい行為だろう。ただ、韓国が日本に勝っていれば状況は一変していたわけで、結果がすべての世界において「たら・れば」を唱えても無意味だ。

 実際、日本と韓国の一戦が行われる前、スポーツ紙「スポーツソウル」は「韓国は日本に必ず勝たないといけない。日本に勝利して、ベトナムにも勝利すれば2勝1分のグループ1位で、準決勝に進める可能性がある。日本に引き分けるか、敗れればグループ3位になる可能性が大きい。W杯出場権を獲得するためには、日本に勝たなければならない」と伝えていた。

「まだ失望する段階ではない」とW杯への望み捨てず

 結果的には、まさにその通りの展開となった。韓国が日本に引き分けた時点で、W杯出場権を真っ先に手に入れるのは難しい状況になることを、韓国側はよく理解していた。

 もちろん、これですべてが終わったわけではない。韓国は現地時間16日にA組3位のフィリピンと5位決定戦を行う。この試合に勝てば、来年の女子W杯フランス大会への切符を手にできる。

 総合ニュースサイト「ニュース1」は、「まだ失望する段階ではない。究極の目標はW杯本大会に出場することだ」と、最後の望みを捨てていない。(金 明碰 / Myung-wook Kim)