2月18日の夜、平昌五輪スピードスケート女子500mで小平奈緒が36秒94の五輪新記録を叩き出し、世界一を獲得。フィギュアスケートに続き、今大会2つ目となる「金」に日本中が歓喜に湧いた。

 レース後、「(低地であるカンヌンのリンクで)36秒台を見られたことが、またこの舞台で出せたことが、本当に嬉しい。スケートが体の真下に入ってくる感覚がすごくよかったので、あと、そこに任せて滑れば私らしいスケートができると思って滑りました」と振り返った小平。

 スタンドで観戦した両親も、その圧巻の滑りに目を潤ませて大喜び。

 母・光子さんは、会場となったカンヌンオーバルを出たあとも嬉しさが体からあふれ出ている様子で、祝福に駆けつける何人もの応援団と「もうみんなにハグしちゃう」と抱き合って喜びを分かち合っていた。

 写写丸も「おめでとうございます。僕もいいですか」と声をかけると、応じてくれてがっちりとハグ。喜びが温もりとなって伝わってきて、感動を共有したのであった。

 写写丸は、そんな大喜びの両親を直撃した。

――おめでとうございます。素晴らしいレースでした
光子さん「ありがとうございます。本当に信じられない光景で。地元からも応援に何十人も来ていただいて、本当にいいところを見ていただけたので、よかったです」

――36秒台が出ました。掲示板を見たときは?
光子さん「私たちはそれを見てびっくりしたんですけど、奈緒はきっと36秒台を狙っていたと思いますね」

――改めて奈緒さんの金メダル獲得の喜びを
光子さん「もう、思いがあふれて、声にならないです。思いを言葉にするのは本当に難しくて、簡単に出るようなものでは……。言葉なくして語る、というような感じです」

――戻ってきたらどんな声をかけてあげたいですか?
光子さん「とりあえず、かける声はないです。もう十分にお互いのことをわかっていますので……。言葉はなくても大丈夫だと思います」

 続いて、100mほど離れていた場所で、友人らから祝福を受けていた父・康彦さんを直撃した。

――おめでとうございます。36秒台が出ましたね
康彦さん「ありがとうございます。本当にすごいと思います。こんなに人生の中で嬉しいことってないんじゃないかな。金メダルもそうだけど、36秒台を出してくれたことが本当に嬉しい。彼女のなかでは、36秒台を出す自信があったかもしれないね。よく、この大舞台で落ち着いて滑れましたよ」

――今度あったら、どんな声を?
康彦さん「いやぁ、声なんてかけないですよ。もうお互いに、思いは十分に伝わっていますから」

 くしくも、両親ともに「声をかけなくても大丈夫」という言葉が口からこぼれ出た。奈緒さんはここ数年、ほぼ年間を通して試合や合宿などで世界中を転戦し、自宅にはその合間に戻るのみ。

「お正月に帰って来たと思ったら、次の日には練習に戻る、と言ってすぐにトンボ帰りしたことも」(康彦さん)

 そんな形で離れていても、親子の心は強い絆で繋がっているということか。