グローエンハートによる不意打ちの一発が繰り出された瞬間(画像は動画のスクリーンショット)

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「スポーツ名珍場面の総集編」…キックボクシングで衝撃のKOシーンに世界が騒然

 2017年のスポーツ界を沸かせた名シーンを連日にわたって振り返る「名珍場面2017」。第2回は6月にフランスのキックボクシングで起きた“世にも奇妙なKO劇”。背中を向けた相手を不意打ちの一発で沈めたが、“禁断”の攻撃に激怒したファンがリング上に乱入し、勝者に襲い掛かる事態に。決定的瞬間を、米メディアが「衝撃かつ恐怖の幕引き」と動画付きで紹介すると、ファンの間でも「一体、何が起こっているんだ」と波紋を呼んだ。

 問題となったのは、6月10日に行われたキックボクシング「Glory 42」のマーセル・グローエンハート対ハルト・グレゴリアンの一戦だった。

「衝撃かつ恐怖の幕引きとなった」

 こう紹介したのは、米紙「USAトゥデー」だ。記事によると、第2ラウンド、残り2分44秒。グローエンハートは顔面を狙って強烈な左膝蹴りを繰り出した。これはガードされたように見えたが、直後にグレゴリアンは突然背中を向け、コーナーに下がるような仕草を見せた。次の瞬間だった。

 グローエンハートは右の背後から顔面に向かって強烈な右パンチを見舞った。完全に意表を突かれ、ノーガードだったグレゴリアンは仰向けにリングに卒倒。意識を失った様子で瞳孔が開き、TKOが宣告された。リング上で見せた相手の隙を容赦なく打ち込み、勝利したグローエンハートは自コーナーに上り、ガッツポーズを披露。しかし、“禁断のKO劇”は、これで終わらなかった。

世界に波紋拡大「彼はいったいどうしたんだ」…グレゴリアンは8月の試合で勝利

 スポーツマンシップを欠いたと激怒したファンがリング上に乱入。歓喜を表現していたグローエンハートに殴りかかったのだ。まさかの事態に場内は騒然。関係者が割って入り、懸命に押さえにかかっていた。

 記事では「完全に不意打ちの一打だったが、決してルール違反というわけではなかった」と記述。MMAファイティング公式サイトによると、グローエンハートは「彼らはとても感情的になっていた。ただ、これはスポーツの競技であり、小さい子供たちも家で観戦している。リングにああいった形で上がってくるべきではない」と苦言を呈したという。

 衝撃的シーンをESPNも紹介。映像で目の当たりにしたファンの間でも瞬く間に波紋が広がった。「彼は一体どうしたんだ、レフェリーも試合を止めたわけではないのに。なんとも間抜けだ」「いつだって守備はしっかりやらないと!」「なんで試合中に後ろを向いて歩いているんだ」と試合中に隙を見せたグレゴリアンに疑問を投げかける意見が大半を占めた。

 一方で「ルール上はセーフでも、背中を向けている相手にパンチを出すのは、モラル的にいかがなものか」とグローエンハートのスポーツマンシップに疑問を呈する意見も。「膝蹴りをもらって、彼には鐘の音が聞こえたんだろうね」「一体、何が起こっているんだ」などと様々な感想が上がっていたが、後味の悪い勝利となった。

 英紙「メトロ」では直前に打撃が耳を直撃し、耳鳴りがして音が聞き取りづらくなっていたと分析していた。しかし、容体が心配されたグレゴリアンは、2か月後に行われた8月に「Glory 44」に出場し、見事に勝利。大事に至らなかったことが救いだった。