やはり若大将には海が似合う。おしゃれなシャツのデザインは、光進丸の設計図だという

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 永遠の若大将・加山雄三は、80歳を迎えた今も、バイタリティーにあふれている。

加山の船『光進丸』を見る

「近年はヒップホップやラップに挑戦したり、『フジロックフェスティバル』などにも出演しています。かと思えば10月にはBSの番組で演歌を初披露するそう。趣味を超えたライフワークとして自然エネルギー船(エコシップ)の設計も続けているようですね」(スポーツ紙記者)

 なんと、最近では仕事をしているとき以外は船の上で暮らしているらしいのだ。名実ともに『海の男』になったということなのだろうか?

 彼の船があるという、静岡県内の入り江に行ってみると、確かに加山が自ら設計した30メートルを超える大きな船がとまっている。

 船が停泊している場所は岸にピタリとつけてとめておくのではなく、港の岸から70メートルほど離れた海上だ。反対側の岸からも30メートルは離れているだろうか。地元の人に聞いてみても、

「この街じゃ、みんな加山さんのことを船長って呼んでますよ。1度来たらしばらくは乗っているから、あながち暮らしているっていうのもウソではないかも」(近所の男性)

 誰にも知られた存在のようだ。船の周辺で取材を続けていると、デッキから加山本人が現れた。記者がインタビューをしたい旨を伝えると、

「そんなところでちょこまかしてないで、船に上がってこい!」

 どうやら、船の中へ招待してくれるという。お言葉に甘えて乗ってみると、風が強いのにまったく揺れないので、落ち着いて話が聞けそうだ。

──船の中で何をなさっているんですか?

「ライブのリハーサルをしていたんだよ。ここはいくらでも大きな音を出せるからな。ピアノがあるから作曲もできるしね。あとは休養だ。

 本を読んだりしている。ここにいると心が休まるよ。都会で生活していると、ストレスがたまるだろ。そうすると朝に晴ればれと目覚めることがなくなる。ここは緑がいっぱいでマイナスイオンが出ているから気持ちがいいんだよ」

 確かに80歳とは思えないほど元気で、肌ツヤもいい。船の上で暮らし始めたというウワサは本当なのだろうか。

「ここはオレにとって家みたいなもの。若いころは忙しくて年に2回ぐらいしか乗れなかったけど、今はやっと船上生活もできるようになった。これまで一生懸命、働いてきたんだからいいだろ?」

──なぜこんな立派な船なのに、沖に行かないんですか?

「ひと晩ここで寝てみればわかるけど、風が吹いても動かないだろ。入り江をいろいろ調べたけど、ここが世界一!」

 都会を離れて海上で暮らすことが、今の彼のライフスタイルということなのだろう。

 設計中だというエコシップについても聞いてみた。

「エコシップは風力と太陽光の発電だけで動くから、燃料はいらない。海水を浄化して真水も作れるし、冷蔵庫に食料を蓄えておけるから災害救助船として使える。今はスピード化、軽量化のために設計をやり直しているんだよ」

 その昔、加山は「幸せだなァ」と歌っていたことがあったが、今も幸せなのだろうか。

「人間は幸せのために生きているんだ。それが自分のためだけじゃなくて、大勢のため人のために尽くすということが喜びになってくる。それがいちばん大切なこと。おっ、最後にいいこと言ったな。忘れるんじゃないぞ!(笑)」

 弾けるような笑顔は、昔と変わらない。船を降りると、ライブの練習をしている歌声が響いてきた。若大将は今も青春まっただ中だ!