ロンハーマン別注のブレスレット。ブランドを象徴するトライ・リンクを取り入れたデザイン

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 米ファインジュエリーブランド「ホーセンブース(HOORSENBUHS)」がロンハーマン六本木店で9月2日から開始したトランクショーの開催に合わせ、デザイナーのロバート・G・キース(Robert G Keith)とクリエーティブ・リエゾンのケザー・パーカー(Kether Parker)が来日した。日本では2010年からセレクトショップなどで取り扱いがあり、米国に次ぐ市場だという。立ち上げから約10年間にわたって感度の高い層に支持されている背景を聞いた。
 ホーセンブースは、2005年にカリフォルニアのサンタモニカにアトリエを開設しブランドを始動。商品は全て職人の手によってロサンゼルスでハンドメイドで製作されている。トライ・リンクのシンボルを用いたアイテムを中心に、リングやブレスレット、ネックレス、ウォレットチェーン、ピアスをラインナップ。国内展開においては、今年5月にサザビーリーグと総代理店契約を締結した。
 3万4,000円〜1,120万円という価格帯から、客層はティーンエイジャーから80代までと幅広い。「米国でカルト的な人気を集めることができた」(パーカー)という背景には、拠点を置くロサンゼルスという立地が少なからず影響している。パーカー、キースともにロサンゼルス育ちで、映像監督の友人からリアーナ(Rihanna)のミュージックビデオ撮影の見学に誘われてジュエリーを持って駆けつけたら、その場でリアーナが2ピースを購入したというエピソードがある。「その翌日から毎日着けてくれたことで一気にブランドが広まった」(パーカー)。このほかエルトン・ジョン(Elton John)やデヴィッド・ベッカム(David Beckham)といったセレブリティも顧客に名を連ねている。セレブリティの着用がブランドの認知度向上に貢献しているが、ギフティングは一切行わないポリシーを貫いているという。
 デザイナーのキースは、自身が手掛けるジュエリーの特徴について「ヘリテージと一貫性」を挙げる。フォトグラファーとして活動していた経験を持つキースは、ホーセンブースを立ち上げる前、ジュエリーデザインについては素人。「1人の消費者として、カルティエのラブブレスレットやロレックスはわかるものの、他のジュエリーはパッと見ただけではわからなかった」。しかし自身がジュエリーブランドを立ち上げるにあたり、その感覚が活かされた。「目の前にいる人が、どのブランドの何をつけていて、価格は大体これくらいで高品質なんだよね、と一目で認識できるブランドにしたかった。その点において『ホーセンブース』はすでに成功しているのではないかと思う」と自負する。ホーセンブースではゴールドやシルバー、ストーンなどさまざまな素材を用いたジュエリーがそろうが、トライ・リンクという飽きのこないシンプルなシンボルを、立ち上げ当初から一貫したモチーフとしてデザインに取り入れることでブランドの軸を保っている。
 ファインジュエリーの展開から開始した米国内では、顧客の男女比率は約75%がウィメンズ、25%がメンズ。今年2月にニューヨークに初出店したギャラリーのほか、米国内では「マックスフィールド(Maxfield)」や「バーニーズニューヨーク(Barneys New York)」など百貨店を中心に15店舗ほど取り扱いがあるが、メンズを販売しているのは「バーグドルフグッドマン(Bergdorf Goodman)」のみだという。一方で、米国に次ぐ市場だという日本では、メンズから展開が始まったこともあり顧客の男女比が逆転。「日本人男性は、ファッションが好きな人、クラフトマンシップやディテールに関心のある人が多い」と捉え、「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」などハードなアクセサリーと合わせてスタイリングを楽しむ男性が多いのも日本市場の特徴とする。今後は日米ともに、顧客の男女比を同等まで持っていきたい考えだ。
 9月2日から4日までの3日間限定で開催されるロンハーマン六本木店でのトランクショーでは、新作「micro dame」を含むコレクションがフルラインナップでそろうほか、ロンハーマン別注のブレスレット(税別23万円)を販売。9月から来年1月にかけては、伊勢丹新宿店や「バーニーズニューヨーク」六本木店、新宿店、銀座店、「アデライデ(ADELAIDE)」、「ギンザ シックス(GINZA SIX)」、「エストネーション(ESTNATION)」でポップアップやトランクショーを順次開催し、国内展開を本格化する。2018年には日本1号店、再来年には2号店を出店する計画だという。