名大、カルボン酸を高選択的にアルコールへ水素化するRe触媒を開発
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同成果は、名古屋大学理学研究科 斎藤進教授らの研究グループによるもので、6月13日付けの英国科学誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。
そこで今回、同研究グループは、水素化能力の低い高原子価金属について水素化触媒としての可能性を調べた。その結果、高原子価のレニウム金属の錯体を用いた場合に、水素化が効率的に進行することを発見した。
水素化触媒としての能力を向上させるため、レニウム錯体の配位子を詳細に調べたところ、キラフォスという有機リン系配位子を持つレニウム錯体が、カルボン酸の水素化触媒として特に優れていることがわかった。同錯体は、既存のルテニウム錯体が機能しない5気圧程度の温和でより安全な水素の圧力下でカルボン酸を水素化することができる。またカルボン酸のみを水素化できるため副生成物が少なく、高収率で目的のアルコールが得られたという。
さらに同研究グループは、レニウム錯体を用いてカルボン酸と酸無水物と反応させることにより増炭に成功。ケトンの新しい合成法を開発した。カルボン酸と比較してケトンの水素化は簡単に進行するため、同研究グループは、多種多様な炭素骨格を持つアルコールの計画的な合成も可能になるとしている。