「ひよっこ」63話。初ホール係でみね子パニック

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連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第11週「あかね荘へようこそ!」第63回 6月14日(水)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:福岡利武


62話はこんな話


高子(佐藤仁美)にレクチャーを受け、みね子(有村架純)はいよいよホールに出るが、たちまち混乱してしまう。

開店前


ホール係の仕事はなかなか大変そう。
意外と頭脳労働で、一度の動きでいかに効率よくするか、常に計算しないとならない。状況は刻々と変わるので、その場の判断力も大事。
忙しそうに走り回っている人より、ゆったり落ち着いてる人のほうが段取りがいい、というなるほどの見解。
食べているのと、働くのとでは大きな違い。何度もこの店に来ていたみね子だが、ハンバーグの略称(バーグ)を知らなかった。

タイムスケジュールが紹介されたが、7時30分から22時まで。それを週に6日間。「なかなか大変ですねえ」と増田明美のナレーション。なかなかっていうかかなり大変に思う。

鈴子(宮本信子)は、仕事中は、年齢や男女差は関係ないと考えていて、「とにかくえらそうにするやつが一番キライなのよ」「これ赤坂っ子の特色だね」とみね子にサバサバ言う。
別け隔てないことの証として、自分が間違えたら遠慮なく指摘していいとも言う。オーダーを間違わないことが誇りであるらしき鈴子。その話を観ながら、いつかもっと老いて間違っちゃう日が描かれるんじゃないかと想像してしまう人は、「やすらぎの郷」の見過ぎだと思う。もしくは「純と愛」のトラウマか。

ともあれ、こうしてみね子は社会の仕組みを少しだけ知る。

いよいよ開店


11時、今日から仕事始めのお客さんがたくさん訪れる。
ひとしきり、すずふり亭のお客さんの紹介が増田明美によってされる。
オフィスビルのサラリーマン、放送局の関係者、俳優、永田町関係の人、芸者さん・・・と顔ぶれは多彩だ。
この紹介を「長かったですね 失礼しました」って増田明美が謝るが、開店前の、レクチャーコーナーと社会についてみね子が噛みしめるところのほうが長かったと思う。

さて、赤坂について、港区のホームページを見てみたら、町名の由来が書いてあった。
“坂上に茜草(あかねぐさ)が生えており、「赤根山(あかねやま)」と呼ばれたことから、赤根山にのぼる坂を赤坂と称するようになったというもの。”だとか。
みね子のアパート「あかね荘」の名前はここからとられたのだろう。

ところで、赤坂で飲食店というと、脚本家・向田邦子のままやが思い浮かぶ。脚本家の向田が妹と和食の店を出したのは1978年。「ひよっこ」の現時点は1966年だから、まだ12年ある。「ひよっこ」でみね子が向田邦子と出会うような場面があるだろうかと思いを馳せる。

話を本編に戻そう。
みね子は、店のスピードに追いついていけず、「頭の中が真っ白」になってしまう。
工場でも不器用だったのだから無理もない。こんなとき「大丈夫大丈夫」と愛子(和久井映見)に言ってもらいたいものだ。
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