大仏といえば、奈良・東大寺の大仏や、鎌倉・高徳院の大仏が有名ですが、それらと並んで「日本三大仏」のひとつに数えられる大仏が、岐阜県岐阜市にあることをご存知でしょうか。

その大仏があるのは、岐阜城のある金華山にほど近い、岐阜市大仏町にある金鳳山正法寺。京都宇治黄檗宗万福寺の末寺です。

奈良や鎌倉の大仏に比べると、岐阜大仏は特に大きな規模のお寺にあるわけでもなく、建物も大通り沿いにひっそりと建っているので、初めて訪れた人は「え、ここが?」と驚くかもしれません。

建物南側に拝観者専用の無料駐車場が数台分あるので、車で来た方はそちらに駐車して、拝観入口へまわりましょう。

金鳳山正法寺はかなり年季を感じさせる建物なのですが、これは江戸時代後期に建てられ、以来、世界大戦や地震などの被害に遭うこともなく、立て直しをされることもなく、今に至っているそうです。

向かって左側にある小屋が受付で、ここで大人1人200円、小人1人100円の入館料を支払います。

木造の建物の中に入ると、外から見た以上に広々とした空間が広がっていました。決して豪華絢爛な内装ではなく、むしろ簡素なほどですが、荘厳な雰囲気が漂っています。

正面から見た岐阜大仏。

天保3年4月(1832年)に、実に38年の歳月を費やして完成したと伝えられています。

この大仏は周囲1.8メートルの大イチョウを真柱として、木材で骨格を組み、その上に竹を編んで粘土を塗り、お経を書いた紙を張って、漆を施し、金箔を置いた「乾漆仏」と呼ばれる仏様で、乾漆仏としては日本一の大きさ。

岐阜大仏は像高13.7メートル、顔長さ3.63メートル、目長さ0.66メートル、耳長さ2.12メートル、口幅0.71メートル、鼻高さ0.36メートル。

像の高さとしては、奈良の大仏に次いで国内第二位とのこと。

少し顔を下に向け、柔和な表情を浮かべて私たちを優しく見下ろしているようです。

あまり観光地化していないこともあり、しーんと静まり返った大仏殿の中、仏様と自分しかいないような、そんな落ち着いた心持ちになれました。

江戸時代後期からずっとこの場所に座って参拝者たちを見つめ続けてきた岐阜大仏。

大地震や大飢饉、世界大戦、そうした時代を生きた人々にとって、変わらずそこに在り続け、優しく微笑む大仏さまは、大きな心のよりどころだったに違いありません。

岐阜大仏の内部には「胎内仏」として薬師如来像が安置されています。

(大仏、薬師如来坐像ともに岐阜県重要文化財。)

岐阜大仏のある金鳳山正法寺へのアクセスは、JR岐阜駅または名鉄岐阜駅より約15分バスに乗り、「岐阜公園・歴史博物館前」で下車し、徒歩5分。

「岐阜公園・歴史博物館前」バス停は、岐阜城へ上る金華山ロープウェイ乗り場の近くなので、岐阜城の観光と合わせて行くと便利です。

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名称 黄檗宗金鳳正法寺
住所 岐阜県岐阜市大仏町8番地
電話番号 058-264-2760
営業時間 9:00〜17:00
入舘料 大人200円、小人100円(30名以上で団体割引あり)
休館日 なし