目利き5人が大胆予想。今季J1、全18チームの順位はこうなる
まもなく開幕するJリーグ。はたして今季、頂点に立つのはどのチームなのか Jリーグ2017年シーズンがまもなく開幕する。再び1シーズン制となる今季、まず注目は、栄冠を手にするチームはどこかということ。万全の補強をした強豪クラブが前評判どおりの結果を出すのか、あるいは思わぬ伏兵の台頭があるのか。
もうひとつ気になるのは、厳しい戦いの中、J2降格の憂き目を見るチームはどこなのか。実力差のないリーグにおいて、その危機には多くのチームが面している。
前年覇者の鹿島が今季も本命。
上昇ムードにあるのはF・マリノス
杉山茂樹氏(スポーツライター)
1位 鹿島アントラーズ
2位 ガンバ大阪
3位 浦和レッズ
4位 横浜F・マリノス
5位 柏レイソル
6位 FC東京
7位 川崎フロンターレ
8位 ヴィッセル神戸
9位 サンフレッチェ広島
10位 大宮アルディージャ
11位 サガン鳥栖
12位 ベガルタ仙台
13位 セレッソ大阪
14位 清水エスパルス
15位 ジュビロ磐田
16位 ヴァンフォーレ甲府
17位 アルビレックス新潟
18位 北海道コンサドーレ札幌
MFレオ・シルバ(新潟→)らの加入で層が大幅に厚くなった鹿島が本命。前回覇者の立ち位置を守ろうと、受け身になると危ないが、その可能性は低いとみる。
2位争いは接戦。浦和は、昨季チャンピオンシップで鹿島にまさかの逆転負けを喫した影響が大きいとみる。FWラファエル・シルバ(新潟→)が相当がんばらないと、鹿島との距離は空く。G大阪は、鹿島に届くかどうか微妙だが、例年どおり高位安定。上昇ムードにあるのは、横浜FMか。新加入のポルトガル人ストライカー、ウーゴ・ヴィエイラ(ベオグラード/セルビア→)が面白そう。
FC東京は補強が目立つも、いつもどおり中位止まりか。川崎Fは、昨季MVPの中村憲剛次第。昨季はMVPの投票が済んだと思われる終盤、調子を崩した。年齢からくる衰えなのか。鬼木達新監督との関係性にも注目。
柏はまずまず。神戸、広島は中位。鳥栖、仙台、大宮は中位よりやや下。降格争いは、C大阪以降の6チームで繰り広げられそう。新潟は今年が正念場。残留すれば拍手もの。中村俊輔(横浜FM→)が加わった磐田もギリギリの戦いとみる。
ACLで早々に敗退しそうなレッズがV候補。
大穴は昇格組のセレッソ
中山 淳氏(サッカージャーナリスト)
1位 浦和レッズ
2位 セレッソ大阪
3位 鹿島アントラーズ
4位 柏レイソル
5位 ヴィッセル神戸
6位 横浜F・マリノス
7位 ガンバ大阪
8位 川崎フロンターレ
9位 サンフレッチェ広島
10位 FC東京
11位 アルビレックス新潟
12位 サガン鳥栖
13位 大宮アルディージャ
14位 ヴァンフォーレ甲府
15位 ジュビロ磐田
16位 ベガルタ仙台
17位 清水エスパルス
18位 北海道コンサドーレ札幌
戦力的には、鹿島が頭ひとつ抜けているが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で勝ち進んでいきそうな気配があるので、過密日程となるシーズン後半が”鬼門”となる。逆に浦和は、ACLのグループステージが難敵ぞろいで早々に敗退しそう。結果、リーグ戦に集中できるため、優勝候補の最右翼となる。
大穴は、昇格チームのC大阪。欧州帰りの清武弘嗣(セビージャ/スペイン→)を含め、予想以上に戦力の充実が図れた。しかも、かつて厳しい練習で鳥栖を強豪クラブに押し上げた尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督が指揮官となり、他チームが疲労で失速するシーズン後半での猛チャージが期待できる。また、リーグ随一の破壊力を秘めるブラジル人3トップを擁する柏も、上位に食い込んできそうだ。
降格候補は、昇格組の札幌と清水が濃厚。戦力ダウンの印象が強い仙台も危険だ。例年、降格候補に挙がる甲府は、FWドゥドゥが残留し、FWウイルソン(仙台→)の加入が好材料。加えて、京都サンガで成長を遂げたMF堀米勇輝が活躍すれば、残留濃厚と見ていい。
中村俊輔(横浜FM→)が加入した磐田は、得点源のFWジェイが抜けた穴を埋め切れていない。今季も苦戦必至だろう。
優勝は鹿島で「鉄板」。
戦力ダウン必至の新潟が降格候補へ
飯尾篤史氏(サッカーライター)
1位 鹿島アントラーズ
2位 FC東京
3位 川崎フロンターレ
4位 浦和レッズ
5位 サンフレッチェ広島
6位 柏レイソル
7位 横浜F・マリノス
8位 ガンバ大阪
9位 ヴィッセル神戸
10位 セレッソ大阪
11位 ジュビロ磐田
12位 サガン鳥栖
13位 大宮アルディージャ
14位 ベガルタ仙台
15位 清水エスパルス
16位 アルビレックス新潟
17位 ヴァンフォーレ甲府
18位 北海道コンサドーレ札幌
本来は大穴を狙う性分なのだが、今季ばかりは鹿島以外を優勝に推すのは難しい。それくらい補強が的確なのだ。もう打ち止めだろうと思われた1月28日に、GKクォン・スンテ(全北現代/韓国→)の獲得が発表されたときには、あまりに隙のない陣容に感嘆するしかなかった。
補強と言えば、FW大久保嘉人(川崎F→)らを獲得したFC東京からも本気度が伝わってくる。MF高萩洋次郎(FCソウル/韓国→)のボランチ起用など未知数な部分もあるが、ACLに出場しないことがプラスに働きそうだ。
川崎Fは、新加入のMF家長昭博(大宮→)とMF阿部浩之(G大阪→)が上積みをもたらしているが、ACLを戦ううえで選手層に一抹の不安を感じる。個人的に楽しみなのは、中村俊輔(横浜FM→)の加わった磐田だが、はたして俊輔とFW川又堅碁(名古屋→)の相性はどうなのか?
戦力的に少し落ちると感じるのが、札幌と甲府。新潟は三浦文丈監督がJ1初挑戦で、主力だったMF小林裕紀(→名古屋)、DF舞行龍ジェームズ(→川崎F)が移籍。外国籍選手3人も総入れ替えして不安な点が多いため、苦渋の判断で降格圏となるこの順位とした。
厳しいACL組。代わって浮上するのは、
成熟度&安定感随一の広島
原山裕平氏(サッカーライター)
1位 サンフレッチェ広島
2位 鹿島アントラーズ
3位 浦和レッズ
4位 FC東京
5位 横浜F・マリノス
6位 ガンバ大阪
7位 セレッソ大阪
8位 川崎フロンターレ
9位 柏レイソル
10位 ヴィッセル神戸
11位 ジュビロ磐田
12位 大宮アルディージャ
13位 サガン鳥栖
14位 清水エスパルス
15位 ベガルタ仙台
16位 アルビレックス新潟
17位 ヴァンフォーレ甲府
18位 北海道コンサドーレ札幌
総合力では鹿島が一番上にあると思う。ただし、懸念はACL。過去のケースに違(たが)わず、”並行戦”を乗り切るだけの力はないと見る。浦和も同様の理由で優勝には推せない。同じくACLに参戦する川崎FとG大阪に関しては、昨季よりもパワーダウンした印象で、とりわけ川崎Fにいたっては、独自のスタイルを築いてきた風間八宏監督の退任の影響はやはり小さくなく、よもやの低迷も考えられる。
積極補強を敢行したFC東京だが、シーズンを通して安定した戦いができるかは疑問。広島を優勝としたのは消去法の側面も強いが、成熟度と安定感はやはりリーグ随一であり、昨季のように故障者が続出しない限り優勝争いに絡むと考えられる。FW工藤壮人(バンクーバー・ホワイトキャップス/カナダ→)ら新たな攻撃陣が機能すれば、優勝は見えてくるはずだ。
残留争いでは、得点力に難を抱える札幌に、昨季の福岡と同じ匂いが漂う。上積みがなかった甲府、新潟も苦戦は免れないだろう。
興味深いのは横浜FM。ネガティブな話題が多かったが、大胆な若返りが奏功すると読む。MF齋藤学の残留も大きく、新時代の幕開けを予感させるシーズンとなるかもしれない。
ACL組でも安定感誇る浦和が優位。
対抗はFC東京。穴候補は神戸か
浅田真樹氏(スポーツライター)
1位 浦和レッズ
2位 FC東京
3位 鹿島アントラーズ
4位 ヴィッセル神戸
5位 川崎フロンターレ
6位 ガンバ大阪
7位 サンフレッチェ広島
8位 柏レイソル
9位 大宮アルディージャ
10位 サガン鳥栖
11位 ジュビロ磐田
12位 横浜F・マリノス
13位 セレッソ大阪
14位 ベガルタ仙台
15位 清水エスパルス
16位 北海道コンサドーレ札幌
17位 ヴァンフォーレ甲府
18位 アルビレックス新潟
ACLに日本から4クラブが出場するようになった2009年以降、延べ36クラブがACLと並行してJ1を戦い、優勝できたのはわずかに2クラブ(2009年鹿島、2013年広島)のみ。翌季のACL出場圏内となる3位以内でも、延べ9クラブにすぎない。二兎を追うことの難しさは過去の歴史が証明済みだ。
そこで、まずは”非ACL組”に目を向けると、積極的な補強が目立つFC東京が優勝候補の筆頭。ACLがない今季は大きなチャンスだろう。また穴候補として、昨季セカンドステージ2位の神戸を推したい。ネルシーニョ体制3年目で、指揮官の目指すサッカーが浸透してきている。
とはいえ、実力的には、やはりACL組が概ね上位であることは間違いない。特に浦和は昨季年間勝ち点1位で、ACL組として実質的に優勝したに等しい実績もすでにある。直近3シーズンの成績(年間勝ち点)も2位、2位、1位と突出して安定しており、”連軸”としての信頼度は高い。昨季優勝の鹿島ももちろん優勝候補だが、年間勝ち点ではトップ2に離されての3位。その分、割り引いて評価する必要がある。