11月30日をもって、対外試合期間が終わり、今日12月1日から来年3月上旬まで対外試合禁止となる。2016年の高校野球を振り返っていきたい。

智辯学園の優勝で幕が閉じた選抜大会 高松商の復活も印象的

【2016年選抜】エース・村上の快投で智辯学園が甲子園初優勝!

智辯学園優勝シーン

 2016年選抜は、大阪桐蔭、東邦、敦賀気比といった名門校の躍進が期待されたが、優勝を果たしたのは智辯学園だった。開幕戦で福井工大福井を破った智辯学園は、投打ともにバランスの良い試合運びで強豪校を次々と破り、決勝戦では高松商と息詰まる投手戦を演じ、最後はエースの村上 頌樹のサヨナラ打で初優勝を収めた。

 大会中のエース村上の安定感、智辯学園のゲームマネジメントは素晴らしいものがあった。また準優勝の高松商は55年ぶりの決勝進出を果たし、多くのオールドファンを喜ばせるだけではなく、ひた向きかつ爽やかなプレースタイルにより多くの高校野球ファンの心をつかんだ。

【2016年春季大会 地方大会優勝校】

北海道:札幌大谷東北:東北(宮城)関東:前橋育英(群馬)北信越:星稜(石川)東海:常葉橘(静岡)近畿:履正社(大阪)中国:崇徳(広島)四国:高知(高知)九州:福岡大大濠(福岡)

 この9チームのうち夏の甲子園に戻ってきたのは東北、前橋育英、履正社、星稜の4チームだった。春優勝してもそのまま強さを維持するのは難しいということが分かる。

好投手登場で沸いた夏の甲子園、最強投手陣でアジア制覇!

【2016年夏の甲子園】作新学院が54年ぶりの優勝!

作新学院優勝シーン

 2016年夏の甲子園は寺島 成輝(関連記事)擁する履正社と藤平 尚真(関連記事)擁する横浜の2チームが優勝候補に挙がったが、その2チームが2回戦で激突。履正社が勝利したものの、その履正社も3回戦敗退となった。優勝したのは最速152キロ右腕・今井 達也(関連記事)など攻守でバランスが取れた作新学院だった。この大会は高橋 昂也(花咲徳栄<関連記事>)、堀 瑞輝(広島新庄<関連記事>)など大会前からプロ注目の投手が多く集結した大会で、近年にないほどの投手のレベルの高さであった。

 またこの大会は北海が史上初の決勝進出。固い守備に加え、一戦ごとに力強くなる打撃も見事であった。またエース・大西 健斗は投球だけではなく、試合中の立ち居振る舞い、爽やかな容姿も加わり、多くの高校野球ファンを惹きつけた。二季連続ベスト4に入った秀岳館は緻密なデータと猛練習に裏打ちされた総合力の高さが全国トップクラスであり、またファイター・九鬼 隆平(関連記事)のキャプテンシーに感動したファンも多いことだろう。ベスト4入りした明徳義塾は、選手主導のゲームプランニングは高校生とは思えないほどハイレベルなものだった。

【第11回 BFA U-18アジア選手権】最強投手陣が力を発揮し、2大会ぶりの優勝

侍ジャパン優勝シーン

 台湾・台中で開催されたアジア選手権。過去5年の代表チームでは史上最強といっていい投手陣が台湾の舞台で躍動した。なんと計6試合で、失点はわずかに1点。5試合が完封と、まさに格の違いを見せた。また大会前は打線の調子が上がらなかった野手陣も徐々に木製バットに慣れてきて、入江 大生(関連記事)、九鬼 隆平(関連記事)、鈴木 将平の3人が本塁打を放ち、打線の奮起も優勝につながった。そして多くの選手がタイトルを受賞した。

MVP 納 大地(智辯学園) ※関連記事首位打者 松尾 大河(秀岳館) ※関連記事打点王 林中 勇輝(敦賀気比) ※関連記事最優秀投手 寺島 成輝(履正社) ※関連記事最優秀防御率 寺島 成輝(履正社)最優秀守備選手 九鬼 隆平(秀岳館) ※関連記事ベストナイン(左投手) 寺島 成輝(履正社)ベストナイン(遊撃手) 佐藤 勇基(中京大中京)ベストナイン(外野手) 鈴木 将平(静岡) ※関連記事

【第71回国民体育大会】履正社が優勝!

 第71回国民体育大会は、履正社が優勝を収めた。4試合中、2試合が二けた得点と活発な打線が目立った。また準優勝の広島新庄は、エースの堀 瑞輝が東邦戦で、中継局のスピードガンで最速150キロを計測。堀は同日開催された2回戦と準決勝のどちらも登板し、好投を見せた。甲子園のスターたちが集まった大会だけに、開幕日は多くの観客が集まった。

今年も緊張感ある戦いが続いた秋季大会

【2016年秋季大会 地方大会優勝校】今年も緊張感のある秋季大会に!

北海道 札幌第一東北 仙台育英(宮城)関東 作新学院(栃木)東京 早稲田実業東海 静岡(静岡)北信越 福井工大福井(福井)近畿 履正社(大阪)中国 宇部鴻城(山口)四国 明徳義塾(高知)九州 福岡大大濠(福岡)

 選抜がかかった秋季大会は、やはり緊張感が伝わってくる。特に近畿大会準々決勝、関東大会準々決勝、東京都大会決勝など勝てば選抜当確、負ければ選考待ちという試合の緊張感はとてつもないものがある。東京都大会決勝の早稲田実業vs日大三の一戦はなんと2万人の観客で埋め尽くされた。最後は早稲田実業の4番野村 大樹(関連記事)のサヨナラ本塁打となり、劇的な試合となった。

【明治神宮大会】履正社が初優勝!

履正社優勝シーン

 明治神宮大会は履正社が優勝を収めた。いきなり投打ともに総合力が高い仙台育英とぶつかったが、5対1で仙台育英を破ると、2回戦では福井工大福井、準決勝では札幌第一を破り、決勝では早稲田実業に打ち勝って、見事に初優勝を収めた。この大会は野手の人材が集まっており、目玉選手となった清宮 幸太郎(早稲田実業<関連記事>)、安田 尚憲(履正社<関連記事>)がともに決勝戦で本塁打を放ち、観衆を沸かせた。また高校の部の試合は連日多くの人が集まり、選手たちは躍動感あるプレーを見せていた。

 振り返ると2016年もドラマがあり、とても見所のある1年となった。来年は1年時から高校野球を沸かせてきた清宮が最終学年となる。来年も世間をにぎわせる1年になることを期待したい。

(文・河嶋 宗一)

注目記事・【11月特集】「11月から始めるトレーニング計画」