「べっぴんさん」34話。これは手芸版「幕が上がる」なのか

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第6週「笑顔をもう一度」第34回 11月10日(木)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出: 新田真三


34回はこんな話


君枝(土村芳)も復帰し、すみれ(芳根京子)が考案したベビー相談室のアイデアは五十八(生瀬勝久)にも褒められて希望が生まれたものの、良子(百田夏菜子)のことが気になって・・・。

手芸版「幕が上がる」か


ベビー相談室構想をお父さんに語るすみれの口調はものすごい流暢で、自信がついてだんだん思ったことをしっかり伝えられるようになってきたことを感じさせた。
あさやに戻ってきたすみれは、ショーウインドウを羨ましそうに見る少女・美幸(松田苺)に、ディスプレーのワンピースを着せてあげる。

お直しをしてると、君枝(土村芳)が、良子(百田夏菜子)のパタンナーとしての才能を再認識する。
腰の膨らみ、肩口の膨らみ・・・とワンピースのデーィテールについてうっとり語る。「良子ちゃんの型紙やないとこの味は出ないよね」ってマニアな台詞、いいなあ。単なる仲良しじゃなくてお互いの才能に惚れ合ってる仲間ってすてきだ。

女の子たちが切磋琢磨しあいながらひとつの目的に挑む話というと、百田が演劇部部長役を演じた、ももいろクローバーZ主演の「幕が上がる」(15年/監督・本広克行 原作・平田オリザ)や4人の女子高生のバンドもの「リンダ リンダ リンダ」(05年・山下敦弘監督)などが思い浮かぶ。

「幕が上がる」はももクロを中心に、芳根京子(1年生役)や「あさが来た」の宜ちゃんこと吉岡里帆(2年役)も出ていて、出演者たちがみんなキラキラと輝いていて、近年の青春少女ものでは最高峰。「べっぴんさん」も映画とテレビドラマの違いはあれど、この域に迫ってほしい。そういえば、「幕が上がる」の百田の役は、すみれのように、思ったことを口にするのがうまくない性格設定だった。

仲間に才能を惜しまれる良子。あいにく夫・勝二(田中要次)の仕事が決まらない。
貧しい家で子供のためにどんぐりパン(どんぐりを炒って小麦粉に混ぜる)を作る良子。お芋の蜜を集めたり、型紙作りだけじゃなく料理の才能もあるようだ。
こんな創造力のある人材をこのままにしてはいかん! 百田夏菜子の輝く笑顔を早く見たい!
(木俣冬)